
「保険診療と先進医療は一緒に使えるの?」と疑問を持つ方は多くいます。原則として日本では保険診療と自費診療を混在させる「混合診療」は禁止されていますが、先進医療は例外的に保険診療との併用が認められています。2026年5月2日時点の情報をもとに、ルールと不妊治療での活用方法を解説します。
この記事のまとめ
- 混合診療は原則禁止だが「先進医療」「患者申出療養」は保険診療との併用が認められている
- 先進医療の技術料は全額自己負担・保険外となるが、通常の保険診療部分は健康保険が適用される
- 不妊治療の先進医療例:タイムラプス培養・IMSI・ERA・EMMA・PGT-A(2024年度時点)
- 先進医療特約付きの民間保険に入っていると先進医療の技術料が給付される場合がある
制度の基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
混合診療禁止の原則 | 保険診療と自費診療の同時実施は健康保険の給付が全額打ち切りになる |
例外1:先進医療 | 厚生労働大臣が定めた高度な医療技術。技術料は自費、基礎的医療は保険適用 |
例外2:患者申出療養 | 患者の申出により保険外の治療を安全に受けられる制度(2016年創設) |
先進医療の承認機関 | 厚生労働省(年数回更新。技術ごとに承認期限あり) |
実施機関 | 先進医療ごとに厚生労働大臣の承認を受けた医療機関のみ実施可能 |
先進医療と保険の併用ルールの詳細
先進医療制度のもとでは、同一の診療行為の中に保険部分と先進医療部分が混在していても問題ありません。費用の分担は以下のように整理されます。
- 保険適用部分(3割負担): 診察・検査・投薬・入院基本料など通常の医療行為
- 先進医療技術料(全額自費): タイムラプス培養の使用料、PGT-Aの解析費用など
- 保険外併用療養費: 保険部分は通常通り健保が7割負担するため患者の保険適用部分の負担は変わらない
不妊治療における先進医療の例(2024年度時点)
技術名 | 概要 | 費用目安(技術料) |
|---|---|---|
タイムラプス培養 | 培養中の胚を継続的に撮影・評価する技術 | 約5万〜8万円 |
IMSI | 高倍率顕微鏡による精子選別 | 約3万〜5万円 |
ERA(子宮内膜受容能検査) | 着床に最適な時期を遺伝子レベルで判定 | 約10万〜15万円 |
EMMA/ALICE | 子宮内細菌叢・炎症の検査 | 約5万〜8万円 |
PGT-A(着床前検査) | 胚の染色体数的異常を検査 | 約5万〜10万円/個 |
民間の先進医療保険との組み合わせ
先進医療の技術料は高額になることがあるため、民間保険の先進医療特約を活用する方法があります。特約が付いている医療保険・がん保険では、先進医療技術料の実費(上限あり)が給付されます。
- PGT-Aを複数個実施する場合、費用は数十万円規模になることがある
- 先進医療特約の給付条件(承認された技術かどうか、実施機関の要件など)は保険会社によって異なる
- 不妊治療開始前に加入していれば、治療中に先進医療技術料が発生した場合に給付を受けられる可能性がある
- 加入中の保険の内容は保険会社または代理店に確認する
注意点
- 先進医療の実施には厚生労働省が承認した医療機関でなければならない。承認を受けていない機関で行った場合は先進医療ではなく自費診療扱いになる
- 先進医療の技術は定期的に見直され、承認が取り消されたり保険収載(保険適用化)される場合がある
- 自費診療(先進医療ではない自費技術)を保険診療と同じ日に受けた場合は混合診療禁止に抵触する可能性があるため医療機関に確認が必要
FAQ
Q1. 先進医療と保険診療を同じ日に受けても問題ないですか?
はい、先進医療として厚生労働省が承認した技術であれば、同じ日に保険診療と組み合わせて受けることができます。
Q2. 先進医療の技術料は高額療養費の計算に含まれますか?
含まれません。先進医療の技術料は全額自費扱いのため、高額療養費制度の対象外です。保険診療分のみが高額療養費の計算対象になります。
Q3. PGT-Aはどのクリニックでも受けられますか?
厚生労働省の承認を受けた施設のみで実施可能です。希望するクリニックが先進医療の実施承認を取得しているかどうかを事前に確認してください。
Q4. 先進医療に含まれない自費技術(自費PRP・自費ERA等)はどう扱われますか?
厚生労働省の先進医療として承認されていない自費技術は、原則として保険診療と同日同部位での実施が混合診療に該当する場合があります。詳細は医療機関に確認してください。
Q5. 先進医療特約はいつでも加入できますか?
民間保険の先進医療特約は告知義務があり、既に治療中の状態では加入を断られる場合があります。治療開始前に加入しておくことが重要です。
まとめ
保険診療と先進医療の併用は、「先進医療として承認された技術に限り」認められた混合診療の例外です。不妊治療では複数の先進医療技術を組み合わせるケースも増えており、技術料は全額自費であるものの保険診療分の負担は変わりません。費用負担を軽減するには民間の先進医療特約の活用が有効ですが、治療開始前の加入が前提条件になります。クリニック選びの際には先進医療の実施承認の有無も確認するとよいでしょう。
【免責事項】本記事は2026年5月2日時点の公的情報をもとに作成した一般的な情報提供を目的としています。先進医療の承認状況・技術料は変動することがあるため、受診する医療機関および厚生労働省の最新情報をご確認ください。医療行為の選択・判断は必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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