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子宮内膜生検と不育症|慢性子宮内膜炎の診断

2026/4/22

子宮内膜生検と不育症|慢性子宮内膜炎の診断

子宮内膜生検と不育症|慢性子宮内膜炎の診断と治療

反復流産(不育症)の原因として近年注目されているのが、慢性子宮内膜炎(CE)です。慢性子宮内膜炎の診断には子宮内膜生検(組織採取)が必要であり、適切な抗生剤治療によって約80〜90%の改善が期待できます。この記事では、子宮内膜生検の手順・痛み・費用、慢性子宮内膜炎の診断基準、そして治療後の妊娠成績について解説します。

この記事のポイント

  • 慢性子宮内膜炎は不育症・着床不全の原因になる——生検で診断できる
  • 子宮内膜生検の手順・痛み・費用(5,000〜2万円程度)の実態
  • 抗生剤治療で約80〜90%が改善、妊娠率・出産率が向上するというエビデンス

慢性子宮内膜炎と不育症の関係

慢性子宮内膜炎(CE)は、子宮内膜に細菌が感染し慢性的な炎症が持続する状態です。自覚症状がほとんどないため見逃されやすいですが、反復流産患者の約27〜56%にCEが認められるという報告があります(Cicinelli et al., 2008; Johnston-MacAnanny et al., 2010)。

慢性子宮内膜炎が不育症に関与するメカニズム

  • 子宮内膜の炎症により、免疫環境(NK細胞・マクロファージのバランス)が乱れる
  • 着床に必要なサイトカイン(LIF・VEGF等)の産生が阻害される
  • 子宮内膜の受容能(インプランテーション・ウィンドウ)が低下する

子宮内膜生検の手順——何をされるのか

子宮内膜生検は、外来で20〜30分程度で完了する比較的簡易な検査です。全身麻酔は不要で、局所麻酔または無麻酔で行います。

検査の流れ

  1. 事前確認:月経開始後5〜10日目(増殖期)が最適なタイミング
  2. 体位:婦人科内診台(砕石位)に乗る
  3. 消毒・拡張:腟壁の消毒後、必要に応じて子宮頸管を軽く拡張
  4. 組織採取:細いカテーテル(パイペル等)を子宮内に挿入し、内膜を吸引・採取(1〜2分)
  5. 病理検査:採取した組織をCD138染色(形質細胞の確認)などで病理診断

痛みについて

「月経痛程度の痛み」と感じる方が多いですが、子宮頸管が細い方は痛みが強い場合があります。痛みが心配な場合は事前に担当医に相談し、鎮痛剤(NSAIDs)の前投薬を検討してください。

費用と保険適用の現状

子宮内膜生検の費用は、実施施設・検査内容によって異なります。不育症診療における生検は自費診療となることが多い状況です。

費用の目安

内容

費用目安

備考

子宮内膜生検(採取のみ)

5,000〜1万円程度

施設により異なる

CD138免疫組織化学染色

5,000〜1万5,000円程度

特殊染色として自費が多い

合計目安

1〜2万円程度

保険適用は限定的

2022年度以降、不育症検査の一部に保険適用が拡大していますが、慢性子宮内膜炎の検査(CD138染色等)はまだ自費診療が多い状況です。担当クリニックに事前に確認してください。

診断基準と検査結果の見方

慢性子宮内膜炎の診断は、CD138陽性形質細胞が高倍率視野あたり1個以上確認された場合に陽性とするのが一般的な基準です(施設によって基準が異なる場合があります)。

診断方法の比較

診断方法

感度・特異度の目安

特徴

子宮内膜生検 + CD138染色

感度約92%・特異度約82%

ゴールドスタンダード

子宮鏡検査

感度約63%・特異度約93%

肉眼的所見(strawberry aspect等)で判断

EMMA検査(マイクロバイオーム)

施設・キットにより異なる

子宮内細菌叢全体を評価

治療——抗生剤療法とその効果

慢性子宮内膜炎と診断された場合、抗生剤(主にドキシサイクリン)による治療を行います。治療成績は良好で、約80〜90%が治癒します。

標準的な治療法

  • ドキシサイクリン(第一選択):100mg×2回/日×14日間
  • メトロニダゾール併用(嫌気性菌が疑われる場合)
  • 治療後2〜4週で再生検を行い、治癒確認

治療後の妊娠・出産成績

比較

着床率

流産率

出産率

CE治癒後(ART)

約60〜70%

約7〜10%

約55〜65%

CE未治療(ART)

約15〜20%

約40〜60%

約10〜15%

(Cicinelli et al., 2015などを参考にした目安値。施設・患者背景により異なります)

EMMA・ALICE検査との組み合わせ

近年、子宮内のマイクロバイオーム(細菌叢)を次世代シーケンシングで評価するEMMA(子宮内細菌叢検査)ALICE(慢性子宮内膜炎関連細菌検査)が一部のクリニックで実施されています。CD138染色と組み合わせることで、より包括的な子宮内環境の評価が可能になります。

  • EMMA:Lactobacillus優位(正常)かどうかを評価
  • ALICE:CE原因菌(腸球菌・ブドウ球菌等)の存在を検出
  • 費用目安:5〜10万円程度(自費)。必須ではなく、標準的CD138検査を補完する位置づけ

よくある質問(FAQ)

Q1. 慢性子宮内膜炎の症状は何ですか?

多くの場合、自覚症状がありません。一部の方に軽い出血・おりもの増加・軽い腹痛がみられる場合がありますが、無症状のまま検査で初めて発見されるケースが大半です。

Q2. 子宮内膜生検はどのタイミングで受けるべきですか?

月経終了後(月経開始から5〜10日目・増殖期)が最適です。妊娠中・出血中は原則として実施できません。

Q3. 抗生剤治療後、すぐに妊娠を試みていいですか?

治療終了後、再生検で治癒が確認されてから妊娠を試みることを推奨します。再生検は治療終了後2〜4週が目安です。

Q4. 体外受精前に全員が受けるべき検査ですか?

現時点では体外受精前の全例スクリーニングは推奨されていません。反復着床不全(3回以上の移植失敗)や反復流産(2回以上)の場合に検討する検査として位置づけられています。

Q5. 一度治癒した慢性子宮内膜炎は再発しますか?

再発の可能性はあります。治療後に再び流産・着床不全を繰り返す場合は、再生検を検討してください。

まとめ

慢性子宮内膜炎は不育症・反復着床不全の見逃されやすい原因のひとつです。CD138染色を用いた子宮内膜生検で診断でき、抗生剤治療で約80〜90%が治癒し、その後の着床率・出産率の大幅な改善が報告されています。

反復流産(2回以上)や体外受精の反復失敗(3回以上)を経験している方は、担当医に慢性子宮内膜炎の検査について相談することをお勧めします。

次のアクション

  • 2回以上の流産歴がある場合は不育症外来で子宮内膜生検を相談する
  • 検査のタイミング(月経後5〜10日)を担当医と調整する
  • 陽性だった場合は抗生剤治療→再生検で治癒確認の流れを確認する

免責事項
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としています。個別の症状・治療方針については必ず担当医にご相談ください。本記事に基づく行動の結果について、当サイトは責任を負いかねます。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/22更新:2026/5/2