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掻爬術と吸引法の比較|流産手術の選択肢

2026/4/22

掻爬術と吸引法の比較|流産手術の選択肢

流産手術の術式選択では「掻爬術(鋭匙法)」と「吸引法(電動・手動)」を比較することが重要です。世界保健機関(WHO)は安全性・合併症リスクから吸引法を第一選択として推奨していますが、日本では掻爬術が依然として広く行われています。この記事では、両術式の違い・推奨される選択基準・日本の現状を解説します。

この記事のポイント

  • WHO・国際産婦人科連合(FIGO)は吸引法を流産手術の第一選択として推奨。子宮穿孔・子宮内癒着のリスクが掻爬術より低いとされています
  • 日本では掻爬術(鋭匙法)を採用しているクリニックが多く残っており、術式は施設によって異なります
  • 妊娠週数・施設・患者の希望によって最適な術式は異なるため、受診前に担当医に確認することをお勧めします

掻爬術と吸引法:2つの術式の基本

流産手術(子宮内容除去術)は、妊娠が正常に継続できなくなった場合(稽留流産・不全流産など)や、やむを得ない事情による人工妊娠中絶を行うための手術です。主に2つの術式があります。

項目

掻爬術(鋭匙法)

吸引法(電動/手動)

原理

キュレット(鋭匙)で子宮内膜を掻き取る

吸引管で陰圧をかけて子宮内容を吸引

世界標準

推奨されていない(WHO)

第一選択(WHO・FIGO推奨)

子宮穿孔リスク

やや高い

低い

子宮内癒着リスク

高い(内膜基底層を損傷しやすい)

低い

手術時間

5〜15分

3〜10分

適応週数

〜12週

〜14週(術式によりより可能)

掻爬術(鋭匙法)の特徴

金属製のキュレット(鋭匙)を子宮内に挿入し、内膜を物理的に掻き取る術式です。1950年代から日本に普及し、現在も多くの産婦人科クリニックで行われています。

掻爬術のメリット

  • 特別な吸引装置が不要でどの施設でも実施可能
  • 日本の産婦人科医が習熟している術式
  • 妊娠組織の確認・回収がしやすい

掻爬術のリスク

  • 子宮内癒着(Asherman症候群):内膜基底層の損傷により発症確率が上昇。吸引法と比較してリスクが2〜3倍高いとするデータがある
  • 子宮穿孔:金属器具による穿孔リスク(0.1〜1%)
  • 不全流産(遺残):盲目的操作のため確認が困難

吸引法(電動吸引・手動吸引MVA)の特徴

吸引管(カニューラ)を子宮内に挿入し、電動ポンプまたは手動シリンジで陰圧をかけて妊娠組織を除去する方法です。WHOの「安全な中絶ガイドライン」では14週未満の第一選択術式として明記されています。

電動吸引法(EVA)

  • 電動ポンプで安定した吸引圧を確保
  • 中・大型施設で一般的
  • 手術時間が短く残留組織が少ない

手動吸引法(MVA:Manual Vacuum Aspiration)

  • シリンジ(注射器型器具)で陰圧を作る
  • 電源不要・設備が簡便
  • 特に妊娠12週未満の初期手術に適している
  • WHO推奨で途上国・アウトリーチ医療でも活用

吸引法のリスク

  • 子宮穿孔リスクは掻爬術より低いが、0(ゼロ)ではない
  • 稀に遺残が残ることがある(超音波確認で防ぐ)
  • 吸引管挿入時の疼痛(麻酔で緩和可能)

国際ガイドラインの推奨

世界標準の見解を整理します。日本産婦人科学会は明確な術式推奨を公表していないため、施設によって術式が異なります。

  • WHO(2012年・2022年改訂):「掻爬術は吸引法または薬物療法に置き換えられるべきであり、医療システムから段階的に排除することを推奨」と明記
  • FIGO(国際産婦人科連合):吸引法を第一選択として推奨
  • 英国(RCOG)・米国(ACOG):吸引法を標準術式として採用
  • 日本産婦人科学会:具体的な術式推奨基準の明文化なし(施設裁量)

日本の現状と施設選びのポイント

日本では掻爬術を長年の標準術式として採用してきた歴史があり、現在も多くのクリニックで行われています。一方、近年は吸引法(MVA/EVA)に切り替える施設が増えています。施設選びの際は以下を確認することをお勧めします。

  • 「吸引法(MVA/EVA)での手術が可能か」を事前に問い合わせる
  • 超音波ガイド下手術(残存組織確認)を行っているか確認
  • 術後のフォローアップ体制(感染症検査・経過観察)を確認

どちらの術式を選ぶか:判断のガイド

術式選択は担当医と相談して決めますが、以下を参考にしてください。

  • 吸引法を希望したい場合:将来の妊娠を希望している・子宮内癒着リスクを下げたい・WHOの推奨術式を選びたい
  • 掻爬術が提案された場合:担当医に「吸引法は対応可能か」「術式選択の根拠」を質問する権利があります
  • 妊娠週数が10週以降:手術の難易度が上がるため、経験豊富な施設の選択が重要

よくある質問(FAQ)

Q1. 掻爬術と吸引法、どちらが痛いですか?

麻酔をかけた状態では術中の痛みは両術式ともほとんどありません。術後の子宮収縮痛は吸引法のほうが若干少ないとする報告がありますが、個人差があります。

Q2. 吸引法を行っている日本の施設を見つけるには?

「MVA(手動真空吸引法)」「吸引法での流産手術」などの検索ワードで施設を探すことができます。受診前に電話で術式の確認をすることをお勧めします。

Q3. 掻爬術を受けた後、子宮内癒着の検査をすべきですか?

術後に月経量の著明な減少・無月経・不妊がみられた場合は子宮鏡検査を検討してください。症状がなければルーティンの検査は必須ではありませんが、将来妊娠を希望する方は定期的な婦人科受診が推奨されます。

Q4. 薬物療法(ミソプロストール)は選択肢になりますか?

稽留流産・不全流産の場合、薬物療法(子宮収縮薬の内服・腟内挿入)も選択肢です。手術なしで自然排出を促しますが、完全排出率は75〜85%で不全の場合は手術が必要になります。日本では保険適用の薬物療法体制を整えている施設は限られています。

Q5. 2回目の流産でも同じ術式を選んでいいですか?

繰り返し掻爬術を受けることは子宮内癒着リスクを蓄積させます。2回目以降は吸引法への変更・超音波ガイド下手術・薬物療法の併用を積極的に検討することをお勧めします。

まとめ

流産手術の術式選択において、国際的には吸引法(MVA/EVA)が掻爬術より安全性が高いとして推奨されています。

  • 将来の妊娠を希望するなら、子宮内癒着リスクの低い吸引法を積極的に検討する
  • 施設によって対応術式が異なるため、事前に確認することが大切
  • 担当医との十分な話し合いで、自分に合った術式を選択する

次のステップへ

術式について詳しく相談したい方、セカンドオピニオンを求めたい方は、生殖医療専門医・不育症専門外来への受診をご検討ください。あなたの希望と体の状態に合った選択ができるよう、疑問は遠慮なく主治医に伝えましょう。


【免責事項】本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を行うものではありません。症状や治療方針については必ず担当医にご相談ください。掲載情報は2025年5月時点のものです。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/22更新:2026/5/2