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【体験談】慢性子宮内膜炎が見つかった|治療経過

2026/4/19

【体験談】慢性子宮内膜炎が見つかった|治療経過

【体験談】慢性子宮内膜炎が見つかった|検査から治療、その後の経過まで

不妊治療を続けるなかで「慢性子宮内膜炎」と診断されるケースが増えています。本記事では、編集部が取材した内容を基に、慢性子宮内膜炎が見つかった方の体験談を構成しました。CD138検査や抗生剤治療の実際、治療後の経過について、同じ悩みを抱える方の参考になれば幸いです。

この記事の要約

  • 慢性子宮内膜炎は自覚症状がほとんどなく、不妊検査の過程で発見されることが多い
  • CD138検査(免疫染色)で診断され、抗生剤による治療が一般的
  • 治療後に妊娠率が改善したとする報告があり、着床不全の原因として注目されている
  • 取材したケースでは、約2週間の抗生剤服用後に再検査で改善を確認
  • 慢性子宮内膜炎の治療は比較的短期間で完了するケースが多いとされる

慢性子宮内膜炎とは? 自覚症状がほとんどなく不妊検査で初めて見つかることが多い炎症で、子宮内膜に慢性的な炎症が続いている状態を指します

慢性子宮内膜炎は、子宮内膜に持続的な炎症が起きている状態です。急性の子宮内膜炎とは異なり、発熱や強い腹痛といった明らかな症状が出にくいことが特徴とされています。

そのため、ご自身では気づきにくく、不妊治療の検査を進めるなかで偶然発見されるケースが少なくありません。近年の研究では、反復着床不全(体外受精で良好胚を複数回移植しても妊娠に至らない状態)の方のうち、約30〜60%に慢性子宮内膜炎が認められたとする報告もあります。

取材した方(以下Aさん)も、「まさか自分が」と驚いたとのことでした。体外受精を2回行っても着床しなかったことから、担当医の提案で精密検査を受けたことがきっかけでした。

発見のきっかけ|体外受精で着床しない原因を調べる過程でCD138検査を受け、慢性子宮内膜炎の診断に至ったケースをご紹介します

Aさんのケースでは、体外受精を2回試みたものの、いずれも着床に至りませんでした。胚のグレードは良好と判断されていたため、担当医から「子宮内膜の状態を詳しく調べましょう」と提案があったそうです。

具体的には、子宮内膜の組織を少量採取し、CD138という免疫染色マーカーを用いた検査が行われました。CD138検査は、子宮内膜に形質細胞(免疫細胞の一種)がどの程度存在するかを調べるもので、慢性子宮内膜炎の診断に広く用いられています。

検査自体は子宮内膜の一部を採取する処置で、個人差はありますが、軽い痛みを伴う場合があるとされています。Aさんも「生理痛に近い痛みがあったが、我慢できる程度だった」と振り返っています。

結果は、形質細胞が基準値を超えて検出され、慢性子宮内膜炎と診断されました。

ALICE検査との違い|CD138検査が組織の免疫染色で判定するのに対し、ALICE検査は子宮内の細菌叢を遺伝子レベルで解析する検査です

慢性子宮内膜炎に関連する検査として、CD138検査のほかにALICE検査があります。両者の違いを整理します。

CD138検査は、子宮内膜組織を採取し、免疫染色で形質細胞の数を確認する方法です。形質細胞が一定数以上認められると、慢性子宮内膜炎と診断されます。

ALICE検査(Analysis of Infectious Chronic Endometritis)は、子宮内膜の細菌を遺伝子解析(次世代シーケンサー)で調べる検査です。慢性子宮内膜炎の原因菌を特定できる可能性があり、治療薬の選択に役立つとされています。

Aさんの通院先ではCD138検査が実施されましたが、医療機関によってはALICE検査を併用するところもあります。どちらの検査が適しているかは、担当医と相談されることをおすすめします。

抗生剤治療の実際|慢性子宮内膜炎と診断された後、約2週間の抗生剤内服による治療が行われ、副作用としては軽い胃腸症状がみられることがあります

Aさんの場合、慢性子宮内膜炎の診断後、ドキシサイクリンという抗生剤が約2週間処方されました。慢性子宮内膜炎の治療では、抗生剤の内服が第一選択とされることが一般的です。

治療中の生活について、Aさんは「普段どおりの生活を送ることができた」と話しています。ただし、「抗生剤を飲み始めて数日は軽い胃のむかつきがあった」とのことで、副作用として消化器症状が出る方もいるようです。気になる症状がある場合は、担当医に相談することが大切です。

抗生剤の種類や服用期間は、原因菌や炎症の程度によって異なる場合があります。一度の治療で改善しないケースでは、別の抗生剤に変更して再治療が行われることもあるとされています。

治療後の再検査と結果|抗生剤治療を終えた後にCD138検査を再度実施し、形質細胞の減少が確認されたことで治癒と判定されました

Aさんは抗生剤の服用を終えた翌周期に、再度CD138検査を受けました。結果、形質細胞の数は基準値以下に減少しており、慢性子宮内膜炎は改善したと判定されたそうです。

「検査結果を聞いたときは本当にほっとした」とAさんは振り返っています。治療期間としては、抗生剤服用の約2週間に加え、再検査までの待機期間を含めて約1〜2か月程度でした。

なお、研究報告によれば、抗生剤治療による慢性子宮内膜炎の治癒率は約70〜90%程度とされています。一度の治療で改善がみられない場合でも、薬剤を変更して治療を継続することで多くの方が改善に向かうと報告されています。

治療後の妊娠率に関するデータ|慢性子宮内膜炎を治療した後は着床率・妊娠率が改善したとする複数の研究報告があり、治療の意義が示されています

慢性子宮内膜炎の治療と妊娠率の関係については、複数の研究で前向きな報告がなされています。

代表的な研究では、慢性子宮内膜炎を治療した群と未治療の群を比較した場合、治療群で着床率や臨床妊娠率が有意に高かったとするデータがあります。具体的には、治療後の臨床妊娠率が約60〜70%に改善したとする報告や、生児獲得率が未治療群と比べて約2倍になったとする報告も見られます。

ただし、これらは特定の条件下での研究結果であり、すべての方に同様の効果が保証されるものではありません。個々の状況によって治療効果は異なるため、担当医とよくご相談ください。

Aさんも治療後に胚移植を再開し、「治療を受けてよかった」と感じているとのことでした。

同じ悩みを持つ方へのメッセージ|慢性子宮内膜炎は適切に診断・治療できる疾患であり、一人で抱え込まず医療機関に相談することが大切です

Aさんに、同じように不妊治療中の方へ伝えたいことを聞いたところ、次のように話してくれました。

「着床しない原因がわからないまま治療を続けるのはつらかったけれど、検査を受けて原因がわかったことで前に進めた気がします。慢性子宮内膜炎は治療できるものだと知って、少し気持ちが楽になりました」

慢性子宮内膜炎は自覚症状が乏しいため、検査を受けなければ気づけない疾患です。体外受精で着床がうまくいかないとお悩みの場合、担当医にCD138検査やALICE検査について相談してみることも選択肢の一つです。

不妊治療は身体的にも精神的にも負担が大きいものですが、一つずつ原因を調べて対処していくことが、妊娠への道を開く可能性につながります。

よくある質問

慢性子宮内膜炎はどのような症状がありますか?

慢性子宮内膜炎は、多くの場合で明らかな自覚症状がないとされています。一部の方では不正出血や軽い下腹部の違和感がみられることもありますが、無症状のまま不妊検査で発見されるケースが多いのが特徴です。

CD138検査はどこの医療機関でも受けられますか?

CD138検査は不妊治療を専門に行う医療機関で実施されていることが多いです。すべての産婦人科で対応しているわけではないため、事前に医療機関にご確認ください。検査を希望される場合は、担当医にご相談されることをおすすめします。

慢性子宮内膜炎の治療期間はどのくらいですか?

一般的には、抗生剤の内服期間が約2週間、その後の再検査までの待機期間を含めて1〜2か月程度とされています。ただし、一度の治療で改善しない場合は、薬剤を変更して再治療を行うことがあり、その分期間が延びる場合もあります。

慢性子宮内膜炎の治療費用はどのくらいかかりますか?

CD138検査や抗生剤治療の費用は医療機関によって異なります。不妊治療の一環として保険適用となる場合と、自費診療となる場合があるため、詳しくは通院先の医療機関にお問い合わせください。2022年4月の不妊治療保険適用拡大以降、対象となる範囲が広がっています。

慢性子宮内膜炎は再発しますか?

抗生剤治療で改善した後に再発する可能性はゼロではないとされています。再発リスクについては現時点で十分なデータが蓄積されていない部分もあるため、治療後も担当医の指示に従い、必要に応じて経過観察を受けることが望ましいです。

慢性子宮内膜炎があると自然妊娠は難しいですか?

慢性子宮内膜炎があっても自然妊娠される方はいらっしゃいます。ただし、炎症が着床を妨げる可能性が指摘されているため、なかなか妊娠に至らない場合は検査を受けて適切な治療を行うことが、妊娠の可能性を高める一つの手段と考えられています。

ALICE検査とEMMA検査は何が違いますか?

ALICE検査は慢性子宮内膜炎の原因菌を特定する検査で、EMMA検査は子宮内の細菌叢(善玉菌・悪玉菌のバランス)を包括的に調べる検査です。両方を同時に実施する医療機関もあり、子宮内環境を総合的に評価するために併用されることがあります。

まとめ

慢性子宮内膜炎は自覚症状がほとんどないため、不妊検査で初めて発見されることが多い疾患です。CD138検査やALICE検査で診断が可能で、抗生剤治療により多くの方が改善に向かうとされています。治療後に妊娠率が改善したとする研究報告もあり、着床不全に悩む方にとって検査を受ける意義は大きいと考えられます。不安なことがあれば、まずは担当医にご相談ください。

慢性子宮内膜炎の検査・治療について相談したい方へ

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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の治療法を推奨するものではありません。症状や治療については、必ず担当医にご相談ください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/4/27