稽留流産は、妊娠の発育が止まっていても子宮内にとどまり、出血や腹痛がないこともある状態です。超音波で慎重に確認し、診断後は体の状態と希望に合わせて待機・手術を相談します。強い痛みや多量出血があるときは、予定を待たず受診してください。
先に確認:今すぐ連絡・受診する症状
- 出血が多い・増え続ける、強い腹痛、ふらつき・失神がある。
- 発熱・悪寒、悪臭のあるおりもの、強いだるさがある。
- 待機中・処置後に、説明された経過と違って具合が悪くなった。
かかりつけの産婦人科へすぐ連絡してください。意識が遠のく、立てない、急激に悪化する場合は119番です。ナプキンの枚数や発熱の時間が、決まった数字になるまで待たないでください。
症状や数値だけで、流産を決めない
出血がなくても稽留流産のことはあります。一方、つわりが軽くなった・心拍がまだ見えないというだけで、流産とは決まりません。排卵のずれ、検査時期、超音波で見える範囲も考慮します。
CRLは胎芽の長さ、GSは胎嚢の大きさです。医師は大きさだけでなく、心拍や胎芽が見えるか、前回からの変化、検査方法を合わせて判断します。検査票の数字だけで自己診断しないことが大切です。
確定できないときは再検査が必要です。次の診察日、何を確認するのか、その前に受診する症状を聞きましょう。説明に疑問がある場合は、画像や判断の根拠の説明、別の医師の確認を求められます。
診断後は、待機と手術の条件を比べる
| 方法 | 選ぶ前に確認すること |
|---|---|
| 自然排出 | 処置をせず経過を見る。排出時期は読めず、痛み・出血に備える。再診の期限と夜間連絡先を決める。 |
| 手術 | 子宮内容除去術で、吸引などにより組織を取り除く。麻酔・術式・入院や付き添いを確認。出血・感染・子宮損傷・遺残などの可能性がある。 |
多量出血・感染がある場合などは、希望だけで待機を続けられないことがあります。待機中に排出しきらない、出血が続く場合は、手術へ変更することもあります。どちらも診察による経過確認が必要です。
「全員2週間以内に自然排出する」「手術なら必ず1回で終わる」とは限りません。週数、子宮内の状態、出血、通院のしやすさ、これまでの体験を合わせて選びます。
海外の薬物療法を、そのまま国内の選択肢にしない
英国の案内には薬による流産管理もあります。日本のメフィーゴパックの承認効能は妊娠9週0日以下の人工妊娠中絶で、稽留流産の治療とは異なります。「保険外なら一般に使える」とも判断できません。
薬の可否・適応は担当医に確認してください。インターネットで購入した薬や手元の薬を使わないでください。
帰宅前に、この4点を聞いておく
- 次の診察はいつか。出血が始まらない・止まった場合も受診するか。
- 夜間・休日の連絡先と、救急受診する症状は何か。
- 使ってよい鎮痛薬、入浴・仕事・運動・性交の再開はどう判断するか。
- 手術なら食事・麻酔・送迎、待機なら出血時の移動や付き添いをどう準備するか。
出血が減った、組織が出たと感じたことだけで、完了したとは判断できません。予定の診察で子宮内の状態などを確認します。痛みや出血が悪化したときは、次の予約日を待たず連絡してください。
「自分のせい」と結び付けない
早い時期の流産では、胎児の染色体の問題がよくみられます。両親に染色体の異常がなくても起こり、個々の原因を特定できないこともあります。
家事や仕事をしたこと、気持ちの持ち方だけから今回の原因は決められません。年齢は集団の流産リスクと関係しますが、それだけで今回の原因や次の結果を説明できるわけではありません。
次の妊娠・不育症の検査はどう考える?
妊娠を試みる時期
経過確認と体の回復、本人・パートナーの気持ちを合わせて相談します。「全員が月経を1〜2回待つ」「必ず6か月待つ」という一律の予定にはしません。出血や痛みが続く、治療が必要な状態なら、先に診察を受けてください。
繰り返した場合の相談
1回の流産で、次も同じことが起こると決まるわけではありません。ただし、次の出産確率を全員80〜85%と示すこともできず、年齢・妊娠歴・検査結果で見通しが変わります。
国内の提言は、流死産2回以上を不育症の相談の目安とし、1回でもリスクが高い場合を評価対象としています。1回なら全員に詳しい血液検査が必要、という意味ではありません。希望や不安も含め、必要な検査を聞きましょう。
流産した組織の染色体検査
希望があれば、手術や自然排出を待つ前に相談してください。検体の採り方・保存方法で、できる検査が変わります。自分だけで採取方法を決めず、施設の説明を受けます。
流産手術時のG分染法には流産歴などの保険適用条件があり、先進医療・自費の検査もあります。一律に「自費3〜5万円」ではありません。結果で分かる範囲、培養できない可能性、費用・自治体助成を事前に確認しましょう。
心の回復に、期限や点数を付けない
悲しみ、怒り、自責感、感情がわかないなど、反応は人によって違います。「3〜6か月で回復すべき」「3項目当てはまるまで相談できない」といった基準はありません。
眠れない・食べられない、生活がつらいときは、日数を待たず産婦人科や心理の専門家へ相談できます。自分を傷つけそうなときは一人にならず、身近な人と救急へつないでください。
「話を聞いてほしい」「今日は連絡への返信を代わってほしい」など、必要な助けを具体的に頼んでも構いません。パートナーも違う悲しみ方をすることがあり、性別で反応を決め付けないでください。
出典と確認日
2026年10月27日確認。この記事は個別の診断・治療指示を行うものではありません。
- RCOG:Early miscarriage(診断、選択肢、経過・支援。薬の扱いは国内と異なる)。
- こども家庭庁:不育症管理に関する提言2025(定義・絨毛検査・心理的支援)。
- 厚生労働省:メフィーゴパックの適正使用等(承認された効能)。
関連記事

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。