
不妊治療の費用が高額になった場合、高額療養費制度を活用することで月額の自己負担を大幅に抑えられます。高額療養費制度と不妊治療について、計算方法や申請手続きを具体的に解説します。
この記事のポイント
- 高額療養費制度の仕組みと不妊治療での活用方法
- 所得区分別の自己負担上限額と計算方法
- 限度額適用認定証の事前取得で窓口負担を軽減する方法
高額療養費制度とは?不妊治療での活用
高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担が上限額を超えた場合に、超過分が後から払い戻される公的制度です。保険適用の不妊治療が対象になります。
2022年4月の保険適用化により、体外受精や顕微授精も高額療養費制度の対象となりました。採卵や移植を行う月は医療費が高額になりやすいため、この制度の活用は必須と言えます。
所得区分別の自己負担上限額
自己負担の上限額は所得に応じて5段階に設定されており、一般的な所得の方(年収約370万〜770万円)で月額約8万円が上限です。
所得区分 | 年収目安 | 月額自己負担上限 |
|---|---|---|
ア(上位所得) | 約1,160万円〜 | 約25万2,600円+α |
イ | 約770万〜1,160万円 | 約16万7,400円+α |
ウ(一般) | 約370万〜770万円 | 約8万100円+α |
エ | 〜約370万円 | 5万7,600円 |
オ(住民税非課税) | - | 3万5,400円 |
※「+α」は、上限を超えた分の1%が加算される計算です。
申請方法と限度額適用認定証
高額療養費の申請方法は「事後申請」と「事前の限度額適用認定証の取得」の2通りあり、認定証を事前に取得しておくと窓口での支払いを上限額に抑えられます。
事前に限度額適用認定証を取得する方法(推奨)
- 加入している健康保険組合・協会けんぽ・国保の窓口に申請
- 認定証が交付される(通常1週間程度)
- 医療機関の窓口で認定証を提示
- 支払いが上限額までに抑えられる
事後申請(払い戻し)の方法
- 医療機関で通常通り3割負担を支払う
- 保険者に高額療養費の支給申請書を提出
- 審査後、上限額を超えた分が口座に振り込まれる(約2〜3か月後)
不妊治療での計算例
体外受精で1か月に約20万円の自己負担が発生した場合、一般的な所得区分なら約12万円が払い戻されます。
項目 | 金額 |
|---|---|
体外受精の保険適用治療費(3割負担) | 20万円 |
高額療養費の自己負担上限(所得区分ウ) | 約8万円 |
払い戻し額 | 約12万円 |
多数回該当と世帯合算の活用
過去12か月以内に3回以上高額療養費の対象になった場合、4回目以降は自己負担上限がさらに引き下げられます(多数回該当)。
不妊治療は複数月にわたって高額な治療が続くことが多いため、多数回該当が適用されやすいです。
所得区分 | 通常の上限 | 多数回該当(4回目〜) |
|---|---|---|
ウ(一般) | 約8万100円 | 4万4,400円 |
エ | 5万7,600円 | 4万4,400円 |
また、同一世帯で同じ月に複数人が医療費の自己負担2万1,000円以上を支払った場合、世帯で合算して高額療養費を申請できます。
高額療養費と他の制度の併用
高額療養費制度は、自治体の助成金や医療費控除と併用が可能です。3つの制度を組み合わせることで、自己負担を最小限に抑えられます。
- 高額療養費制度: 月額の自己負担を上限額に
- 自治体助成金: 先進医療費等の補助
- 医療費控除: 年間の自己負担から税金を還付
よくある質問
先進医療の費用は高額療養費の対象ですか?
いいえ、先進医療費は保険外のため高額療養費制度の対象外です。ただし、同一周期の保険適用部分は対象になります。先進医療費には自治体の助成金を活用しましょう。
限度額適用認定証はどこで申請できますか?
加入している健康保険の窓口に申請します。会社員の方は協会けんぽまたは健康保険組合、自営業の方は市区町村の国保窓口です。マイナ保険証対応の医療機関では認定証なしで上限額が適用されます。
月をまたぐと合算できませんか?
高額療養費は月単位(1日〜末日)で計算されるため、月をまたぐ治療は各月で別々に計算されます。採卵と移植が同月になるよう治療スケジュールを調整することで、制度をより有効に活用できます。
付加給付がある場合はどうなりますか?
大企業の健康保険組合には「付加給付」として、さらに低い自己負担上限(月額2万〜3万円等)を設けている場合があります。加入している健保組合に確認してください。
自費診療と保険適用を同月に受けた場合は?
自費診療は高額療養費の計算に含まれません。同月の保険適用分のみが対象です。
まとめ
高額療養費制度は、保険適用の不妊治療における必須の費用軽減策です。体外受精や顕微授精を受ける月は特に活用のメリットが大きく、限度額適用認定証を事前に取得しておくことで窓口負担も抑えられます。多数回該当や世帯合算も活用し、助成金・医療費控除と組み合わせて総合的な費用対策を行いましょう。
次のステップ
不妊治療を始める前に、加入している健康保険の窓口で限度額適用認定証を取得しておきましょう。Women's Doctorでは、不妊治療の費用に関する情報を随時更新しています。
※この記事の情報は2026年5月時点のものです。高額療養費制度の内容は改定される場合があります。最新情報は厚生労働省の公式サイトをご確認ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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