
hCG注射(ヒト絨毛性ゴナドトロピン注射)は、採卵前日に卵子の最終成熟と排卵タイミングを調整するために使われる「排卵トリガー」薬です。「費用はいくらかかるのか」「保険が使えるのか」という疑問に答えます。
この記事でわかること
- hCG注射の薬価と1回あたりの費用
- GnRHアゴニストトリガーとの費用・効果比較
- 保険適用の条件と節約のポイント
hCG注射費用の要点まとめ
項目 | 内容 |
|---|---|
代表製品 | HCG注射(各社)・ゴナトロピン注・オビドレル皮下注など |
薬価(1回分) | 約500〜3,000円程度(製品・用量による) |
保険3割負担の目安 | 約150〜900円/回 |
自費処方の目安 | 約1,000〜5,000円/回(クリニックによる) |
使用タイミング | 採卵34〜36時間前(1回のみ) |
※製品の種類・用量によって費用が異なります。注射手技料が別途発生する場合があります。
hCG注射とは——採卵周期での役割
体外受精では卵巣刺激剤で複数の卵胞を育てた後、採卵の34〜36時間前にhCG(またはGnRHアゴニスト)を注射して卵子の最終成熟を促します。これを「排卵トリガー」と呼びます。
hCGはLH(黄体形成ホルモン)と似た作用を持ち、卵子の成熟・排卵を確実に誘発します。タイミング法・人工授精でも排卵を確実にするために使われることがあります。製品によって筋肉注射(院内処置)と皮下注射(自己注射可)があります。
保険適用の条件
2022年4月の不妊治療保険適用拡大以降、体外受精・人工授精・タイミング法に伴うhCG注射は保険適用の対象となっています。3割負担の場合、薬剤費は数百円程度が目安です。
自費になる主なケースは以下です。
- 保険適用回数の上限を超えた採卵
- 自費専門クリニックでの治療
- 混合診療が適用される場合
GnRHアゴニストトリガーとの比較
アンタゴニスト法では、hCGの代わりにGnRHアゴニスト点鼻薬(スプレキュア等)を排卵トリガーとして使うことができます。
比較軸 | hCGトリガー | GnRHアゴニストトリガー |
|---|---|---|
薬剤費(保険3割) | 約150〜900円 | 点鼻薬数回分(数百円) |
OHSSリスク | 高反応例では高め | 低い(高反応例に適する) |
適用プロトコール | どのプロトコールでも使用可 | アンタゴニスト法のみ |
採卵後の黄体補充 | 通常通り | 積極的な黄体補充が必要 |
OHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクが高い高反応患者ではアゴニストトリガーが選択されることがあります。費用の差は小さく、トリガーの選択は患者のリスクプロフィールによって担当医が判断します。
タイミング法・人工授精でのhCG注射
体外受精だけでなく、タイミング法や人工授精でも排卵を確実にするためにhCG注射が使われます。この場合も保険適用の対象です。超音波検査で卵胞の大きさを確認した後、最適なタイミングで注射します。
タイミング法・人工授精でのhCG注射費用(保険3割)は薬剤費のみで数百円程度ですが、注射手技料・超音波検査料が加わるため1回の診察費用は2,000〜5,000円程度になることが多いです。
高額療養費制度・医療費控除の活用
hCG注射単体の費用は高額療養費の上限に影響することはほぼありませんが、採卵周期全体の費用が高額療養費の月額上限を超える場合は制度が適用されます。
医療費控除は年間の医療費が10万円を超えた場合に申請できます。不妊治療の薬代・診察費・交通費を合計して確定申告で申請してください。院外処方の領収書も含めて1年分保管しておくことをお勧めします。
自己注射と院内注射の費用の違い
hCG注射には院内で看護師に実施してもらう方法と、自己注射の方法があります。院内注射の場合は注射手技料が加算されますが、自己注射の場合は手技料が不要な代わりに注射指導料が発生することがあります。自己注射が可能かどうかはクリニックの方針と製品によって異なります。
オビドレル(コリフォリトロピンアルファ)のような皮下注射製品は自己注射が可能なタイプです。クリニックで手技指導を受けた上で実施します。
よくある質問
Q. hCG注射は保険で受けられますか?
体外受精・人工授精・タイミング法での使用は2022年4月から保険適用です。3割負担の場合、薬剤費は数百円程度です。ただしクリニックの方針・治療内容によって自費になる場合もあります。
Q. hCG注射を自己注射できますか?
製品によっては皮下注射が可能で、自己注射できます。ただし自己注射の可否はクリニックの判断によります。筋肉注射タイプは院内処置が必要です。
Q. hCG注射後に出血が続いた場合はどうすればいいですか?
注射部位の出血・あざは比較的よく見られます。長引く場合や腹痛・発熱を伴う場合はクリニックに連絡してください。
Q. タイミング法でhCG注射を使う必要がないケースはありますか?
自然排卵が確認できた場合はhCG注射なしでタイミングを取ることもあります。超音波検査の結果によって担当医が判断します。
Q. hCG注射とLH注射(ルティナス等)は別の薬ですか?
hCG注射は排卵誘発のためのトリガーです。ルティナスは移植後の黄体補充薬(プロゲステロン製剤)で別の薬です。用途が異なります。
まとめ
hCG注射の費用は保険3割負担で1回あたり150〜900円程度と、採卵周期の薬剤費の中では比較的安価な項目です。2022年の保険適用以降は費用負担が大幅に軽減されています。採卵周期全体の費用管理・高額療養費制度の活用・医療費控除の申請を組み合わせることで実質的な負担を抑えることができます。
不妊治療の費用について詳しく知りたい方へ
採卵周期の費用は薬剤費のほか採卵術料・培養料・麻酔料が加わります。治療開始前にクリニックで費用の全体像を確認し、高額療養費・医療費控除の準備を早めに進めることをお勧めします。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的アドバイスや診断・治療の推奨を行うものではありません。薬価・保険適用の条件は医療機関・保険者・診療内容によって異なります。実際の治療・処方については必ず担当医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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