
「エンジェルベビー」という言葉をご存じですか?流産・死産で天使となった赤ちゃんを「エンジェルベビー(Angel Baby)」と呼ぶ文化が欧米を中心に広まり、日本でも流産を経験した親たちのあいだで使われるようになっています。この記事では、エンジェルベビーという概念の意味、親の気持ちの変化、そして心のケアにつながる選択肢を解説します。
この記事のポイント
- エンジェルベビーとは流産・死産・乳幼児死亡で亡くなった赤ちゃんへの呼称
- 悲嘆(グリーフ)は正常な反応であり、無理に早く立ち直ろうとしなくてよい
- 記念品作成・グリーフカウンセリング・ピアサポートなど、回復を支える選択肢がある
エンジェルベビーとは|基本情報
エンジェルベビー(Angel Baby)とは、主に流産・死産・乳幼児死(SIDS含む)で亡くなった赤ちゃんを指す言葉です。天使のように空に帰った子として、尊厳を持って記憶するための呼び方として使われています。
用語 | 意味 |
|---|---|
エンジェルベビー | 流産・死産・乳幼児死亡で亡くなった赤ちゃんの総称 |
レインボーベビー | 流産・死産の後に生まれた赤ちゃん(嵐の後の虹) |
サンシャインベビー | 流産・死産の前に生まれた赤ちゃん(先の光) |
グリーフ | 喪失に伴う悲嘆・悲しみのプロセス全般 |
これらの言葉は医学用語ではなく、コミュニティで生まれた文化的表現ですが、親が子どもの存在を認め、悲しみを言語化するうえで重要な役割を果たしています。
流産後の悲嘆(グリーフ)について
流産を経験した親は、喪失感・自責感・悲しみ・怒り・空虚感など、さまざまな感情を経験します。これらはすべて正常な悲嘆(グリーフ)の反応です。
- ショック・否認:「まさか」「信じられない」という感覚
- 怒り・後悔:「なぜ自分だけ」「もっとできたことがあったのでは」
- 悲しみ・抑うつ:涙が止まらない、何もやる気が出ない
- 受容:悲しみを抱えながらも前に進もうとする気持ち
グリーフには決まった順番はなく、行きつ戻りつしながら進むのが一般的です。「早く元気にならなければ」と焦る必要はありません。
エンジェルベビーを悼む親の声
流産・死産を経験した親の多くが、子どもの存在を認めてほしいという強い気持ちを持っています。周囲からの「また産めばいい」「若いから大丈夫」という言葉が傷つくこともあります。
- 「たとえ短い命でも、確かに存在したことを忘れたくない」
- 「名前をつけて呼ぶことで、子どもとしてちゃんと向き合えた」
- 「記念日に花を飾るだけで、気持ちが少し楽になった」
エンジェルベビーという言葉は、子どもの存在を肯定する手がかりになります。
心のケアにかかる費用の目安
グリーフカウンセリングや支援サービスを利用する際の費用目安です。
サービス | 費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
グリーフカウンセリング(民間) | 1回5,000〜1万5,000円 | 専門家による個別サポート |
病院内カウンセリング | 保険適用の場合あり(要確認) | 産後・流産後外来で提供 |
ピアサポートグループ | 無料〜3,000円程度 | 同じ経験を持つ親のコミュニティ |
記念品制作(足型・遺毛) | 5,000〜5万円程度 | 産院で提供していることもある |
費用は機関・地域によって異なります。自治体の相談窓口(母子保健)では無料で利用できるケースもあります。
心のケアを始めるポイント
悲嘆のプロセスを一人で抱え込まないために、以下のステップを参考にしてください。
- 気持ちを言語化する:日記、手紙、SNSなど自分に合った方法で感情を外に出す
- 名前をつける:エンジェルベビーに名前をつけることで、存在を認める一歩になる
- 記念日を設ける:命日や出産予定日に花を飾る、手紙を書くなど小さな儀式を作る
- 専門家に相談する:グリーフカウンセラーや医師に悲しみを話す
- ピアサポートを探す:同じ経験を持つコミュニティとつながる
サポートリソースへのアクセス
日本国内でグリーフサポートや流産後の支援を受けるための主要なリソースを紹介します。
- 不育症相談窓口(厚生労働省):都道府県ごとに設置された専門相談窓口。電話・対面相談が可能
- NPO法人 流産・死産を経験したお母さんとお父さんへのサポートグループ:ピアサポートを提供する各地のグループ
- 産婦人科学会認定の不育症専門外来:原因検索から治療まで一貫したサポート
- 自治体の母子保健窓口:保健センターでの相談は無料で利用できることが多い
地域によってサービスの充実度は異なります。まず担当医か保健センターに相談することが、サポートへのもっとも確実なアクセス方法です。
次の妊娠に向けた準備
エンジェルベビーを亡くした後、次の妊娠を考えるタイミングは人それぞれです。準備を始める際のポイントをまとめます。
- 心身の回復を最優先にし、「いつまでに次の妊娠を」というプレッシャーは手放す
- 葉酸400μg/日の摂取を今から開始する
- 流産が2回以上の場合は不育症検査を受ける
- 次の妊娠に強い不安がある場合はカウンセリングで整理してから臨む
次の妊娠後に生まれた赤ちゃんは「レインボーベビー」と呼ばれます。エンジェルベビーの存在を心に持ちながら、新しい命を迎えることは前の子どもへの裏切りではありません。
よくある質問(FAQ)
Q1. エンジェルベビーに名前をつけても良いですか?
はい、名前をつけることは親の権利です。医療機関への届け出義務はありませんが、心の区切りとして名前をつけて呼ぶことは悲嘆のプロセスに役立つとされています。
Q2. 流産後の悲しみはいつ頃落ち着きますか?
個人差が大きく、「いつまでに落ち着く」という基準はありません。数週間で回復する方もいれば、数年かかる方もいます。悲しみが長引く場合は専門家のサポートを受けることをお勧めします。
Q3. 夫(パートナー)は悲しんでいないように見えます。なぜですか?
男性は感情を内に向けて表現しにくい傾向があります。表面上は元気に見えても、内側では大きなショックを受けていることがほとんどです。パートナーと話し合う機会を持つことが大切です。
Q4. 周囲に流産のことを話すべきですか?
義務はありません。話すことで気持ちが楽になる場合もあれば、余計に辛くなることもあります。信頼できる人やカウンセラーに話すのが最初のステップとして適切です。
Q5. ピアサポートグループはどこで探せますか?
日本では「流産・死産を経験された方へのサポートグループ」が各地の病院や助産師会・NPO法人によって開催されています。「不育症サポート」「グリーフサポート 流産」などのキーワードで検索するか、産婦人科に紹介を依頼してみてください。
まとめ
エンジェルベビーとは、流産・死産で亡くなった赤ちゃんの存在を認め、大切に記憶するための言葉です。流産後の悲嘆は正常な反応であり、無理に急いで回復しようとする必要はありません。
- グリーフは段階的・非線形で、人によって大きく異なる
- 名前・記念日・記念品など、自分なりの方法で子どもの存在を大切にする
- 一人で抱え込まず、専門家やピアサポートを活用する
【免責事項】本記事は医療・心理情報の提供を目的としており、診断・治療を代替するものではありません。精神的なつらさが続く場合は、医療機関または専門カウンセラーにご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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