
不妊治療における「先進医療」は、保険診療と組み合わせて使える特別な検査・技術です(情報取得日:2026年5月2日)。ERA・PGT-A・タイムラプスといった名前を一度は聞いたことがある方も多いでしょう。これらは保険の対象外で全額自己負担になるため、「実際にいくらかかるのか」「本当に必要なのか」を事前に把握しておくことが大切です。
この記事のポイント
- 主要な先進医療6種の費用目安を一覧で整理(3〜30万円の幅)
- 保険診療との混合が許可される条件と仕組みを解説
- 民間保険の「先進医療特約」で費用を補填する方法を紹介
- どのケースに先進医療が有効かの判断基準も解説
先進医療の費用一覧:主要6項目の相場
厚生労働省が不妊治療で認定している先進医療は複数あり、それぞれ費用水準が異なります。以下の金額はクリニックにより幅があるため、目安として参照してください。実施しているクリニックが限られているため、受診先で対応可能かを事前に確認することが重要です。
先進医療の種類 | 費用の目安(全額自費) | 主な目的 |
|---|---|---|
ERA(子宮内膜着床能検査) | 7〜15万円 | 胚移植の最適タイミングを特定 |
EMMA/ALICE(子宮内細菌叢検査) | 8〜16万円(ERAとセットが多い) | 子宮内の菌バランスを検査 |
PGT-A(着床前染色体異数性検査) | 1胚あたり5〜8万円 | 染色体正常胚を選んで移植 |
タイムラプスインキュベーター | 2〜5万円/周期 | 胚の発育を連続観察・培養評価 |
IMSI(高倍率精子選別) | 3〜8万円 | 形態良好な精子を選別して授精 |
子宮内フローラ検査 | 3〜6万円 | ラクトバチルス優位の環境を確認 |
先進医療の認定リストは厚生労働省のウェブサイトで公開されており、不妊治療分野では定期的に追加・廃止が行われています。受診前に最新リストを確認することを推奨します。
先進医療と保険の「混合」が認められる理由
通常の医療では、保険診療と自費の自由診療を同一の病気に対して行う「混合診療」は禁止されています。しかし不妊治療では、厚生労働省が認定した「先進医療技術」については例外として保険診療との組み合わせが認められています。
- 保険適用部分(採卵・培養・移植など)→ 3割負担
- 先進医療部分(ERA・PGT-Aなど)→ 全額自費
- 両者を同一周期に行うことが可能
ただし、クリニックが先進医療の実施施設として届け出ていることが条件です。受診先のクリニックが対応しているか、必ず事前に確認してください。届出のないクリニックでは先進医療として実施できず、自費診療の選択肢も変わります。
また、先進医療を行った場合は保険診療との合計で医療費控除の対象となります。確定申告時に先進医療費も含めて申告できます。
民間保険の先進医療特約でどこまでカバーできるか
先進医療の費用は全額自費のため、事前に民間の医療保険・生命保険に「先進医療特約」を付加しておくと、給付金で補填できる場合があります。不妊治療の先進医療を利用する前に加入しておくことが重要で、治療開始後の加入では対象外になるケースがあります。
確認ポイント | 内容 |
|---|---|
特約の有無 | 加入中の保険の証券や保険会社に確認 |
給付対象 | 厚労省認定の先進医療が対象(保険会社により異なる) |
給付上限額 | 100〜2,000万円まで(商品による) |
告知事項 | 不妊治療中や既往歴がある場合は引受可否に影響 |
先進医療特約は月々数百円程度で付加できる場合があります。治療開始前の加入が理想ですが、すでに治療中の方は現在の保険内容を確認してみましょう。治療を始めたばかりの段階であれば、条件付きで加入できるケースもあります。
先進医療を選ぶ際の費用対効果の考え方
先進医療は必ずしも全員に必要なわけではありません。担当医とともに、自身の治療歴・検査結果・年齢をもとに「この検査は費用に見合うか」を判断することが重要です。特に1回あたり数万〜十数万円の費用がかかるため、適応を慎重に判断してください。
- ERAが有用なケース:凍結胚移植を2〜3回試みても着床しない反復着床不全
- PGT-Aが有用なケース:高齢(38歳以上)や反復流産・染色体異常の既往がある場合
- タイムラプスが有用なケース:良好胚が得られにくい、胚の評価精度を高めたい場合
- EMMA/ALICEが有用なケース:ERAで着床ウィンドウが正常でも着床しない場合
逆に、初回の採卵・移植周期では標準治療から始め、結果を見ながら先進医療の追加を検討するアプローチが一般的です。最初から全ての先進医療を組み合わせると費用が大幅に増えるため、段階的に必要性を判断することをお勧めします。
先進医療の費用シミュレーション:保険+先進医療の実例
保険適用の体外受精にERAを組み合わせた場合のモデルケースを示します。
費用項目 | 費用(目安) | 負担区分 |
|---|---|---|
採卵周期(IVF・3割負担) | 10〜15万円 | 保険3割 |
凍結胚移植(3割負担) | 4〜7万円 | 保険3割 |
ERA検査 | 7〜15万円 | 全額自費 |
EMMA/ALICE検査(オプション) | 8〜16万円 | 全額自費 |
合計(ERA含む) | 21〜37万円 | — |
先進医療特約の給付金でERA費用をカバーできれば、実質負担は14〜22万円程度になります。民間保険の条件によって大きく変わるため、事前に保険会社へ給付対象か問い合わせてください。
隠れコストに注意:先進医療以外の自費項目
先進医療以外にも、クリニックによって以下が自費になる場合があります。費用の見積もり時に必ず確認してください。
- 黄体ホルモン補充薬(腟坐薬)の一部製剤
- 排卵誘発剤(保険適用外の製剤を使う場合)
- 精子調整・洗浄(IUI時の一部)
- カウンセリング費用
- AMH検査(初回以降)
よくある質問(FAQ)
Q1. ERAとEMMA/ALICEは毎回受ける必要がありますか?
原則として1回受ければ結果は変わらないとされています。ただし子宮環境の変化があった場合は再検査を勧められることがあります。ERA・EMMA・ALICEをセットで受けると費用が割引になるクリニックもあります。
Q2. PGT-Aを受けると採卵数が減りますか?
採卵数そのものは変わりませんが、生検(バイオプシー)により胚へのダメージがわずかにあるとされています。実施するかは医師の説明を聞いて判断してください。
Q3. 先進医療の費用は医療費控除の対象になりますか?
はい。先進医療の費用も医療費控除の対象です。不妊治療関連の費用(交通費を含む)をまとめて申告できます。
Q4. 先進医療を行っていないクリニックに転院すれば保険が使えますか?
はい。先進医療を組み合わせない場合でも保険診療は受けられます。先進医療の実施施設でなくても、標準的な体外受精・顕微授精は保険適用です。
Q5. 先進医療に該当する技術はどこで確認できますか?
厚生労働省のウェブサイトで「先進医療を実施している医療機関一覧」が公開されています。不妊治療分野では定期的に技術が追加・削除されるため、受診前に最新情報を確認してください。
まとめ
不妊治療の先進医療は、ERA・PGT-A・タイムラプスなど着床率改善を目的とした技術で、費用は1検査あたり3〜16万円程度です。保険診療との組み合わせが認められており、民間保険の先進医療特約で費用を補填できる場合もあります。
必要性は個人の状況によって異なるため、反復着床不全・高齢・反復流産といった条件がある方は担当医との相談を優先し、初回周期から全ての先進医療を組み合わせることは慎重に判断してください。
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の医療行為・検査を推奨するものではありません。費用はクリニックや時期によって変動します。治療の判断は必ず担当医とご相談ください。情報取得日:2026年5月2日。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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