
「会社に不妊治療の支援制度があるか知らなかった」——そう後悔するカップルが後を絶ちません。2023年以降、企業の不妊治療支援は法的整備が進み、福利厚生・休暇制度として導入する企業が増加しています。この記事では、企業の不妊治療支援制度の種類・確認方法・活用のポイントを解説します。
会社の支援制度を活用することで、有給休暇の消費を抑えながら通院でき、治療継続の大きな支えになります。まず自分の会社に何があるかを確認することが最初のステップです。
- 企業が整備すべき支援制度の種類と内容
- 実際に企業が導入している先進事例
- 社員として制度を調べ・申請する方法
企業の不妊治療支援制度の種類
企業が整備できる不妊治療支援制度は大きく「休暇制度」「勤務制度」「費用補助」の3種類に分かれます。どこまで整備しているかは企業規模・方針によって大きく異なります。
分類 | 制度の例 | 主な効果 |
|---|---|---|
休暇制度 | 不妊治療特別休暇(有給)、積立有給休暇の治療目的転用 | 欠勤扱いを防ぎ、収入を守る |
勤務制度 | フレックスタイム、時差出勤、短時間勤務、テレワーク | 通院スケジュールに合わせた勤務が可能 |
費用補助 | 治療費の一部補助(年間上限あり)、医療保険の会社負担 | 直接的な費用負担の軽減 |
情報・相談 | 産業医・社内カウンセラーによる相談、研修・セミナー | 孤立感の軽減、判断のサポート |
その他 | 不妊治療後の職場復帰支援、育休との連携 | 長期的な雇用継続 |
大手企業の先進事例
大手企業を中心に、不妊治療支援を充実させる動きが広がっています。以下は2023〜2024年時点で報告されている事例の一部です(制度名・内容は各社異なります)。
支援内容 | 業種・規模 | 概要 |
|---|---|---|
不妊治療休暇(有給・年10日) | 製造業・大手 | 採卵・移植周期に使用可能な有給休暇を別枠で付与 |
治療費補助(年間30万円上限) | IT・大手 | 保険適用外の治療費(先進医療等)を補助 |
不妊治療特別支援金(一時金) | 金融・大手 | 治療開始時に一時金として支給 |
フレックス+テレワーク完全自由化 | IT・中堅 | 通院日の勤務時間・場所を完全に自由化 |
不妊治療相談窓口の設置 | 全業種 | 外部専門家(社労士・看護師)による無料電話相談 |
中小企業では大手ほど整備が進んでいないケースが多いですが、厚生労働省の「両立支援等助成金」を利用して制度導入コストを補助することができます。
自分の会社の制度を調べる方法
企業の支援制度は、必ずしも積極的に周知されているわけではありません。以下の手順で確認することをおすすめします。
- 就業規則・福利厚生規程を確認:社内ポータル・イントラネットに掲載されていることが多い
- 人事・総務担当者に問い合わせ:「治療と仕事の両立に関する制度はありますか?」と一般的な形で聞く
- 産業医・社内カウンセラーに相談:個人情報は守秘義務で守られる
- 労働組合に問い合わせ:組合加入企業なら組合窓口への相談も可能
問い合わせの際は「不妊治療で使いたい」と明示しなくても「通院が必要な治療について柔軟な対応を相談したい」という形でも構いません。
会社に制度がない場合の対応策
会社に専用制度がない場合でも、既存の制度を組み合わせることで対応できる場合があります。
既存制度 | 不妊治療への活用方法 |
|---|---|
時間単位有給(労基法で義務化) | 1時間単位での取得で通院時間をカバー |
半日有給 | 採卵前後の休養・通院に活用 |
介護・看護休暇 | 不妊治療には直接適用されないが、フレックスは活用可能 |
私傷病休職 | OHSSなど医学的な理由で長期休養が必要な場合 |
また、社内に前例がない場合でも、人事担当者に「不妊治療のための特別有給取得を新設する提案」を行うことで、会社全体の制度改善につながることがあります。
企業が制度を導入するメリット
HR担当者・経営者の視点では、不妊治療支援制度の整備は以下のメリットをもたらします。
- 離職防止:治療を続けながら働ける環境が整えば、優秀な人材の流出を防げる
- 採用競争力の向上:「不妊治療支援あり」の福利厚生は採用ブランディングに有効
- 助成金の取得:厚労省「両立支援等助成金」で最大28.5万円の支給を受けられる
- 生産性向上:心理的安全性が高まり、治療中も業務へのコミット度が向上する
よくある質問
Q. 不妊治療のために会社に事情を話す必要がありますか?
法律上、不妊治療の事実を職場に開示する義務はありません。ただし、柔軟な勤務対応や特別休暇を申請する場合は「治療のため」という理由を示す必要がある場合があります。詳細を伝えるかどうかは個人の判断で構いません。
Q. 不妊治療を理由に昇格を見送られた場合はどうすればいいですか?
男女雇用機会均等法により、不妊治療(妊娠・出産に関わる)を理由とした不利益取扱いは違法です。都道府県の雇用均等室(労働局内)に相談することができます。
Q. 中小企業でも両立支援等助成金は使えますか?
両立支援等助成金は中小企業(100人以下)を主な対象としています。制度設計・申請は都道府県労働局・ハローワークで相談できます。
Q. テレワーク制度がない会社でも交渉できますか?
個別事情として交渉することは可能です。ただし、会社に義務はないため、業務上の実現可能性と信頼関係の両面から慎重に検討してください。
Q. 不妊治療の費用補助は課税対象ですか?
会社からの治療費補助は原則として給与所得として課税対象になります。ただし、企業型確定拠出年金等の福祉目的給付として設計する場合は税務処理が異なることがあります。詳細は税理士・社労士にご確認ください。
まとめ:制度の存在を知り、使う
企業の不妊治療支援制度は、知らないまま使わないのが最も損失の大きい選択です。2023年以降の法整備により、大手企業を中心に支援制度が拡充されています。
- 就業規則・人事窓口で自社の制度を確認する
- 制度がなければ既存の有給・フレックスを組み合わせる
- 不当な扱いを受けた場合は都道府県労働局に相談できる
- HR担当者は助成金を活用して制度整備を進めることができる
不妊治療と仕事の両立に悩んだら
当サイトでは不妊治療の費用・制度・クリニック選びに関する情報を提供しています。職場環境の整備と並行して、治療方針についても専門クリニックに相談することをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・税務アドバイスではありません。制度の詳細・最新情報は厚生労働省公式サイトまたは都道府県労働局にご確認ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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