
PGT-A・PGT-SRと不育症の関係について、詳しく知りたいと思っていませんか?この記事では、着床前遺伝学的検査(PGT)の概要から不育症への適用、費用・手続きまで解説します。情報取得日:2026年5月2日。
この記事のポイント
- PGT-Aは胚の染色体数の異常を検査し、流産リスクの低い胚を選択する技術
- PGT-SRは染色体の構造異常(転座等)を持つカップル向けの検査
- 2022年から習慣流産(不育症)を対象とした保険診療内でのPGT-A実施研究が開始
- すべての不育症患者に適応があるわけではなく、条件・手続きが必要
PGT-AとPGT-SRの基本
PGT(着床前遺伝学的検査)は、体外受精で作成した胚を子宮に移植する前に遺伝学的な検査を行う技術です。PGT-A(Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidies)は染色体の数の異常(異数性)を調べる検査であり、PGT-SR(Structural Rearrangements)は染色体の構造異常(転座・逆位等)を調べる検査です。
染色体の数・構造異常は流産の主要な原因の一つであり、特に反復流産・習慣流産を経験した方の胚に染色体異常が多く見られることが知られています。PGTによって染色体正常な胚を選択することで、流産リスクを下げられる可能性が期待されています。
不育症におけるPGT-Aの位置づけ
項目 | 内容 |
|---|---|
対象 | 2回以上の流産(反復流産)または3回以上(習慣流産)で体外受精を行う方 |
目的 | 染色体正常胚の選択による流産率低下・妊娠継続率向上 |
実施体制 | 日本産科婦人科学会の承認を受けた施設のみ(研究的位置づけ) |
費用 | 1胚あたり5万〜10万円程度(自費・施設により異なる) |
注意点 | 体外受精が前提となる。自然妊娠には適用できない |
2022年以降、日本産科婦人科学会が習慣流産を対象としたPGT-A実施の臨床研究を推進しており、条件を満たす施設での実施が可能になっています。ただし自由診療として行われるケースも多く、費用負担の確認が必要です。
PGT-Aを受けるまでの流れ
PGT-Aを受けるには体外受精(IVF)が前提となります。一般的な流れは、①不育症の検査・評価→②体外受精での胚作成→③胚の一部(栄養外胚葉細胞)から細胞を採取→④遺伝学的検査→⑤結果に基づいて移植する胚を選択、という手順になります。
細胞採取後、胚は凍結保存され、検査結果が判明した後に凍結融解胚移植を行います。検査結果が出るまでに通常2〜4週間程度かかります。すべての胚が移植適応となるわけではなく、検査の結果によっては移植できる胚がない場合もあります。
PGT-SRが適応となるケース
PGT-SRは、夫婦のどちらかに染色体の構造異常(均衡型転座、逆位等)が確認された場合に特に有効とされています。構造異常があっても外見上は健常であることが多いですが、卵子・精子に不均衡型の染色体異常が生じやすく、流産や染色体異常児の出生リスクが高まります。PGT-SRによって、構造的に正常または均衡型の胚を選択することが可能になります。
染色体構造異常の有無は夫婦染色体検査(G分染法等)で確認します。この検査は不育症スクリーニングに含まれており、異常が見つかった場合には遺伝カウンセリングを受けた上でPGT-SRを検討することが推奨されます。
費用と保険適用の現状
PGT-A・PGT-SRは現在のところ多くが自費診療(研究として実施される場合は特例あり)です。費用は施設によって異なりますが、胚検査費用として1胚あたり5万〜10万円程度が目安とされています。体外受精費用(採卵・培養・凍結・移植)は別途かかります。
2022年から体外受精・胚移植の保険適用が拡大されましたが、PGT自体の保険適用は限定的です。最新の保険適用状況は担当医・受診施設に直接確認することをお勧めします。
よくある質問
Q1. 自然妊娠でもPGT-Aを受けることはできますか?
A. PGT-Aは体外受精で作成した胚に対して行う検査です。自然妊娠には適用できません。
Q2. PGT-Aをすれば必ず流産しませんか?
A. 染色体正常胚を選択することで流産リスクを下げる効果が期待されますが、流産がゼロになるわけではありません。他の流産原因(子宮形態・免疫等)が関与する場合もあります。
Q3. PGT-Aはどの施設でも受けられますか?
A. 日本産科婦人科学会の承認を受けた特定の施設のみで実施可能です。受診先が対応しているか事前に確認してください。
Q4. 夫婦どちらかが染色体異常でも子どもに遺伝しますか?
A. 均衡型転座などの構造異常は、PGT-SRによって子どもへの遺伝リスクを下げることが可能な場合があります。遺伝カウンセリングで詳しく説明を受けることをお勧めします。
Q5. PGT-Aの結果、移植できる胚がなかった場合はどうなりますか?
A. 再度採卵・胚作成のサイクルに入ることが一般的です。担当医と今後の方針について相談してください。
まとめ
PGT-A・PGT-SRは、反復流産・習慣流産(不育症)を経験した方が体外受精を行う際に、流産リスクを下げる目的で染色体を検査する技術です。特に染色体構造異常がある場合やAMH低値など限られた胚で着床の可否を判断したい場合に有効とされています。ただし適応条件があり、すべての方に推奨されるわけではありません。担当医・遺伝カウンセラーと相談の上で判断することをお勧めします。
※本記事の情報は2026年5月時点のものです。最新情報は公式サイトでご確認ください。また、本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療アドバイスではありません。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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