
不育症の検査を「いつ受けるべきか」は多くの方が悩むポイントです。日本産科婦人科学会のガイドラインでは2回以上の流産(反復流産)を経験した場合に検査を推奨しています。ただし年齢や状況によっては1回の流産後に検査を検討することも有意義です。
この記事のポイント
- ガイドライン推奨は2回以上の流産(反復流産)後
- 35歳以上・高齢不妊などは1回の流産後でも早期受診が有効
- 検査の最適なタイミングと準備すべきこと
不育症検査のタイミング|ガイドラインの基準
日本産科婦人科学会は「2回以上の流産」を反復流産(不育症)として検査対象としています。1回の流産は全妊娠の10〜20%に発生し多くは偶発的な染色体異常のため、2回以上の繰り返しで原因検索を開始するのが標準的な方針です。
状況 | 検査推奨度 | 推奨理由 |
|---|---|---|
2回以上の流産 | 強く推奨 | ガイドライン基準・保険適用 |
1回の流産(35歳以上) | 検討推奨 | 年齢的背景・早期介入メリット |
1回の流産(35歳未満) | 医師と相談 | 次回妊娠で様子を見る場合も多い |
死産の既往 | 強く推奨 | 重篤な原因が潜む可能性 |
不妊治療中(流産なし) | 任意 | 免疫異常が疑われる場合 |
検査を受けるべきサイン
回数だけでなく、以下のような状況では早期の不育症検査が特に有益です。担当医から「様子を見ましょう」と言われても、不安が強い場合はセカンドオピニオンとして不育症専門外来に相談することも選択肢です。
早期検査を検討すべきケース
- 35歳以上で1回以上の流産
- 妊娠10週以降の後期流産(染色体異常以外の原因の可能性が高い)
- 死産の既往がある
- 自己免疫疾患(SLEなど)の既往または家族歴
- 血栓症・深部静脈血栓症の既往
- 不妊治療で繰り返す着床失敗
検査のタイミング|流産後いつから受けられるか
流産後の検査開始時期は検査の種類によって異なります。血液検査(抗体・凝固系)は流産後1〜2か月後から、子宮形態検査は子宮が回復した後(1〜2か月後)が適切なタイミングです。
検査別の開始可能時期
- 血液検査(抗リン脂質抗体等):流産後1〜2か月(ホルモン値が安定してから)
- 子宮鏡・超音波:次の生理後(子宮内膜が整ってから)
- 夫婦染色体検査:流産直後でも可能(時期の制限なし)
- 甲状腺・血糖検査:いつでも可能
検査にかかる費用と保険適用
2022年4月から主要な不育症検査が保険適用になりました。2回以上の流産があれば、基本検査セットを3割負担で受けられます。自費部分を含めても検査費用の合計は3〜8万円程度が目安です。
検査項目 | 保険/自費 | 費用目安(3割) |
|---|---|---|
抗リン脂質抗体・凝固系 | 保険 | 2,000〜8,000円 |
子宮形態(超音波・鏡) | 保険 | 5,000〜1万5,000円 |
夫婦染色体検査(2人) | 保険 | 2〜4万円 |
内分泌(甲状腺・PRL等) | 保険 | 2,000〜5,000円 |
NK細胞活性検査 | 自費 | 3〜5万円 |
初診前の準備事項
不育症の専門外来を受診する前に、過去の流産歴を整理しておくと診察がスムーズです。流産の週数・回数・処置方法・施設名に加え、流産組織の染色体検査結果があれば持参してください。
- 流産歴の記録(回数・妊娠週数・処置方法・日付・施設名)
- 過去の検査結果・紹介状(あれば)
- 基礎体温表(3か月以上)
- 服用中の薬・サプリメントリスト
- 夫婦で一緒に受診できるか事前確認
不育症専門外来への受診方法
不育症専門外来は産婦人科・生殖医療クリニックに設置されています。紹介状なしで受診できる施設も多く、Webで「不育症 外来 [地域名]」で検索すると近隣の対応施設を見つけられます。
よくある質問
1回の流産でも不育症検査を受けられますか?
保険適用は2回以上の流産が基準ですが、1回の流産後でも自費で検査を受けることは可能です。35歳以上や後期流産(10週以降)の場合は医師と相談の上、早期検査を検討する価値があります。
不育症の検査は何をするのですか?
主な検査は血液凝固検査(抗リン脂質抗体・凝固因子)、子宮形態検査(超音波・子宮鏡)、夫婦染色体検査、内分泌検査(甲状腺・プロラクチン等)です。検査は複数回に分けて受けることが多く、合計1〜2か月かかります。
流産後すぐに検査を受けるべきですか?
流産直後は身体的・精神的な回復期間が必要です。一般的には流産後1〜2か月(次の月経後)から検査を開始するのが適切です。染色体検査だけは時期に関係なく受けられます。
検査結果が出るまでどのくらいかかりますか?
血液検査は1〜2週間、染色体検査は4〜6週間かかります。全検査結果が揃うまで1〜2か月を見ておくといいでしょう。
不育症検査で原因が見つからない場合はどうなりますか?
不育症の約35〜40%は検査で原因が特定できない「原因不明」です。この場合でも次回妊娠の成功率は70〜80%と比較的高く、精神的サポートを受けながら妊娠を試みる「待機療法」が選択されることが多いです。
夫だけが検査を受けることはできますか?
夫婦の染色体検査は独立して受けられますが、不育症検査は妻側の検査が主体のため、通常は夫婦一緒に受診することが推奨されます。
不育症と不妊症の検査は同じですか?
異なります。不妊症検査は「妊娠できない原因」を調べるもので、精液検査・卵管検査が中心です。不育症検査は「妊娠後に流産を繰り返す原因」を調べるもので、凝固系・染色体・子宮形態が中心です。
まとめ
不育症検査の標準的なタイミングは2回以上の流産後ですが、年齢・流産の状況によっては1回の流産後に検討することも重要です。早めに専門医に相談することで、次回妊娠への準備を整えられます。
- 2回以上の流産→ガイドライン推奨・保険適用で検査開始
- 35歳以上・後期流産・死産→1回でも早期受診を検討
- 検査は流産後1〜2か月(次の月経後)から開始が目安
【免責事項】本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、受診・検査の判断は必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。
Next Action

