
子宮卵管造影(HSG)の検査で「卵管が詰まっている」と言われた瞬間、頭が真っ白になった——そんな経験をした方は少なくありません。「これで妊娠できなくなったの?」という恐怖と向き合いながら、その後の治療方針を理解し前に進んだ方々のリアルな経験を通じて、卵管閉塞の実態と選択肢を整理します。
この記事でわかること
- 卵管閉塞と診断されたときの医学的意味
- 片側・両側閉塞での自然妊娠の可能性
- 卵管閉塞の主な原因と再確認検査
- 治療選択肢(腹腔鏡・体外受精)と経験者の声
卵管閉塞とは|HSGで分かること
卵管は卵巣から放出された卵子が精子と出会い、受精する場所です。卵管が詰まる(閉塞)または狭くなる(狭窄)と、精子が卵子に到達できなくなり自然妊娠が難しくなります。
HSG(子宮卵管造影)でX線を使って確認すると、正常な卵管は造影剤が卵管全体を通過して腹腔内に散布される様子が見えます。造影剤が卵管の途中で止まる場合に「閉塞」と判定されます。
注意:HSGの偽陽性(スパズム)
HSGで「閉塞あり」と診断されても、実際には卵管が緊張(スパズム)して一時的に閉じているだけのケースが20〜30%あります。緊張性の閉塞は本当の閉塞ではなく、鎮痙薬の投与・再検査・腹腔鏡検査で確認することが推奨されます。「HSGで閉塞と言われたが腹腔鏡では問題なかった」という経験を持つ方も少なくありません。
片側閉塞と両側閉塞の違い
閉塞の種類 | 自然妊娠の可能性 | 治療方針の基本 |
|---|---|---|
片側閉塞(一方だけ) | 残りの1本が開通していれば可能 | 卵胞モニタリングで開通側の排卵を確認し、タイミング法・人工授精を試みることもある |
両側閉塞 | 自然妊娠・人工授精は困難 | 体外受精(卵管を使わず体外で受精)が推奨される |
卵管水腫(水が溜まっている) | 着床を妨げる液体の流入リスクあり | 腹腔鏡で卵管切除または結紮後、体外受精 |
卵管閉塞の主な原因
卵管が閉塞する原因として最も多いのは、過去の骨盤内感染症(クラミジア・淋菌等)による炎症です。感染に気づかないまま進行し、卵管に癒着・閉塞が残るケースがあります。そのほかの原因は以下の通りです。
- クラミジア感染(最多):性感染症の中で最も卵管障害を引き起こす。日本では性経験のある女性の5〜10%に抗体陽性が確認される
- 子宮内膜症:骨盤内の癒着が卵管をふさぐ
- 卵管水腫:卵管に液体が溜まり閉塞する
- 過去の手術(帝王切開・虫垂炎)後の癒着
- 結核性腹膜炎(まれ)
腹腔鏡検査・手術という選択肢
HSGで閉塞が疑われた場合、より精度の高い確認と同時治療が可能な腹腔鏡手術が選択肢になります。全身麻酔下でおへその下から腹腔鏡を挿入し、直接卵管の状態・骨盤内の癒着・子宮内膜症の有無を確認します。軽度〜中等度の閉塞や癒着は手術中に同時に剥がせることがあります。
ただし、重度の閉塞や卵管水腫がある場合は腹腔鏡での修復効果が低く、体外受精に直行する方が時間効率が良いと判断されるケースも多いです。
体外受精という選択肢
卵管を使わない体外受精は、卵管閉塞がある方にとって最も効果的な治療法です。採卵→体外受精→胚移植という流れで、卵管の問題を「バイパス」して妊娠を目指せます。両側閉塞でも、卵巣機能が保たれていれば体外受精で妊娠できる可能性があります。
「卵管が詰まっていると言われた」方の声
HSGで卵管閉塞を告げられた方の多くが「もう自然妊娠はできないのかと思った」と振り返ります。しかし片側閉塞の場合や、スパズムで再検査後に開通が確認されたケースも多く、「最初の診断がすべてではない」という視点も重要です。体外受精に進んだ方の中には「むしろ原因が分かってよかった。モヤモヤから解放された」という声もあります。
よくある質問
Q. 片側閉塞でも人工授精は意味がある?
開通側の卵管に向けて排卵するタイミングで人工授精を行うと、成功の可能性があります。卵胞モニタリングで排卵が起きる側を確認してから実施するクリニックもあります。ただし開通側の排卵が毎月保証されるわけではないため、年齢や治療歴に応じて体外受精への切り替えも視野に入れます。
Q. 卵管水腫があると体外受精の成功率が下がる?
はい。卵管水腫の液体が子宮内に流れ込むと着床環境を悪化させ、体外受精の成功率を下げます(約50%低下という報告もある)。そのため、卵管水腫がある場合は体外受精前に腹腔鏡で卵管を切除または結紮する処置が推奨されることが多いです。
Q. 閉塞の原因がクラミジアと分かったら、パートナーも治療が必要?
はい。クラミジア感染が確認された場合、パートナーも同時に検査・治療する必要があります。一方だけ治療しても再感染するリスクがあるためです。感染経路について過去を問い詰めるより、「今後どう対処するか」に集中することが関係性のためにも重要です。
Q. 腹腔鏡手術で卵管が治った場合、自然妊娠できる?
軽度の閉塞・癒着が解除された場合は自然妊娠の可能性があります。術後1〜2年が妊娠しやすいとされ、その間にタイミング法・人工授精を試みることが多いです。ただし重度の閉塞で卵管の損傷が大きい場合は術後の妊娠率が低く、体外受精が推奨されます。
Q. HSGの後、卵管閉塞の再確認は必要?
HSGで閉塞が疑われた場合、スパズムの可能性を排除するために再検査(同検査の繰り返し・通水検査・腹腔鏡)を行うことがあります。治療方針を決める前に「本当に閉塞があるのか」を確認することが重要です。担当医に再検査の必要性を確認しましょう。
まとめ
卵管閉塞の診断は、妊活の道を閉ざすものではありません。片側閉塞ではタイミング法・人工授精の継続も選択肢になり、両側閉塞では体外受精が有効な治療法です。HSGの偽陽性(スパズム)の可能性もあるため、腹腔鏡検査による再確認も視野に入れながら、担当医と一緒に最善の治療方針を組み立てることが大切です。
免責事項:本記事は医療情報の提供を目的とした一般情報です。個別の医学的判断・診断・治療方針については、必ず担当医にご相談ください。情報の正確性には細心の注意を払っていますが、医学の進歩により内容が変わることがあります。(情報取得日:2026-05-02)
この記事を書いた人
EggLink編集部
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