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38歳の卵子凍結助成金|使える制度と費用シミュレーション【2026年】

2026/5/8

38歳の卵子凍結助成金|使える制度と費用シミュレーション【2026年】

38歳での卵子凍結は「遅すぎる」のでしょうか。答えは「遅いが、無意味ではない」です。38歳の卵子は25歳と比べて質が低下していますが、40歳以降のさらなる低下を考えれば、今の卵子を凍結する価値は十分にあります。

キャリアの最盛期にある38歳は、収入面では安定している方が多い年齢です。管理職・専門職として重責を担いながらも、「このままだと子どもを持てないかもしれない」という切迫感が強まる時期でもあります。経済的な余裕がある一方で、時間的な制約が最も厳しい年齢とも言えます。

38歳は国の助成金(35歳以下対象)の対象外ですが、東京都の独自助成金(39歳以下対象)や企業の福利厚生を活用できる場合があります。この記事では、38歳の卵子凍結に関する医学データ、費用と助成金、複数回採卵のスケジュール、そして「凍結すべきかどうか」の現実的な判断基準をお伝えします。

38歳の卵子凍結まとめ

  • 国の助成金(こども家庭庁・最大20万円):対象外(35歳超)
  • 東京都の助成金:対象(39歳以下、最大20万円+保管費)
  • 卵子の質:染色体異常率約50〜55%(約半数に異常あり)
  • 1回の採卵個数の目安:5〜10個
  • 出産1回分に必要な凍結個数:20〜30個
  • 必要な採卵回数:2〜3回
  • 総費用の目安:90〜150万円

38歳の卵巣機能と凍結の医学的意義

38歳の卵巣に残る卵子は約3〜5万個で、20歳代の約10分の1に減少しています。AMH値は平均1.0〜2.0ng/mLですが、個人差が大きくなる年齢です。中にはAMH 0.5ng/mL未満という早期卵巣機能低下の方もいれば、2.5ng/mL以上と年齢の割に高い方もいます。

最も深刻な変化は染色体異常率の急上昇です。38歳では約50〜55%の卵子に染色体異常があり、これは採取した卵子の約半数が正常に発育しない可能性があることを意味します。25歳の約20〜25%、30歳の約25〜30%、35歳の約35〜40%と比較すると、38歳は明らかな「転換点」を超えています。

1回の採卵で得られる成熟卵は5〜10個が目安ですが、AMH値が低い場合は3〜5個にとどまることもあります。出産1回分を確保するには20〜30個の凍結が推奨されるため、2〜3回の採卵サイクルが必要になるケースが多いです。しかし重要なのは、「38歳の凍結卵子」は「40歳以降に自然妊娠を試みる」よりも成功率が高いという事実です。凍結の価値は十分にあります。

38歳の卵巣機能データ

指標

38歳

35歳

40歳

AMH値(平均)

1.0〜2.0 ng/mL

1.5〜3.0

0.5〜1.5

残存卵子数

約3〜5万個

約5〜10万個

約1〜3万個

染色体異常率

約50〜55%

約35〜40%

約60〜70%

1回の採卵個数

5〜10個

8〜12個

3〜8個

凍結卵子1個の出産率

約2〜4%

約4〜7%

約1〜3%

融解生存率

約75〜85%

約80〜88%

約70〜80%

38歳で卵子凍結するメリットと正直なリスク評価

38歳での凍結は、25〜30歳での凍結とは前提が異なります。「万全の備え」というよりも「できる限りの可能性を残す」という位置付けです。メリットとリスクを正直にお伝えします。

メリット

  • 40歳以降のさらなる低下を防げる:40歳の染色体異常率は約60〜70%。38歳の卵子は40歳の卵子と比べて明らかに質が高い
  • 経済的に余裕がある:キャリアの最盛期で収入が安定しているため、複数回の採卵費用を捻出しやすい
  • 凍結した卵子を使う可能性が高い:38歳以降で出産する場合、凍結卵子が唯一の「保険」になる
  • 東京都の助成金はまだ使える:39歳以下が対象の都の助成金(最大20万円+保管費)を活用可能

リスク・注意点

  • 複数回の採卵が必要:2〜3回の採卵で費用は90〜150万円になる可能性がある
  • 国の助成金は対象外:35歳超のため、こども家庭庁の助成金は利用不可
  • 凍結しても妊娠の保証はない:染色体異常率が約50〜55%のため、凍結した全ての卵子が使えるわけではない
  • 期待値の管理が重要:「凍結すれば安心」ではなく「凍結しても不確実」という前提を理解すべき

38歳で凍結しなかった場合のリスクも考えましょう。40歳で凍結する場合、染色体異常率は約60〜70%に上昇し、採卵個数は3〜8個に減少。3〜5回の採卵で120〜250万円が必要になります。2年の違いが費用とリスクの両面で大きな差を生むのが38歳という年齢です。

38歳が使える助成金・費用軽減制度

38歳は国の助成金の対象外ですが、他の制度を活用して費用負担を軽減できます。

東京都の助成金(38歳は対象)

項目

内容

対象年齢

18〜39歳

助成上限額

卵子凍結費用:最大20万円+保管費用:最大5万円/年×5年

備考

国の助成金は使えないが、都の制度は利用可能

企業の福利厚生

企業名

補助内容

メルカリ

最大200万円(年齢制限なし)

サイバーエージェント

卵子凍結費用の補助

パナソニック

不妊治療・卵子凍結の費用補助

富士通

卵子凍結費用の一部補助

企業福利厚生は38歳でも利用可能な場合が多いです。特にメルカリの最大200万円は38歳の複数回採卵費用をほぼ全額カバーできる可能性があります。勤務先の人事部に確認しましょう。大阪府のAMH検査助成は年齢制限なく利用可能です。

38歳の卵子凍結費用シミュレーション

38歳は複数回の採卵が必要になるケースが多いため、2〜3回のシナリオでシミュレーションします。

項目

2回採卵

3回採卵

初診・検査

1〜3万円

1〜3万円

排卵誘発〜採卵

50〜80万円

75〜120万円

凍結処理

10〜15万円

15〜20万円

保管料(2〜3年)

6〜15万円

6〜15万円

合計

90〜110万円

110〜150万円

東京都助成金控除後

70〜90万円

90〜130万円

医療費控除の節税効果は38歳の複数回採卵で特に大きくなります。年収700万円で3回の採卵費用合計130万円の場合、10万円を超える120万円が控除対象。所得税率23%で約27.6万円、住民税10%で約12万円、合計約39.6万円の還付が見込めます。2年にまたがって採卵すれば各年で控除を申請でき、さらに効率的です。

38歳の採卵スケジュールと複数回採卵の進め方

38歳で複数回の採卵を計画する際のスケジュール感を解説します。時間は限られていますので、効率的に進めることが重要です。

ステップ1:至急AMH検査(1日)

AMH検査は血液検査のみで、結果は1週間程度で出ます。AMH 1.0ng/mL以上なら複数回の採卵で目標個数に到達できる可能性が高いです。0.5ng/mL未満の場合は、低刺激法やナチュラルサイクル法での少数採取を複数回行うアプローチも検討します。

ステップ2:1回目の採卵(約3週間)

月経開始から排卵誘発を開始し、約2週間後に採卵。38歳では卵巣への負担を考慮して、やや穏やかな刺激法を選択するクリニックもあります。

ステップ3:2回目の採卵(1〜2ヶ月後)

1回目の採卵後、1〜2ヶ月の回復期間を経て2回目の採卵を実施。この間に1回目の凍結個数を確認し、目標までの残り個数を計算します。

ステップ4:3回目の採卵(必要な場合)

2回の採卵で目標個数(20〜30個)に達しない場合は3回目を計画。全体のスケジュールとしては3〜6ヶ月を見込みます。

38歳で卵子凍結を経験した方の声

Iさん(38歳・IT企業マネージャー)は、離婚後に「もう一度家庭を持ちたい」と卵子凍結を決意しました。AMH検査で1.4ng/mLとやや低めの結果。1回目の採卵で7個、2回目で6個、3回目で5個の成熟卵を凍結し、合計18個を確保。国の助成金は対象外でしたが、東京都の助成金20万円と企業の福利厚生30万円を活用。3回の採卵にかかった費用は約130万円で、助成金を差し引いた自己負担は約80万円。「高額だったが、40代で後悔するよりはいい。今の自分にできる最善の選択をした」と話しています。

Jさん(38歳・大学准教授)は、研究キャリアを優先してきた結果パートナーがおらず、「アカデミアの世界で出産のタイミングを見つけるのは難しい」と感じて凍結を検討。2回の採卵で合計15個を凍結。「18個の目標には届かなかったが、ゼロと15個では全く違う。可能性を残せたことで精神的に楽になった」と語っています。

38歳の卵子凍結と不妊治療の違い

38歳で卵子凍結を検討する際、「凍結ではなく今すぐ不妊治療(体外受精)を始めた方がいいのでは?」という疑問を持つ方もいます。この判断は「パートナーの有無」によって異なります。

パートナーがいる場合は、受精卵(胚)凍結の方が妊娠率は高くなります。未受精卵の融解→受精→胚発育の各段階で脱落があるため、胚として凍結した方が効率的です。パートナーと将来の家族計画について合意できているなら、胚凍結を検討する価値があります。

パートナーがいない場合は、未受精卵凍結が唯一の選択肢です。「パートナーができてから」では40歳を超えてしまうリスクがあるため、38歳の今、卵子を凍結しておくことに大きな意味があります。

よくある質問:38歳の卵子凍結FAQ

38歳の卵子凍結は意味がありますか?

意味はあります。38歳の凍結卵子は、40歳以降に自然妊娠を試みるよりも高い成功率が期待できます。ただし、25〜30歳の卵子と比較すると質は低下しているため、より多くの個数を凍結する必要があります。最低でも15〜20個、理想的には25〜30個の凍結を目指しましょう。

38歳でAMHが0.5ng/mL未満です。凍結は無理ですか?

AMHが0.5ng/mL未満は卵巣機能が大幅に低下した状態で、1回の採卵で得られる卵子数は1〜3個程度にとどまる可能性があります。凍結の効率は低くなりますが、「不可能」ではありません。低刺激法やナチュラルサイクル法で少数の卵子を複数回に分けて採取するアプローチもあります。不妊治療専門医と相談し、現実的な目標を設定しましょう。

38歳で複数回採卵する場合の総費用は?

2回の採卵で90〜110万円、3回で110〜150万円が目安です。東京都の助成金(最大20万円+保管費補助)を活用すれば自己負担は70〜130万円程度。医療費控除を含めると実質50〜100万円程度まで軽減できるケースもあります。

38歳と40歳での凍結、どれくらい差がありますか?

38歳と40歳では大きな差があります。染色体異常率は38歳の約50〜55%から40歳の約60〜70%に上昇し、1回の採卵個数は5〜10個から3〜8個に減少。必要な採卵回数は2〜3回から3〜5回に増え、費用は90〜150万円から120〜250万円に跳ね上がります。2年の差が質・量・費用の全てに影響します。

38歳のAMH検査結果別の凍結戦略

38歳はAMH値の個人差が特に大きくなる年齢です。検査結果によって取るべき戦略が異なりますので、パターン別に解説します。

AMH値が2.0ng/mL以上の場合は、38歳としては卵巣機能が良好な状態です。1回の採卵で8〜12個の卵子が期待でき、2回の採卵で目標個数(20〜30個)に近づける可能性があります。この場合の費用は90〜120万円程度です。ただし、AMH値が高くても染色体異常率は年齢に応じて高い(約50〜55%)ため、「量は取れるが質は年齢相応」という点を理解しておきましょう。

AMH値が1.0〜2.0ng/mLの場合は年齢相応の卵巣機能です。1回の採卵で5〜8個程度が見込まれ、3回の採卵で15〜24個の凍結を目指します。費用は110〜150万円程度になることが多いです。排卵誘発の方法を工夫して、できるだけ多くの卵子を採取できるようクリニックと相談しましょう。

AMH値が0.5ng/mL未満の場合は、卵巣機能が大幅に低下した状態です。高刺激の排卵誘発ではなく、低刺激法やナチュラルサイクル法で1〜3個ずつ採取するアプローチが選択されることがあります。5回以上の採卵が必要になるケースもあり、費用と時間の負担が大きくなります。この場合は不妊治療専門医と「凍結の実効性」について率直に相談し、現実的な目標を設定することが重要です。「何個凍結できれば何%の確率で出産に至るか」を具体的な数字で確認してから判断しましょう。

38歳が考えるべき妊娠・出産のリアルなタイムライン

38歳で卵子凍結をした場合、その後のタイムラインを現実的に描いてみましょう。39〜40歳でパートナーと出会い、40〜41歳で結婚、41〜42歳で凍結卵子を使って体外受精——というシナリオでは、出産時の年齢は42〜43歳になります。高齢出産のリスク(妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開率の上昇など)は上がりますが、産科医療の進歩により安全に出産できるケースが増えています。

パートナーがすでにいる場合は、まず自然妊娠を試みることをおすすめします。38歳の自然妊娠率は月あたり約10〜15%で、半年間で約60〜70%の方が妊娠するとされています。自然妊娠と並行して卵子凍結を行っておけば、自然妊娠が難しかった場合のバックアップになります。

重要なのは「凍結したから大丈夫」と安心しすぎないことです。38歳の凍結卵子は若い年齢の卵子と比べて質が低下しているため、凍結は「保証」ではなく「保険」です。凍結と並行して、パートナー探しや妊活の準備を進めることが推奨されます。

38歳の卵子凍結と精神的な準備

38歳での卵子凍結は、医学的なデータが厳しい分、精神的な準備も重要です。凍結を決意した方の多くが「現実を受け入れること」が最初のハードルだったと語っています。染色体異常率約50〜55%、複数回の採卵が必要、費用は100万円以上——これらの数字を見て「もっと早くやれば良かった」と後悔する方は少なくありません。

しかし、過去を悔やんでも卵子は若返りません。大切なのは「38歳の今、できる最善のこと」に集中することです。凍結経験者の多くが、「後悔はあるが、38歳で行動できたことを良しとしている」と話しています。「もし何もしなかったら、40歳で後悔していただろう」という声もあります。

採卵を複数回行う過程では、思ったほど卵子が取れなかったり、凍結できる成熟卵が少なかったりすることがあります。こうした時に感情的に落ち込まないよう、事前に「期待値を低めに設定しておく」ことが大切です。1回の採卵で5個取れれば「合格」、3個でも「次に繋がる」と捉えるマインドセットが、複数回の採卵を乗り越えるための力になります。

また、クリニックのカウンセリングサービスを活用することもおすすめです。卵子凍結専門のカウンセラーがいるクリニックでは、医学的な情報だけでなく、精神的なサポートも受けられます。38歳での凍結は身体的にも精神的にも負荷が大きいため、サポート体制が整ったクリニックを選ぶことが重要です。

38歳の卵子凍結と並行して行うべきこと

38歳で卵子凍結を行う際は、凍結だけでなく並行してやっておくべきことがあります。まず、婦人科の総合検診です。子宮内膜症、子宮筋腫、卵管の異常など、妊娠を妨げる因子がないかを確認しておきましょう。卵子凍結で卵子は確保できても、子宮側に問題があれば妊娠は成立しません。

次に、基礎的な健康管理です。38歳は生活習慣病のリスクが上がり始める年齢でもあります。高血圧、糖尿病、肥満などは妊娠のリスクを高めるため、凍結卵子を使用する前に体調を整えておくことが重要です。定期的な健康診断の受診、適度な運動習慣、バランスの取れた食事を心がけましょう。

パートナー探しも並行して進めることを推奨します。38歳で凍結した卵子は「保険」であって「保証」ではありません。凍結に安心して先送りにし続けると、43歳、44歳と出産年齢が高くなり、妊娠・出産のリスクが増大します。凍結と並行して積極的にパートナーとの出会いの機会を作り、できるだけ早い時期に凍結卵子を使用する、あるいは自然妊娠を試みることが理想的です。

凍結した卵子の保管については、毎年クリニックから更新確認の連絡が届きます。38歳で凍結した場合、使用するまでの期間は比較的短い(2〜5年程度)ことが多いため、保管料の総額は6〜25万円程度です。保管中に転居する場合は、クリニック間で凍結卵子を移送することも可能ですが、移送費用(5〜10万円程度)がかかるため、転居の可能性がある方は事前に確認しておきましょう。

まとめ:38歳の卵子凍結、判断のポイント

38歳の卵子凍結は「遅いが無意味ではない」——この結論に尽きます。複数回の採卵が必要で費用もかかりますが、40歳以降のさらなる低下を考えれば、38歳の卵子を確保しておく価値は十分にあります。

  • 至急AMH検査を受ける——一刻も早く卵巣機能を確認
  • 東京都の助成金(39歳以下対象)を活用——国の助成金は使えないが都の制度は利用可能
  • 企業の福利厚生を確認——メルカリ(最大200万円)など高額補助の制度がある
  • 複数回の採卵を前提に費用を計画——2〜3回で90〜150万円
  • 「凍結すれば安心」ではなく「凍結しても不確実」——期待値を正確に理解して判断

38歳という年齢は「最後のチャンスに近い」年齢です。行動するなら今です。まずはAMH検査の予約を取るところから始めてください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/5/8更新:2026/5/8