
不妊治療を進めるなかで、「注射や薬の費用がこんなにかかるとは思わなかった」という声は少なくありません。2022年の保険適用拡大で多くの薬剤が3割負担で使えるようになりましたが、薬の種類・量・投与方法によって月々の費用は大きく変わります。2026年5月2日時点の情報をもとに、主要な不妊治療薬の費用を解説します。
この記事のまとめ
- 排卵誘発剤(注射・内服)・HCG製剤・黄体ホルモン剤などが不妊治療の主要薬剤
- 2022年4月以降、多くの薬剤が保険収載。3割負担で使用できる
- 注射薬(ゴナドトロピン製剤)は体外受精の刺激周期で数万〜十万円規模になることがある
- 自費(先進医療・自費周期)の薬は保険適用外となり全額自己負担
不妊治療薬剤の基本情報
薬剤分類 | 主な製品名 | 投与方法 | 保険適用 |
|---|---|---|---|
クエン酸クロミフェン(排卵誘発) | クロミッド錠等 | 内服(周期5日間程度) | あり(3割) |
ゴナドトロピン製剤(FSH/LH) | フォリスチム・ゴナールエフ等 | 皮下注射・筋肉注射 | あり(3割) |
HCG製剤(排卵トリガー) | プレグニール・オビドレル等 | 筋肉注射・皮下注射 | あり(3割) |
GnRHアゴニスト | スプレキュア・ブセレキュア等 | 点鼻薬・注射 | あり(3割) |
GnRHアンタゴニスト | セトロタイド・ガニレスト等 | 皮下注射 | あり(3割) |
黄体ホルモン剤 | ルティナス膣錠・ワンクリノン等 | 膣坐薬・注射 | あり(3割) |
プロゲステロン注射 | プロゲステロン注射液 | 筋肉注射 | あり(3割) |
注射薬(ゴナドトロピン製剤)の費用目安
体外受精の卵巣刺激周期で使用するゴナドトロピン注射は、使用量が多いほど費用がかさみます。1アンプル(75〜150IU)あたりの薬価は数千円程度ですが、複数回・複数アンプル使用するため月の薬剤費が大きくなります。
製品名(例) | 単位 | 薬価(目安) | 1周期の使用量 | 3割負担の目安 |
|---|---|---|---|---|
フォリスチム150IUシリンジ | 1本 | 約4500〜5500円 | 10〜20本 | 約1万5000〜3万3000円 |
ゴナールエフ75IU | 1本 | 約2500〜3000円 | 15〜30本 | 約1万1000〜2万7000円 |
HMGスプレー75IU | 1本 | 約1500〜2000円 | 15〜30本 | 約7000〜1万8000円 |
内服薬の費用目安
- クロミッド50mg錠: 1錠約60〜80円(3割)。1周期5錠程度で約900〜1200円(3割)
- レトロゾール(フェマーラ)2.5mg: 1錠約80〜100円(3割)。1周期5錠程度で約1200〜1500円(3割)
- プロベラ2.5mg錠(黄体補充): 1錠約20〜30円(3割)。1周期30錠程度で約1800〜2700円(3割)
薬剤費の月別シミュレーション(体外受精・刺激周期)
薬剤 | 使用量・期間 | 3割負担の概算 |
|---|---|---|
ゴナドトロピン注射 | 8〜14日間 | 1万5000〜3万5000円 |
GnRHアンタゴニスト注射 | 4〜6日間 | 3000〜8000円 |
HCG注射(トリガー) | 1〜2回 | 500〜2000円 |
黄体ホルモン剤(移植後) | 約2週間〜 | 3000〜8000円 |
合計目安 | 約2万2000〜5万3000円 |
薬剤費を抑えるポイント
- 薬剤費も保険診療分として高額療養費・限度額適用認定証の対象になる(調剤薬局分も同月として合算可)
- 自己注射の指導を受けると、クリニックでの注射処置料を抑えられる場合がある
- 自費周期(保険の回数を超えた場合など)は薬剤も全額自己負担になるため費用が大幅に増加する
- 医療費控除の対象:薬剤費(調剤分も含む)は医療費控除の申請に含められる
FAQ
Q1. 排卵誘発の注射は自分でできますか?費用は変わりますか?
医師の指示のもと、自己注射の手技指導を受ければ自宅でできる薬剤もあります。クリニックでの処置料(注射手技料)がなくなる分、通院コストを抑えられます。
Q2. 薬の種類や量はどのように決まりますか?
年齢・AMH値・AFC(胞状卵胞数)などをもとに医師が判断します。卵巣反応によって周期途中で量が調整されることもあります。
Q3. 同じ薬でもクリニックによって費用が違うのはなぜですか?
保険診療の場合は薬価が全国一律ですが、クリニックが独自に設定する処置料・管理料に差があります。自費診療の場合はクリニックが薬価も自由設定できます。
Q4. 薬剤費は医療費控除の対象ですか?
はい。処方された医薬品の費用は医療費控除の対象です。調剤薬局での領収書も保管しておきましょう。
Q5. 先進医療周期での注射薬は保険が使えますか?
先進医療として実施される周期でも、薬剤は通常の保険診療として請求されます(先進医療の技術料のみが自費)。ただし全額自費の自費診療周期では薬剤費も自費になります。
まとめ
不妊治療の薬剤費は、特に体外受精の刺激周期で大きくなる傾向があります。保険適用の拡大により3割負担で使用できる薬剤が増えましたが、使用量・使用期間によって月々の費用には幅があります。薬剤費も高額療養費の対象になるため、採卵月は限度額適用認定証を取得して窓口での立替を最小化することが大切です。
【免責事項】本記事は2026年5月2日時点の公的情報をもとに作成した一般的な情報提供を目的としています。薬価・費用は変動することがあります。具体的な費用・投薬方針については受診するクリニックで必ずご確認ください。医療行為の選択・判断は必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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