
不育症の原因検索は「妻側だけが受ける検査」というイメージを持つ方もいますが、夫側にも確認すべき検査項目があります。夫婦双方の検査を受けることで、原因特定の精度が上がります。
この記事のポイント
- 夫が受けるべき不育症検査の種類と目的
- 染色体核型検査の内容・費用・所要時間
- 精子DNA断片化検査の概要
- 夫側に原因が見つかった場合の対応
夫の不育症検査:基本情報
検査項目 | 内容・目的 |
|---|---|
染色体核型検査 | 均衡型転座など構造異常の確認。血液採取で実施 |
精子DNA断片化検査 | 精子DNAの損傷率を測定。流産との関連が示唆されている |
精液検査(基本) | 濃度・運動率・形態の確認 |
保険適用 | 染色体核型検査は保険適用。DNA断片化検査は自費が多い |
結果までの期間 | 染色体核型:3〜6週間、精子検査:1〜2週間 |
染色体核型検査:最重要の夫側検査
不育症で最も重要な夫側の検査は染色体核型検査です。均衡型染色体転座は夫側に存在する場合があり、胚の染色体不均衡による流産の原因となります。
- 検査方法:採血のみ(5〜10mL)。痛みや身体への侵襲は最小限です。
- 判明すること:均衡型転座・逆位など染色体の構造的異常の有無が確認できます
- 陽性率:不育症夫婦での均衡型転座の頻度は約2〜5%とされています
- 所要期間:結果が出るまで3〜6週間かかります
- 費用:保険適用で自己負担 約5,000〜1万円
精子DNA断片化検査
精子DNA断片化検査は、精子のDNA損傷率を定量的に評価する検査です。通常の精液検査(濃度・運動率)では正常でも、DNA断片化率が高い場合があり、流産との関連が報告されています。
- 代表的な検査法:TUNEL法、SCD法、SCSA法があります
- 断片化率の目安:15〜25%以上で流産リスク上昇、30%以上で着床障害・流産リスクが顕著に上昇するとされています
- 改善策:禁煙・禁酒・抗酸化サプリ(ビタミンE・C・コエンザイムQ10)・睡眠改善・精索静脈瘤の治療が有効とされています
- 費用:自費 約2〜5万円(施設によって異なる)
夫の検査の流れ
夫の不育症検査の一般的な流れを紹介します。妻と同日に受けることもできます。
- 妻の初診時または2回目の診察で夫の受診を案内される
- 採血による染色体核型検査を実施する
- 必要に応じて精子DNA断片化検査も実施する
- 3〜6週間後に結果説明を受ける
夫側に原因が見つかった場合の対応
夫側の検査で異常が見つかった場合の対処法を知っておきましょう。
- 均衡型転座が見つかった場合:着床前遺伝子検査(PGT-SR)を用いた体外受精を検討します。遺伝カウンセリングを受けて十分な情報を得てから判断することが重要です。
- 精子DNA断片化率が高い場合:生活習慣の改善(禁煙・抗酸化サプリ)、精索静脈瘤の手術、精巣内精子採取(TESE)による良質な精子の使用などが選択肢となります。
受診の際のポイント
夫の検査を受ける際に確認しておきたいポイントです。
- 染色体核型検査は夫婦同日受診で行えることが多い
- 結果の解釈・遺伝の意味については遺伝カウンセリングを活用する
- 検査結果が陰性でも、精子DNA断片化などの追加検査が有用な場合がある
よくある質問(FAQ)
夫が「検査に行きたくない」と言っています。どうすればよいですか?
採血1回で完了する染色体検査であることを説明し、「原因究明のための情報収集」というフレームで共有することが有効です。不育症専門外来に一緒に来院して医師から直接説明を聞く機会を設けることも助けになります。
染色体検査で転座が見つかったら、子どもに遺伝しますか?
均衡型転座は本人には症状がありませんが、子に伝わる可能性があります。PGT-SRで不均衡な胚を除外することで、正常な染色体を持つ子の出産が期待できます。遺伝カウンセリングで詳しく説明を受けてください。
精子DNA断片化検査はどこで受けられますか?
男性不妊専門クリニック・泌尿器科・一部の産婦人科で受けられます。施設によって実施している検査法が異なります。
精子DNA断片化率は改善できますか?
生活習慣の改善(禁煙・抗酸化物質の摂取・睡眠改善)で数か月後に改善する例が報告されています。精索静脈瘤がある場合は外科的治療が有効なことがあります。
夫の検査に保険は使えますか?
染色体核型検査は保険適用です。精子DNA断片化検査は多くの施設で自費となりますが、精液検査自体は保険適用です。
まとめ
不育症の検査は妻側だけでなく、夫の染色体核型検査と精子DNA断片化検査も重要な情報を提供します。夫側に原因が見つかった場合も、PGT-SRや生活習慣改善など対応策があります。夫婦で一緒に取り組む姿勢が治療の質を高めます。
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為・診断・治療を目的としたものではありません。個別の症状や治療については必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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