
HSG検査(子宮卵管造影)とは:不妊検査の重要ステップ
HSG(Hysterosalpingography:子宮卵管造影)は、子宮腔内に細いカテーテルを挿入し、造影剤を注入しながらX線撮影を行う検査です。子宮の形態異常(中隔子宮・双角子宮など)と卵管の通過性(卵管閉塞・癒着)を同時に評価できます。日本では不妊治療の初期検査として広く実施されており、「HSGで卵管が通った後に妊娠しやすくなる」という通水効果も報告されています。
この記事でわかること
- HSG検査の流れと所要時間
- 痛みの実際と和らげる方法
- 結果の読み方(正常・閉塞・通過不良の違い)
- 費用と保険適用
- 検査後の「通水効果」について
検査の流れと所要時間
検査前の準備
- 受診タイミング:月経終了後3〜10日(排卵前・内膜が薄い時期)
- 事前の血液・感染症検査:初回はクラミジア抗原検査が必要(クラミジア陽性時は抗生物質治療後に実施)
- 鎮痛薬:検査1時間前にロキソニン等の服用を指示されることが多い
- 造影剤アレルギー確認:ヨード造影剤のアレルギー歴の有無を確認
検査の手順(所要時間:30〜60分)
- 内診台に乗り、内診と同じ体位をとる
- 外陰部・膣内を消毒し、膣鏡を挿入する
- 子宮口にカテーテル(バルーンカテーテルなど)を挿入・固定する
- X線透視しながら造影剤を注入し、子宮と卵管の映像を撮影する
- カテーテルを抜去し、終了後20〜30分安静にする
痛みの実際:個人差と対策
HSG検査は、不妊検査の中で「痛い」と言われることの多い検査のひとつです。しかし、痛みの感じ方には非常に大きな個人差があります。
痛みが生じる主なタイミング
- カテーテル挿入時:子宮口を通過する際に痛みを感じる場合があります
- 造影剤注入時:子宮が広がる際の圧迫感・生理痛に似た痛み
- 卵管通過時:卵管が閉塞・狭窄している場合に強い痛みが生じることがある
痛みの強さの目安
状況 | 痛みの傾向 |
|---|---|
経産婦・子宮口が開きやすい方 | 比較的痛みが少ない |
未経産・子宮口が狭い方 | 挿入時に強い痛みを感じやすい |
卵管通過良好 | 比較的痛みが少ない |
卵管閉塞・狭窄あり | 造影剤注入時に強い痛みが生じることがある |
痛みを和らげるための対策
- 検査1時間前にロキソニン(60mg)またはセレコックス(100mg)を服用する
- 深呼吸(腹式呼吸)でリラックスする
- 担当医・看護師に緊張していることを伝える
- 痛みが強い場合は我慢せず「痛い」と伝える(速度を遅くしてもらえる)
結果の見方
HSGの結果は、X線画像をもとに以下のように評価されます。
所見 | 意味 | 対応 |
|---|---|---|
両側卵管通過良好 | 造影剤が卵管・腹腔内に広がる(正常) | タイミング法・人工授精へ進む |
片側卵管閉塞 | 一方の卵管で造影剤が止まる | もう一側の通過性を確認・人工授精可能な場合あり |
両側卵管閉塞 | 両側で造影剤が通過しない | 体外受精へのステップアップを検討 |
卵管水腫 | 卵管が液体で腫大している状態 | 体外受精前に卵管切除・結紮を検討 |
子宮内充填欠損 | ポリープ・筋腫・癒着の可能性 | 子宮鏡検査で確認 |
HSG後の「通水効果」について
HSG検査後の数か月間、自然妊娠率が上昇するという「通水効果(Fallopian tube flushing)」が報告されています。2017年のランセット誌掲載のRCT(H2Oil study)では、油性造影剤使用群で有意な妊娠率改善が示されました。
ただし、この効果は特に軽度の卵管因子がある場合に顕著であり、すべての患者に同等の効果が期待できるわけではありません。HSGを単なる検査としてではなく、治療的側面も持つ検査として理解しておくとよいでしょう。
費用と保険適用
項目 | 保険適用時(3割負担) | 自費の場合 |
|---|---|---|
HSG検査(造影剤・X線含む) | 約3,000〜6,000円 | 1.5万〜3万円 |
初診料・事前検査(感染症等) | 別途発生 | 別途発生 |
HSG検査は不妊治療の保険適用範囲内(2022年4月以降)に含まれるため、不妊治療中の方は保険適用で受けられることが多いです。
体験談:HSG検査を受けた感想
痛みについて
「ロキソニンを飲んでいったおかげか、生理痛より少し強い程度で済みました。検査後は帰り道に立ち寄れるほど歩けました」(30代女性・経産婦)
「造影剤を入れた瞬間に激痛で思わず声が出ました。卵管が少し細くなっていたためと後で教えてもらいました。翌日には痛みはなくなりました」(30代女性・未経産)
検査後について
「検査して3か月後に自然妊娠しました。通水効果があったのかもしれません。HSGは怖かったですが、思い切って受けてよかったです」(30代女性)
よくある質問
Q1. 卵管閉塞と診断されたら体外受精しかないですか?
閉塞部位によっては卵管形成術(卵管鏡下卵管形成術:FT)が適応になります。軽度の通過不全は再検査で改善していることもあります。まず担当医と詳しく相談してください。
Q2. HSGの造影剤は水溶性と油性どちらがいいですか?
前述のH2Oil studyでは油性造影剤で妊娠率が高かった報告があります。ただし油性造影剤は水溶性に比べてリスク(脂肪塞栓等)があるため、使用する造影剤は医師の判断に従ってください。
Q3. HSGは何年かに1度再検査するべきですか?
卵管因子の変化は子宮内膜症・骨盤内炎症性疾患・手術後などで起こりえます。妊活・不妊治療の状況に応じて、担当医が必要と判断した場合に再検査を提案されます。
Q4. ソノヒステログラフィ(SHG)とHSGの違いは?
SHGは超音波と生理食塩水を使い、X線被曝がありません。子宮形態の評価には優れますが、卵管通過性の評価はHSGほど確実ではありません。
まとめ:HSG検査は不妊治療の重要な通過点
HSG検査は痛みを伴う場合がありますが、卵管通過性と子宮形態を同時に評価でき、通水効果も期待できる重要な検査です。事前の鎮痛薬服用と担当医とのコミュニケーションで痛みを最小化する準備をしておきましょう。結果を踏まえて次の治療ステップを担当医と相談することで、効率的な不妊治療の計画が立てられます。
免責事項
本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療の推奨ではありません。HSG検査の実施方法・費用・結果の解釈は医療機関によって異なります。必ず担当医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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