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症状がない流産(稽留流産)の発見方法

2026/4/22

症状がない流産(稽留流産)の発見方法

流産は通常、出血や腹痛を伴うものと思われがちですが、症状がまったくない状態で流産が起きていることがあります。これが「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)」です。胎児の心拍が停止していても体は妊娠状態を維持し続けるため、自覚症状なく経過し、妊婦健診の超音波検査で初めて判明します。この記事では、症状のない流産の定義、発見方法、診断後の流れを詳しく解説します。

この記事のポイント

  • 症状がない流産(稽留流産)の定義と発生頻度
  • 超音波検査・hCG検査による発見の仕組み
  • 診断から治療、回復までの全体像

症状がない流産(稽留流産)とは

稽留流産(missed abortion)は、胎児がすでに子宮内で死亡しているにもかかわらず、出血や腹痛といった症状がなく、子宮内容物が自然に排出されない状態を指します。

「症状がない」理由

胎児が亡くなっても、絨毛組織(後に胎盤になる組織)はしばらくhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を分泌し続けます。このため、体は「妊娠が継続している」と認識し、出血や子宮収縮といった排出反応を起こしません。つわりが続いているケースすらあります。

頻度

全妊娠の約10〜15%が流産に至り、そのうち約半数が稽留流産の形で発見されます。妊娠を経験する女性の約5〜7%が稽留流産を経験する計算であり、決してまれな現象ではありません。

発見方法1: 超音波検査(エコー)

稽留流産を発見する最も確実な方法は、経腟超音波検査です。定期的な妊婦健診のエコーで「心拍がない」「胎芽の成長が止まっている」と指摘されて発覚するケースが大半です。

エコーで確認する3つの指標

指標

正常所見

稽留流産を疑う所見

胎嚢(GS)

5週頃に出現、1日約1mm成長

GS径25mm以上で胎芽なし(枯死卵)

胎芽(CRL)

6週頃に出現、週ごとに成長

CRL 7mm以上で心拍確認不能

心拍

6〜7週で確認(毎分110〜160拍)

一度確認された心拍が消失

確定診断の基準

以下のいずれかを満たせば、稽留流産と確定されます。

  • CRL 7mm以上の胎芽に心拍が認められない
  • GS径 25mm以上で胎芽が確認できない

これらの基準に満たない場合は、7〜14日後に再検査を行い、成長の有無を確認してから最終判断を下します。

発見方法2: hCG(血中ホルモン)検査

血中hCG定量検査は、超音波検査の補助として用いられ、妊娠初期(特に5週未満で胎嚢が見えない時期)の評価に有用です。

hCGの正常な推移と異常パターン

  • 正常: 48時間で50〜100%上昇
  • 異常(流産疑い): 48時間で35%未満の上昇、横ばい、または低下

hCG検査の活用場面

主に以下のケースでhCG検査が行われます。

  • 超音波で胎嚢が確認できない早期の段階
  • 超音波所見が確定基準に満たず、判断保留の場合
  • 異所性妊娠(子宮外妊娠)との鑑別が必要な場合
  • 流産後のhCG陰性化を確認するフォローアップ

市販の妊娠検査薬でわかるか

市販の妊娠検査薬はhCGの「有無」を検出するものであり、稽留流産の診断には使えません。胎児が亡くなっていてもhCGが残存している限り陽性を示し続けるためです。

ただし、以下のケースでは妊娠検査薬の変化が手がかりになることがあります。

  • 以前は濃い陽性だったのに、日を追うごとに線が薄くなっている
  • 出血後に検査したら陰性に変わった

これらは流産が進行している可能性を示唆しますが、確実な診断には医療機関での超音波検査とhCG定量検査が必要です。

「つわりがあるから大丈夫」は本当か

つわりの有無で稽留流産を判断することはできません。つわりはhCGの分泌によって引き起こされる症状であり、胎児が亡くなった後もhCGが残存している期間はつわりが続くことがあります。

つわりと流産に関する研究

2016年のJAMA Internal Medicine誌に掲載された研究では、つわりのある女性は流産リスクが低い傾向が示されましたが、これは「つわりがなければ流産する」という意味ではありません。つわりの有無は個人差が大きく、つわりがない正常妊娠も多数存在します。

注意すべき変化

以下の変化が複数同時に起きた場合は、念のため受診を検討してください。

  • 突然つわりがなくなった(8〜10週以降の自然軽快と区別が困難ではある)
  • 乳房の張りや腫れが急に消失した
  • 基礎体温が急激に低下した

診断後の対応——3つの治療選択肢

稽留流産と確定診断された場合、待機的管理・手術・薬物療法の3つから治療法を選択します。

選択肢の比較

治療法

完了率

期間

主なリスク

待機的管理

60〜80%(自然排出)

1〜4週間

予期しない大量出血、感染

子宮内容除去術

95%以上

当日〜翌日

麻酔リスク、子宮穿孔(まれ)、癒着

薬物療法

約80%

数日〜1週間

不完全排出時は追加手術が必要

どの方法が「正解」か

医学的にはいずれの方法も適切であり、どれを選んでも次の妊娠への影響はほぼ同等です。「手術は避けたい」「早く処置を終わらせたい」「薬で進めたい」など、自分の希望を医師に伝え、相談のうえ決めてください。

流産後の回復と次の妊娠

稽留流産後の身体回復は、初期流産であれば4〜6週間で生理が再開し、2〜3ヶ月でほぼ元の状態に戻ります。

回復のタイムライン

  • 出血: 手術後は1〜2週間、自然排出の場合は数日〜2週間で減少
  • hCGの陰性化: 2〜4週間
  • 生理再開: 4〜6週間後
  • 妊活再開: 生理が1回以上来た後、心身の準備ができた時点で可能

次の妊娠の見通し

稽留流産が1回であれば、次の妊娠で出産に至る確率は約80〜85%です。2回以上の連続流産がある場合は不育症の検査が推奨されますが、検査で原因が特定できない場合でも、次回妊娠で出産に至る方が多数です。

よくある質問(FAQ)

Q. 症状がない流産にどうすれば気づけますか?

定期的な超音波検査が唯一の確実な方法です。自覚症状だけで稽留流産に気づくことは困難であり、予定された妊婦健診を欠かさず受けることが最も重要です。

Q. 基礎体温が下がらなければ大丈夫ですか?

基礎体温はあくまで参考指標です。稽留流産でもhCGが残存している間はプロゲステロンの影響で高温期が維持されることがあり、基礎体温だけで安全とは判断できません。

Q. 6週で心拍が見えません。もう流産ですか?

6週は心拍が確認できるかどうかの境界線であり、排卵日のずれにより実際は5週程度の可能性もあります。1〜2週間後の再検査で心拍が確認されるケースは珍しくありません。

Q. 稽留流産後に手術を受けると次の妊娠に影響しますか?

1回の手術であれば、次の妊娠への影響はほとんどないとされています。複数回の手術は子宮内癒着のリスクがわずかに上がりますが、頻度は低いとされています。

Q. パートナーに伝えるタイミングはいつがいいですか?

できるだけ早く伝えることを推奨します。流産は女性だけの経験ではなく、パートナーも悲しみを感じています。一緒に情報を共有し、治療方針を話し合うことが、双方の回復を助けます。

Q. 仕事は何日休む必要がありますか?

手術の場合は当日〜翌日の安静が推奨されますが、体調が良ければ数日後から復帰可能です。自然排出の場合は出血が落ち着くまで無理をしないでください。職場への説明が難しい場合は、医師に診断書の発行を依頼できます。

まとめ

症状のない流産(稽留流産)は、超音波検査でのみ確実に発見できます。つわりの消失や基礎体温の変化が手がかりになることはありますが、確定診断は医療機関のエコーとhCG検査で行われます。治療は待機的管理・手術・薬物療法の3択であり、いずれも次の妊娠への影響はほぼ同等です。定期的な健診を受け、不安がある場合は早めに受診してください。

免責事項: 本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療の代わりとなるものではありません。具体的な症状の判断や治療方針は、かかりつけの産婦人科医にご相談ください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/22更新:2026/5/2