不全流産は、流産に伴う排出が始まった後も、妊娠に関連する組織の一部が子宮内に残っている状態です。出血や腹痛が続くことがありますが、症状だけで診断はできません。出血の量、全身状態、超音波などを合わせて、経過観察が可能か、処置が必要かを判断します。
まず出血と体調、緊急性を確認します
| 状態・心配 | 確認・行動 |
|---|---|
| 多量・急増する出血、強い痛み、失神・ぐったりする | 待機や予約日を待たず、直ちに救急の診療を求める |
| 発熱、悪寒、悪臭のある分泌物、痛みや出血が悪化する | 感染などの評価が必要。医療機関へ速やかに連絡する |
| 待機中だが出血が始まらない・続いている | 指示された時期に再評価。症状が変われば予定より早く相談する |
| 体調は安定しているが、待つのがつらい | 希望を伝え、待機継続や手術などの選択肢を相談する |
超音波の数値ひとつで、残留や治療を決めません
診療では、妊娠の経過、以前の超音波、出血・痛み、体温や全身状態を確認し、必要に応じて診察、超音波、血液検査などを行います。子宮内膜の厚さが15mm以上だから全員が不全流産、以下なら治療不要、といった一律の判断はできません。
子宮内の妊娠が以前に確認されていない場合は、出血があり子宮内に胎嚢が見えないだけで「すべて出た流産」と決めないことが大切です。NICEは、その場合に妊娠の場所が未確認である可能性を考え、必要な追跡を行うとしています。
異所性妊娠などを含めて診断を確認します。NICE NG126:流産と妊娠の場所の評価
待機か手術かは、医学的な状態と希望で相談します
出血や感染の危険、貧血などの体調、これまでの経過、通院・緊急時の対応、本人の希望で選択が変わります。大量出血や感染が疑われるときは、自然排出を待つことが適さない場合があります。安定していても、待つ負担が大きいことを遠慮なく伝えてください。
各方法の成功率は、流産の種類、残っている状態、観察期間、何を「完了」としたかで変わります。待機50〜80%、薬80〜85%、手術95〜99%など異なる研究の数値を並べ、本人の結果や最適な方法を保証することはできません。
待機療法:再評価と、予定を待たない症状を決めます
自然な排出を待つ場合は、予想される出血・痛み、痛み止めの使い方、再診日、夜間・休日の連絡先を確認します。英国NICEは、診断が確定し適応のある場合に最初の7〜14日を待機の目安にしています。これは全員の「最大14日」や、14日を超えたら必ず手術、という期限ではありません。
出血・痛みが始まらない、続く・増える場合は再度の超音波などで評価し、待機の継続、薬、手術の選択肢を本人と相談する推奨です。国内では受診先の対応と本人の状況で決めます。悪化したら日数が来るまで待たないでください。NICE NG126:待機と再評価
手術:方法・麻酔・追加処置の可能性を確認します
子宮内の組織を吸引する方法などがあります。MVAは手動の器具による吸引です。方法や麻酔、実施場所は状態と設備で異なり、全員が同じ外来処置になるわけではありません。NICEも、臨床的に適する場合に局所麻酔のMVAや手術室での処置などを選択肢として説明しています。
出血、感染、子宮への損傷、組織の残留、子宮内癒着などの可能性や、追加の処置が必要な場合を担当医に聞きましょう。MVAなら必ず安全、癒着しない、次の妊娠が保証される、と断定できません。緊急時の処置も、一つの方式だけが常に最善とは限りません。
薬の説明は、海外の推奨と国内の承認を分けます
NICEには流産に対する薬物療法の推奨がありますが、海外の薬や投与方法を、そのまま国内で自己使用する案内にはできません。日本のメフィーゴパックの承認された効能は、子宮内妊娠が確認された妊娠63日以下の人工妊娠中絶です。不全流産の薬物療法と同じ承認内容ではありません。
使用する薬、適応、施設の対応、費用は診療で確認してください。「保険が使えれば同じ薬を自宅で飲める」と考えず、個人輸入や自己投与をしないでください。厚生労働省は、メフィーゴは登録医療機関への流通に限られ、薬局やインターネットで購入できないと説明しています。厚生労働省:メフィーゴパックの効能と管理
出血が減っても、指示された経過確認を受けます
経過の確認は、症状、診察・超音波、必要に応じた妊娠反応や血液検査などで行います。出血が止まった、検査薬が陰性になった、月経らしい出血が来たという一つの情報だけで、すべての問題がないと自己判断しないでください。検査が陰性でも強い出血、腹痛、発熱が続けば評価が必要です。
入浴、性交、仕事、運動、タンポンなどの再開は、処置と経過に応じた指示を確認します。全員に同じ2週間の禁止や、hCGが何週で必ずゼロになるという回復期限は示せません。次の妊娠は、完了の確認、身体の回復、治療内容と本人の希望を踏まえて相談します。
つらさや、繰り返す心配も相談できます
悲しみ、安堵、怒り、自責など気持ちは人によって違い、決まった順序や期限はありません。眠れない、食べられない、生活が保てない場合は、2週間たつまで待たず受診先へ相談できます。自分を傷つけそう、安全を保てないときは、直ちに救急の支援を求めてください。
流産を繰り返している、既往や治療に気になることがある場合も、「3回になるまで検査の相談はできない」と待つ必要はありません。妊娠の経過や既往に応じ、必要な評価を産婦人科・不育症の診療で相談しましょう。
出典と確認日
2026年10月26日にNICE NG126の採用箇所と厚生労働省の国内承認・管理情報を確認しました。英国の薬物療法を国内の承認や本人への服用指示として転記していません。医師による本記事の個別監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。