
不妊治療は長期化すると費用が大きな負担になります。保険適用・公的制度・受診の工夫を組み合わせることで、治療の質を落とさずに費用を賢く抑えることができます。実践できる10の節約術をまとめました。情報取得日:2026年5月2日。
この記事のポイント
- 保険適用・高額療養費・医療費控除の3つを組み合わせるだけで大幅な節約が可能
- 治療の早期開始・ステップアップの適切なタイミングが長期的な費用抑制につながる
- 自治体助成金は申請を忘れやすい。居住地の制度を必ず確認する
- 保険適用外の先進医療は「必要性を確認してから選択」が原則
節約術①:保険適用を最大限に使い切る
不妊治療の最大の節約は保険制度を正しく使うことです。2022年4月から体外受精・顕微授精・人工授精が保険適用となり、自己負担は約70%減少しています。
- 治療開始年齢が43歳未満であれば保険適用対象。早めの受診が有利
- 採卵の保険適用回数:40歳未満6回、40歳以上43歳未満3回を計画的に使う
- 届出施設で受診することが保険適用の条件。事前に施設を確認する
節約術②:高額療養費制度を必ず申請する
採卵周期など月の医療費が高額になる月は、高額療養費制度が大きく機能します。申請を忘れると払い戻しを受け損なうリスクがあります。
所得区分 | 月の自己負担上限目安 |
|---|---|
標準報酬月額53万円以上 | 約16万7,400円〜25万2,600円 |
標準報酬月額28万〜50万円 | 約8万100円 |
標準報酬月額26万円以下 | 約5万7,600円 |
限度額適用認定証を事前に取得すれば、窓口での支払いが最初から上限額にとどまり立替が不要になります。
節約術③:医療費控除を確定申告で忘れずに行う
年間の医療費合計が10万円(または総所得の5%)を超えた場合、確定申告で還付を受けられます。不妊治療費だけでなく交通費・市販薬も対象です。
- 対象:不妊治療費・処方薬代・通院交通費(公共交通機関分)
- 夫婦の医療費を合算して申告できる(生計一であれば)
- 還付額目安:医療費200万円上限まで対象。税率20%なら20万円超えた分の20%が還付
節約術④:自治体独自助成金を必ず調べる
保険適用後も多くの市区町村が独自の不妊治療助成を継続しています。制度は自治体ごとに異なるため、居住市区町村の公式サイトや窓口で必ず確認しましょう。
- 助成額は1万〜30万円程度と自治体によって大きな差がある
- 申請期限・回数制限があることが多い。治療中に随時確認を
- 転居した場合は新居住地の助成制度も確認する
節約術⑤:健保組合の付加給付を確認する
会社の健康保険組合によっては、高額療養費の払い戻しに加えて独自の「付加給付」を設けているケースがあります。自己負担限度額をさらに下げてもらえる場合も。
- 会社の人事・総務部門または健保組合に直接問い合わせる
- 配偶者の健保組合の制度も確認する(共働きの場合)
節約術⑥:先進医療は「必要性を確認してから選択」
ERA・タイムラプス・PGT-Aなどの先進医療は保険外の自費です。すべての方に必要なわけではなく、適応があるかどうかを担当医師と相談した上で選択することが費用の無駄を防ぎます。
- 反復着床不全(移植を複数回試みても着床しない場合)ならERAが有効な場合がある
- 初回の体外受精でいきなり先進医療を複数追加するより、まず基本治療の結果を見てから判断する
節約術⑦〜⑩:受診・生活の工夫
制度面だけでなく、日常の選択でも費用を抑えられるポイントがあります。
- ⑦ 早期受診:年齢が若いほど治療成功率が高く、治療期間・総費用が少ない傾向。「まだ様子を見る」より早めの受診が長期的な節約になる
- ⑧ セカンドオピニオンの活用:治療方針に疑問がある場合、別の専門医に相談することで無駄な治療を防げる場合がある
- ⑨ 同一施設での継続受診:検査データの再利用や管理コストの効率化につながる。転院ごとに初診料・検査が発生する点に注意
- ⑩ 通院スケジュールの最適化:仕事を休む頻度を減らすために、朝早い時間帯・土曜対応施設を選ぶと間接的なコスト(有休消化・収入減)を抑えられる
よくある質問(FAQ)
Q1. 保険適用と自費を同じ周期に混合できますか?
保険診療と保険外の自費診療を同一周期に混合すると、その周期の保険分が全額自費扱いになります(混合診療の禁止原則)。先進医療との組み合わせは例外として認められています。
Q2. 医療費控除の申告はどこでできますか?
確定申告は税務署・e-Tax(オンライン)で行います。会社員でも医療費控除は自分で申告する必要があります。医療費の領収書をまとめておきましょう。
Q3. 高額療養費は後から申請できますか?
申請期限は診療月の翌月1日から2年間です。過去の支払いについても遡って申請できます。
Q4. 不妊治療中に仕事を休んだ収入減を補填する制度はありますか?
治療による休業のみを対象とした公的補填制度は現状ありません。ただし会社独自の特別休暇制度や健保組合の支援があるケースも。職場の制度を確認しましょう。
Q5. 節約を考えると安い施設を選んだ方がいいですか?
単純な費用だけでなく、成功率・医師の専門性・設備も考慮することが重要です。費用が安くても治療回数が増えれば総額は増加します。コスト×成功率の観点で施設を選ぶことをお勧めします。
まとめ
不妊治療の費用節約は、保険制度・高額療養費・医療費控除・自治体助成の4つを組み合わせることが基本です。先進医療の選択は必要性を確認してから行い、早期受診・通院効率化などの工夫も長期的な費用抑制につながります。費用の不安を抱えながら治療するより、使える制度を全て把握した上で計画的に臨む方が、精神的にも経済的にも余裕が生まれます。
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としています。各制度の詳細・最新情報は厚生労働省・加入保険者・居住自治体にご確認ください。治療方針については必ず担当医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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