
さいたま市にお住まいで不妊治療を検討中の方に向けて、市独自の助成金制度と国の保険適用を組み合わせた費用軽減策を解説します。2022年4月から体外受精・顕微授精が保険適用となり、さいたま市では早期不妊検査費助成や不育症検査費助成といった独自の支援制度を設けています。本記事では、各制度の対象条件・助成額・申請手順に加え、体外受精1周期の実質負担額シミュレーションまで、具体的な数字をもとに整理しました。
さいたま市で使える不妊治療関連の助成金は3種類
さいたま市の助成制度は大きく3つあり、それぞれ対象となる費用や上限額が異なります。自分がどの制度を使えるか把握することが第一歩です。
さいたま市が実施している不妊治療関連の助成制度は以下のとおりです。
制度名 | 対象 | 上限額 | 回数 |
|---|---|---|---|
早期不妊検査費助成 | 夫婦で受けた不妊検査 | 35歳未満:3万円/35歳以上:2万円 | 1回 |
不育症検査費助成 | 不育症の検査費用 | 35歳未満:3万円/35歳以上:2万円 | 1回 |
先進医療不育症検査費助成 | 先進医療として実施された不育症検査 | 35歳未満:3万円/35歳以上:2万円 | 1回 |
いずれも検査開始時の妻の年齢が43歳未満であることが要件です。なお、タイミング法・人工授精・体外受精などの「治療費」そのものを対象とする市独自の助成制度は、2022年度の保険適用拡大に伴い終了しています。
早期不妊検査費助成の対象条件と助成額
早期不妊検査費助成は、不妊治療を始める前の検査段階で使える制度です。夫婦そろって検査を受けることが条件になります。
対象となるのは、医師が不妊症の診断のために必要と認めた一連の検査で、夫婦が共に受けたものです。保険適用・適用外を問わず、保険医療機関で実施した検査が対象になります。
主な要件は以下のとおりです。
- 申請時に夫婦の一方または双方がさいたま市に住民登録があること
- 検査開始時の妻の年齢が43歳未満であること
- 法律上の婚姻関係にある夫婦、または事実婚関係にある男女
- 夫婦ともに検査を受けていること
- 検査開始日のどちらか早い方の日から1年以内に完了した検査であること
助成上限額は、検査開始時の妻の年齢が35歳未満で3万円、35歳以上で2万円です。助成回数は夫婦につき1回限りとなっています。早めに検査を受けるほど助成額が多い設計のため、妊活を考え始めた時点での受検が経済的にも有利です。
2022年4月からの保険適用で体外受精の負担は大幅減
国の制度改正により、体外受精・顕微授精が保険適用となりました。さいたま市の助成金と合わせて活用することで治療費を抑えられます。
2022年4月の保険適用拡大により、それまで全額自己負担だった体外受精・顕微授精が3割負担で受けられるようになりました。対象となる条件は以下のとおりです。
- 治療開始時の女性の年齢が43歳未満
- 回数制限:40歳未満は通算6回まで、40歳以上43歳未満は通算3回まで
- タイミング法・人工授精には年齢制限・回数制限なし
保険適用前は体外受精1周期あたり40万〜90万円の自己負担が一般的でしたが、保険適用後は3割負担で10万〜20万円程度に軽減されています。さらに高額療養費制度を使うことで、月ごとの自己負担に上限が設けられます。
なお、保険適用の対象外となる先進医療を併用する場合は、先進医療部分のみ全額自己負担です。ただし保険診療部分は通常どおり3割負担が維持される「混合診療の例外」として認められています。
体外受精1周期の実質負担額シミュレーション
具体的な数字で見ると、高額療養費制度の効果は大きく、年収によっては月8万円程度で体外受精を受けられます。
以下は、さいたま市在住・年収約500万円の世帯が体外受精を1周期受けた場合のモデルケースです。
項目 | 保険点数の目安 | 3割負担額 |
|---|---|---|
排卵誘発(注射・内服薬) | — | 約1万〜4万円 |
採卵(採卵数により変動) | 3,200点〜 | 約1万〜5万円 |
受精・培養・凍結 | — | 約3万〜6万円 |
融解胚移植 | 12,000点 | 約3.6万円 |
合計(3割負担) | — | 約10万〜18万円 |
ここに高額療養費制度を適用すると、年収約370万〜770万円の区分では月の自己負担上限が約8万円程度になります。同一月内に採卵と移植を行った場合、上限額を超えた分は後日払い戻されます。
さらに、事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、窓口での支払い自体を上限額までに抑えることが可能です。
仮に1周期の3割負担額が15万円だった場合の実質負担は以下のようになります。
- 窓口支払い:15万円
- 高額療養費で戻る額:約7万円
- 実質負担額:約8万円
保険適用前は1周期50万円前後かかっていたことを考えると、経済的な負担は大幅に軽減されています。
申請手順と必要書類
早期不妊検査費助成の申請は窓口と郵送の2通りがあります。検査終了後、早めに手続きを進めることが大切です。
申請先
さいたま市子ども未来局 子ども育成部 母子保健課 母子保健係(さいたま市役所2階)が窓口です。郵送での申請も受け付けています。
必要書類
- 助成金交付申請書(市の公式サイトからダウンロード可能)
- 受診等証明書(医療機関で記入してもらうもの)
- 医療機関が発行した領収書の原本
- 夫婦の住所を確認できる書類(住民票の写しなど)
- 振込先の口座情報がわかるもの
事実婚の場合は、上記に加えて「事実婚関係に関する申立書」と戸籍謄本が必要です。
申請の流れ
- 夫婦そろって保険医療機関で不妊検査を受ける
- 医療機関で「受診等証明書」を記入してもらう
- 必要書類を揃え、母子保健課へ窓口または郵送で申請
- 審査後、約2〜3か月で指定口座に助成金が振り込まれる
郵送の場合は、封筒に「助成金請求申請書在中」と明記し、簡易書留や特定記録郵便など配達記録が残る方法で送付してください。
埼玉県の助成制度との関係と併用の考え方
県と市の制度は別々に運営されていますが、同じ検査に対する二重申請はできません。どちらに申請するか事前に確認しましょう。
埼玉県も「ウェルカムベイビープロジェクト」として、早期不妊検査費助成や不育症検査費助成を実施しています。県の制度は市町村を通じて申請する仕組みで、さいたま市の助成制度は県の事業と連動しています。
制度を利用するうえで押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
- 早期不妊検査費助成は、県の事業をさいたま市が窓口として実施している形態
- 同一の検査について、県と市に二重で申請することはできない
- 不育症検査費助成と先進医療不育症検査費助成は、検査内容が異なれば両方申請できる場合がある
- 県の特定不妊治療費助成事業(体外受精・顕微授精の助成)は、2022年度の保険適用拡大に伴い終了済み
現時点でさいたま市民が使える不妊治療の経済的支援は、「検査費用の助成(市の制度)」と「治療費の保険適用+高額療養費制度(国の制度)」の組み合わせが基本です。
費用をさらに抑えるために知っておきたい制度
助成金と保険適用以外にも、医療費控除や付加給付など見落としがちな制度があります。使えるものはすべて活用しましょう。
医療費控除(確定申告)
不妊治療にかかった費用は、医療費控除の対象です。1年間の医療費が10万円を超えた分について、所得税の還付を受けられます。通院の交通費も対象になるため、領収書とあわせて記録を残しておきましょう。
健康保険の付加給付
大企業の健康保険組合に加入している場合、高額療養費に加えて独自の付加給付がある場合があります。月の自己負担が2万〜2.5万円程度まで下がるケースもあるため、加入先の健保組合に確認してください。
限度額適用認定証
事前に加入している健康保険に申請しておけば、窓口での支払いを高額療養費の上限額までに抑えられます。高額な治療を受ける月の前に取得しておくと、一時的な立て替え負担を避けられます。
民間の医療保険
近年は不妊治療を保障対象に含む民間の医療保険も登場しています。ただし加入時期や適用条件に制限があるため、治療開始前に検討することが重要です。
よくある質問
Q. さいたま市に転入したばかりでも助成金を申請できますか?
申請時点でさいたま市に住民登録があれば申請可能です。ただし、検査を受けた時点で市外に住んでいた場合は、検査時の住所地の制度が適用される場合もあるため、事前に母子保健課に確認してください。
Q. 事実婚でも助成の対象になりますか?
対象になります。事実婚の場合は、通常の必要書類に加えて「事実婚関係に関する申立書」と戸籍謄本の提出が求められます。
Q. 体外受精の治療費に対するさいたま市独自の助成金はありますか?
現在はありません。さいたま市の特定不妊治療費助成事業は、2022年4月の保険適用拡大に伴い終了しました。体外受精の費用軽減には、保険適用(3割負担)と高額療養費制度を活用する形になります。
Q. 高額療養費制度は不妊治療にも使えますか?
保険適用の不妊治療であれば利用できます。自費診療や先進医療の自己負担部分は対象外です。同一月内の医療費が自己負担限度額を超えた場合に、超過分が払い戻されます。
Q. 助成金の申請期限はいつまでですか?
明確な申請期限は設定されていませんが、検査終了後すみやかに申請することが推奨されています。年度をまたぐ場合の取り扱いなど、詳細はさいたま市母子保健課(048-840-2218)に確認してください。
Q. 不妊検査と不育症検査の助成金は両方申請できますか?
それぞれ別の制度のため、対象となる検査が異なれば両方申請できます。不妊検査費助成は不妊症の診断のための検査、不育症検査費助成は流産・死産を繰り返す方の検査が対象です。
Q. 先進医療を併用すると保険が使えなくなりませんか?
不妊治療で認められた先進医療については、保険診療との併用が認められています。先進医療部分のみ全額自己負担となりますが、保険診療部分は通常どおり3割負担が適用されます。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の治療法を推奨するものではありません。症状や治療については、必ず担当医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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