
不育症とは何か、正確に理解している方は多くありません。2回以上の流産・死産・早期新生児死亡を繰り返す状態を指し、日本では約5%のカップルが経験するとされています。原因の多くは特定でき、適切な治療により約80%が出産に至ることが報告されています。
この記事のポイント
- 不育症の定義・診断基準と「習慣流産」との違い
- 原因の約半数は特定可能で、治療により約80%が出産できる
- 専門外来への受診タイミングと検査の流れ
不育症の定義と診断基準
不育症は「2回以上の臨床的妊娠が流産・死産・早期新生児死亡に終わった状態」と定義されています(日本産科婦人科学会)。3回以上繰り返す場合を「習慣流産」と呼ぶこともありますが、現在は2回以上で専門的検索を始めることが推奨されています。
用語 | 定義 |
|---|---|
不育症 | 2回以上の流産・死産・早期新生児死亡 |
習慣流産 | 3回以上の連続した流産(不育症の一部) |
反復流産 | 2回以上の流産(不育症と同義で使われることも) |
不育症の原因と検査内容
不育症の原因は多岐にわたりますが、約50〜60%は原因が特定できます。残りは「偶発的な染色体異常」が主因と考えられ、治療なしでも次回妊娠で出産できる可能性があります。
主な原因カテゴリー
- 抗リン脂質抗体症候群(APS):約10〜20%。血栓傾向により胎盤機能が低下する
- 子宮形態異常:中隔子宮・双角子宮など。約10〜15%
- 内分泌異常:甲状腺機能異常・プロゲステロン不足など
- 夫婦いずれかの染色体構造異常:約3〜5%
- 血液凝固異常:第XII因子欠乏・プロテインS欠乏など
- 原因不明:約40〜50%(偶発的染色体異常が主因とされる)
標準的な検査項目
検査カテゴリー | 主な検査項目 |
|---|---|
血液凝固系 | 抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント、プロテインS・C、第XII因子 |
内分泌 | 甲状腺機能(TSH・FT4)、プロラクチン、血糖 |
子宮形態 | 子宮卵管造影(HSG)、MRI、子宮鏡 |
染色体 | 夫婦末梢血染色体検査(G分染法) |
診療内容と治療方針
原因が特定されれば、それに応じた治療が行われます。適切な治療を受けた場合、次回妊娠での生児獲得率は約70〜80%に達するとされています。
- APS:低用量アスピリン+ヘパリン注射(妊娠中も継続)
- 子宮形態異常:子宮鏡下中隔切除術など外科的治療
- 甲状腺異常:甲状腺ホルモン補充や抗甲状腺薬
- 原因不明:精神的サポート+妊娠初期の厳重管理(TNFα療法を検討する施設も)
口コミ・患者の声(傾向)
不育症専門外来に通院した方々からは、「原因がわかって治療の見通しが立った」「繰り返す流産の理由が理解できて精神的に楽になった」という声が多く聞かれます。一方で「検査結果が出るまでの待機期間がつらい」「保険適用外の検査費用が高い」という声もあります。
費用の目安
不育症検査・治療の費用は、保険適用の有無や実施施設によって異なります。2022年度の保険適用拡大により、一部の検査・治療は保険適用となりました。
内容 | 費用目安 | 保険適用 |
|---|---|---|
初診・問診 | 3,000〜5,000円 | 〇(保険3割) |
基本血液検査セット | 1万〜3万円 | 一部〇 |
染色体検査(夫婦) | 3万〜6万円 | △(施設による) |
抗リン脂質抗体検査 | 5,000〜1万円 | 〇 |
ヘパリン自己注射(妊娠中) | 月2万〜5万円 | 〇 |
受診のポイント
不育症は一般産婦人科では十分な検査が受けられないこともあります。以下のポイントを参考に受診先を選んでください。
- 2回以上の流産経験があれば、不育症専門外来への受診を検討する
- 「不育症相談窓口」(厚生労働省指定)を活用すると専門施設を探しやすい
- 夫婦そろって受診することで、染色体検査などをスムーズに進められる
- 妊娠前から受診し、次の妊娠に備えた準備を行うことが重要
アクセス・受診方法
不育症専門外来は全国の大学病院・総合病院・専門クリニックで受診できます。厚生労働省の「不育症に関する情報」ページや、各都道府県の不妊・不育専門相談センターで近隣施設を検索できます。初診は予約制の施設がほとんどです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 流産が2回続いたら必ず不育症の検査が必要ですか?
2回以上の流産があれば、専門外来での検査を受けることが推奨されます。特に35歳以上、または1回でも心拍確認後の流産があった場合は早めの受診が望ましいとされています。
Q2. 不育症の検査はいつ受ければいいですか?
流産後の出血が落ち着いてから(通常1〜2か月後)受診できます。妊娠前でも相談は可能です。
Q3. 不育症は保険適用で治療できますか?
2022年度の診療報酬改定以降、一部の検査・治療(ヘパリン療法など)は保険適用となりました。ただし施設や検査内容によって異なるため、受診時に確認してください。
Q4. 原因不明の不育症でも治療はできますか?
原因不明の場合でも、妊娠初期から専門施設で厳重な管理を受けることで、生児獲得率は向上します。精神的サポートプログラムとの併用が有効とされています。
Q5. パートナーも検査が必要ですか?
染色体構造異常の検査では夫婦両方の検査が必要です。パートナーと一緒に受診することをお勧めします。
まとめ
不育症は「2回以上の流産・死産」を繰り返す状態で、約50〜60%は原因が特定できます。適切な治療により約80%のカップルが出産を経験しています。2回以上の流産があれば、不育症専門外来への受診を検討してください。早期の検査・治療開始が、次の妊娠への希望につながります。
【免責事項】本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。個々の症状・治療方針については必ず担当医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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