
胚盤胞の凍結・保存費用は、初回凍結が1〜5万円(保険)または5万〜15万円(自費)、年間保管費用が2万〜5万円が目安です。何年保管するかによって総費用が変わります。この記事では、凍結費用の内訳・年間維持費・費用を抑える方法を具体的に解説します。
この記事のポイント
- 胚盤胞凍結・保存の費用内訳(初回凍結+年間維持費)
- 保険適用と自費の差額、移植時の費用との合計
- 廃棄・延長・移植のタイミングで変わる総コストの考え方
胚盤胞凍結・保存の費用:何にいくらかかるか
胚盤胞凍結・保存の費用は「初回凍結費用」と「年間維持費(保管費)」の2つに分かれます。2022年4月から体外受精・顕微授精が保険適用になり、凍結費用の一部も保険算定されるようになりました。保険適用の場合は初回凍結が3割負担になりますが、年間維持費は多くの場合自費です。
費用項目 | 保険適用(3割) | 自費 |
|---|---|---|
胚盤胞凍結(初回) | 1万〜5万円 | 5万〜15万円 |
追加胚の凍結(1個あたり) | 数千〜1万円 | 1万〜3万円 |
年間保管費(凍結維持費) | 多くは自費(2万〜5万円) | 2万〜5万円 |
融解移植(凍結融解胚移植) | 3万〜10万円 | 10万〜25万円 |
年間維持費(保管費)が「隠れコスト」になる理由
凍結保存を長く続けるほど、年間維持費が積み重なります。移植のタイミングを先延ばしにするほど総コストが増加するため、保存期間を意識した計画が重要です。
保管年数 | 維持費累計(目安:年3万円の場合) | 総費用への影響 |
|---|---|---|
1年 | 3万円 | 初回凍結に3万円追加 |
3年 | 9万円 | まとまった負担に |
5年 | 15万円 | 初回凍結費用と同等以上になる |
10年 | 30万円 | 高額療養費の対象外(自費分) |
クリニックによっては「半年ごと更新」「1年ごと更新」などの更新制を取っているため、更新忘れによる廃棄リスクにも注意が必要です。更新の通知システムがあるかを確認しておきましょう。
保険適用の対象範囲——何が保険で何が自費か
2022年4月以降、体外受精・顕微授精の治療周期における胚の凍結は保険算定できるようになりました。ただし保険適用には治療の流れに沿った条件があります。
- 保険算定できるもの:採卵周期に生じた余剰胚(受精卵)の凍結保存(胚保存管理料)
- 保険算定できないもの(多くの場合自費):
- 年間維持費(凍結保管の継続費用)
- 保険外のクリニックでの凍結
- がん治療前の妊孕性温存目的の凍結(別制度の対象)
- 移植周期:凍結融解胚移植は保険適用(3割負担)で受けられる。1周期あたり3万〜10万円程度
ケース別・総費用シミュレーション
凍結から移植までの総費用を具体的に把握するために、ケース別に試算してみます。実際の費用はクリニックや周期数によって異なります。
ケース | 凍結費用 | 維持費(1年) | 移植費用 | 合計目安 |
|---|---|---|---|---|
保険・1年以内に移植 | 1万〜5万円 | 2万〜3万円 | 3万〜10万円 | 6万〜18万円 |
保険・3年後に移植 | 1万〜5万円 | 6万〜9万円 | 3万〜10万円 | 10万〜24万円 |
自費・1年以内に移植 | 5万〜15万円 | 2万〜5万円 | 10万〜25万円 | 17万〜45万円 |
費用を抑えるための制度と考え方
胚盤胞凍結・保存の費用は高額になりやすいため、利用できる制度を把握した上で計画を立てることが大切です。
①高額療養費制度
保険診療分(凍結費用・移植費用)の月間自己負担が限度額を超えた場合、超えた分が払い戻されます。採卵・凍結・移植を同月に行うと高額になりやすいため、限度額適用認定証を事前に取得しておくと窓口払いを抑えられます。
②医療費控除
年間の医療費が10万円を超えた分は確定申告で一部還付されます。凍結費用・維持費・移植費用・交通費を合算して申告できます。長期保管で維持費がかさむ場合も申告によって負担軽減が可能です。
③早めの移植で維持費を減らす
医学的に移植が可能な状態であれば、長期保管より早めの移植周期を検討することで年間維持費の累積を抑えられます。「もう少し待ってから」という判断が費用面では不利になるケースがあります。ただし治療計画は費用だけでなく体の状態や生活事情を考慮して主治医と話し合いましょう。
よくある質問
凍結した胚盤胞はいつまで保管できますか?
医学的には液体窒素保管であれば長期間の保存が可能とされています。ただし各クリニックで保管期間のルールがあり、更新手続きが必要です。多くのクリニックでは年単位での更新制を取っており、更新しないと廃棄されます。保管期限と更新方法を受診前に確認しておきましょう。
転院した場合、凍結胚を移すことはできますか?
凍結胚の搬送(輸送移送)は可能ですが、輸送費用(3万〜10万円程度)と受け入れ先クリニックの保管手続き費用が発生します。すべてのクリニックが受け入れに対応しているわけではないため、転院前に双方のクリニックに確認が必要です。
凍結胚盤胞の移植成功率はどれくらいですか?
日本産科婦人科学会のデータによると、凍結融解胚盤胞移植の妊娠率は1回あたり30〜50%程度です(年齢や胚のグレードで大きく変わります)。複数回の移植を想定した場合の総費用も考慮に入れて計画することをおすすめします。
余った凍結胚はどうすればよいですか?
不要になった凍結胚は①廃棄②夫婦間での移植継続(子供が生まれた後に再度妊娠を希望する場合)③研究提供(施設が対応している場合)の選択肢があります。廃棄の場合は廃棄手続き費用(数千〜1万円程度)が発生するクリニックもあります。
凍結胚盤胞の保管費用はクリニックを変えると変わりますか?
はい、クリニックによって年間維持費は2万〜5万円と幅があります。長期保管を予定している場合は維持費の安いクリニックへの転院・搬送を検討する価値があります。ただし転院・搬送コストと比較してメリットがあるかを事前に試算することをおすすめします。
胚盤胞の凍結費用は医療費控除の対象ですか?
はい、不妊治療に関連する凍結費用・維持費・移植費用は医療費控除の対象です。自費部分も含めて申告できます。年間医療費の領収書を全て保管しておきましょう。
胚盤胞凍結の保険適用は何回まで使えますか?
移植回数に上限があります(40歳未満は通算6回まで、40〜43歳未満は3回まで)。凍結自体の回数制限はありませんが、移植の保険適用回数が使い切られると移植が自費になります。保険で移植できる回数を計画的に活用することが重要です。
まとめ
胚盤胞凍結・保存の費用は初回凍結1万〜5万円(保険)+年間維持費2万〜5万円(主に自費)が基本構造です。保管期間が長くなるほど維持費が累積するため、早めの移植計画が費用面では有利になります。高額療養費制度と医療費控除を組み合わせて実質負担を軽減しながら、計画的な治療を進めましょう。
次のステップ
胚盤胞凍結・保存の費用や移植計画について詳しく知りたい方は、担当医への相談をおすすめします。凍結胚の数・グレード・移植のタイミングについて確認し、費用シミュレーションを含めた具体的な治療計画を立てることが大切です。
【免責事項】本記事は医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療の代替となるものではありません。費用・成功率は施設や年齢等により異なります。最新情報は各医療機関にご確認ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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