
「39歳、胚のグレードはBBなのに着床しない」「グレードが低い胚でも妊娠できますか?」――39歳という年齢と胚の質の関係は不妊治療で最も多く寄せられる疑問の一つです。胚グレードと成功率の実データ、そしてグレードを「上げる」ための方法と限界を明確に解説します。
この記事でわかること
- 胚のグレード評価法(ガードナー分類の読み方)
- 39歳での各グレード別の妊娠率データ
- 年齢と胚の質の関係(なぜ質が落ちるのか)
- 胚の質を改善するためにできること・できないこと
- 低グレード胚の移植を検討すべき状況
胚のグレード評価|ガードナー分類の読み方
体外受精で得られた胚盤胞(5〜6日目胚)の評価にはガードナー分類が広く使われます。3つの要素を組み合わせて評価します:
① 胚の拡張度(数字1〜6)
- 1〜2:胚盤胞腔が半分未満〜半分以上
- 3〜4:完全胚盤胞〜完全拡張胚盤胞
- 5〜6:透明帯から孵化中〜完全孵化胚盤胞
② 内細胞塊(ICM)の評価(アルファベット前):将来赤ちゃんになる部分
- A:細胞が多く密集、B:細胞が少ない、C:細胞がごく少数
③ 栄養外胚葉(TE)の評価(アルファベット後):将来胎盤になる部分
- A:細胞が多く良好、B:細胞が少ない、C:細胞がごく少数
例:「5AA」= 孵化中の胚盤胞・内細胞塊A・栄養外胚葉A(最高グレード)
39歳のグレード別妊娠率
グレード | 39歳での妊娠率目安 | 備考 |
|---|---|---|
5AA / 4AA | 約30〜38% | 最高グレード |
5AB / 4AB / 5BA | 約25〜32% | 良好グレード |
3BB / 4BB | 約18〜24% | 標準グレード。複数回で妊娠例多数 |
3BC / 3CB | 約10〜16% | やや低グレード |
2CC / 3CC | 約5〜10% | 低グレード。担当医師と相談 |
※日本産科婦人科学会ARTデータブック、ESHRE(欧州生殖医学会)ガイドラインを参照
同じグレードでも30代前半と39歳では妊娠率に10〜15ポイント程度の差があります。胚の見た目では判断できない染色体レベルの問題が年齢とともに増えるためです。
なぜ39歳で胚の質が落ちるのか
胚の質低下の根本原因は卵子の加齢にあります。精子は継続的に新しく作られますが、卵子は生まれた時からすでに体内に存在しています。
年齢とともに起きる変化:
- 紡錘体の機能低下:染色体を正しく分配する機能が低下し、異数性のリスクが上昇
- ミトコンドリア機能の低下:卵子のエネルギー産生機能が弱まり、胚の発育能力が低下
- 酸化ストレスの蓄積:長年の酸化ダメージがDNA修復能力を損なう
胚の質を改善するためにできること
採卵3〜6ヶ月前からの取り組みで、卵子の質に影響する可能性があるアプローチ:
栄養補充
- CoQ10(コエンザイムQ10):600mg/日以上でミトコンドリア機能をサポートする可能性
- 葉酸:400〜800μg/日。胚の発育に不可欠(厚生労働省推奨)
- ビタミンD:欠乏している場合、補充により妊娠率改善の報告あり
生活習慣
- 禁煙(喫煙は卵子の質に明確な悪影響)
- 適正体重の維持(BMI18.5〜24.9)
- 適度な有酸素運動(週3〜5回・30分程度)
- 睡眠7時間以上の確保
低グレード胚を移植するかどうか
移植を検討してよいケース:高グレード胚が他にない、採卵継続の余裕がない、子宮内環境は良好
再採卵を検討するケース:採卵の継続が可能で、低グレード胚しかない周期が続いている
低グレード胚でも妊娠・出産に至る例は多数あります。「グレードが低い=移植不可」ではありません。
よくある質問
Q: 3BBの胚しかありません。39歳で移植してよいですか?
A: 3BBは標準的なグレードです。39歳での3BB移植の妊娠率は約18〜24%と決して低くはありません。移植を検討する価値は十分あります。
Q: 胚のグレードは移植前に上げられますか?
A: 凍結後の胚のグレードを変えることはできません。次回の採卵に向けた生活習慣改善・栄養補充が「次に得る胚の質」に影響する可能性があります。
Q: 同じグレードの胚でもクリニックによって評価が違うと聞きましたが。
A: その通りです。胚の形態評価は施設間・担当胚培養士間で差異があります。セカンドオピニオンを求めることも選択肢の一つです。
まとめ
39歳での胚の質は年齢の影響を受けますが、グレードは参考情報の一つに過ぎません:
- ガードナー分類は形態評価であり、染色体状態は別途PGT-Aが必要
- 3BB程度のグレードでも十分な妊娠実績がある
- 採卵3〜6ヶ月前からの生活習慣・栄養補充で次回胚の質改善を図れる可能性がある
免責事項
本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療の代替となるものではありません。治療方針については必ず担当医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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