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早発卵巣不全(POI)の検査|診断基準

2026/4/19

早発卵巣不全(POI)の検査|診断基準

早発卵巣不全(POI)の検査:まず知っておくべき3つのポイント

早発卵巣不全(POI)の検査は、40歳未満で閉経に近い卵巢機能低下を診断するための検査です。主にFSH・LH・エストロゲンのホルモン血液検査と超音波検査が用いられ、結果が出るまで数日〜1週間程度かかります。日本産科婦人科学会の診断基準では「4週間以上間隔をあけた2回のFSH 40mIU/mL以上」が確認基準となっています。

この記事でわかること

  • POI診断に必要な検査の種類と流れ
  • 各検査の費用・保険適用の可否
  • 結果の読み方と次のステップ
  • 検査で「陰性」でも安心できない理由

早発卵巣不全(POI)とは?検査が必要なサイン

早発卵巣不全(POI:Premature Ovarian Insufficiency)は、40歳未満の女性において卵巣機能が著しく低下する疾患です。日本では100人に1人程度の割合で発症するとされており、不妊の原因として見逃されやすいケースがあります。

受診・検査を検討すべき症状

  • 月経不順や無月経が3か月以上続いている
  • ホットフラッシュ・のぼせなど更年期に似た症状がある
  • 性交痛・膣の乾燥感がある
  • 妊活中にAMHが著しく低い(0.1ng/mL未満)と言われた
  • 家族に早期閉経の人がいる

これらの症状が複数当てはまる場合、早めに産婦人科・生殖医療専門医を受診することを推奨します。

POI診断で行われる検査の種類と目的

POIの確定診断には複数の検査を組み合わせます。1回の採血で判断することはなく、最低2回以上のホルモン測定が診断基準として求められています。

検査名

目的

保険適用

費用目安(3割負担)

FSH(卵胞刺激ホルモン)

卵巣機能の指標。高値=卵巣機能低下

約300〜600円

LH(黄体形成ホルモン)

FSHとの比率で卵巣状態を評価

約300〜600円

エストラジオール(E2)

卵巣から分泌される女性ホルモン量を確認

約400〜800円

AMH(抗ミュラー管ホルモン)

卵巣予備能の指標。残存卵子数の推定

△(不妊治療目的は保険)

自費:約3,000〜8,000円

経腟超音波検査

卵巣の大きさ・胞状卵胞数(AFC)の確認

約500〜1,500円

染色体検査(核型分析)

ターナー症候群などの原因精査

○(原因精査目的)

約3,000〜9,000円

診断基準:どの数値でPOIと診断されるか

日本産科婦人科学会が定めるPOIの診断基準は以下の通りです。この基準を理解しておくことで、検査結果を正確に解釈できます。

POI診断の3条件(すべて満たす必要あり)

  1. 年齢:40歳未満
  2. 月経異常:3か月以上の月経停止または月経不順
  3. FSH:4週間以上の間隔をあけた2回の測定で40mIU/mL以上

注意点として、FSHが40mIU/mL以上であっても、1回の測定では診断が確定しません。ホルモン値は日内変動や周期内変動があるため、必ず2回以上の確認が必要です。また、POIの初期(潜在性)では間欠的に排卵が起こることもあり、検査タイミングによっては見逃すケースもあります。

検査の流れ:初診から診断まで

初診から確定診断までの標準的な流れを説明します。クリニックによって多少の違いはありますが、概ね以下のステップで進みます。

ステップ1:問診・病歴確認(初診当日)

月経歴・妊娠歴・家族歴・生活習慣について詳しく確認されます。特に家族に早期閉経の人がいる場合は必ず伝えてください。遺伝的要因が関係するPOIでは、染色体検査が追加で実施されます。

ステップ2:初回ホルモン血液検査(初診当日〜翌日)

FSH・LH・E2・AMHなどを測定します。採血は月経周期のいつでも可能ですが、月経2〜5日目(卵胞期早期)に採血すると基準値との比較が正確になります。結果は通常2〜5日後に出ます。

ステップ3:経腟超音波検査(初診当日)

卵巣の大きさと胞状卵胞数(AFC:Antral Follicle Count)を確認します。POIではAFC 5個未満が多く見られます。子宮の状態(内膜の厚さ)も同時に確認します。

ステップ4:2回目ホルモン測定(4週間以上後)

診断基準を満たすために、初回測定から4週間以上あけて再度FSHを測定します。この間に月経が回復するケースもあります。

ステップ5:原因精査(必要に応じて)

POIと確定した場合、原因を探るために以下の追加検査が行われることがあります。

  • 染色体検査(ターナー症候群・FMR1遺伝子変異の確認)
  • 自己免疫抗体検査(抗卵巣抗体・抗甲状腺抗体など)
  • 副腎機能検査(副腎自己免疫疾患との合併チェック)

検査費用の実態:保険適用で総額いくら?

POI確定診断までに必要な検査費用の目安(3割負担の場合)は以下の通りです。

フェーズ

主な検査

費用目安

初診〜1回目採血

FSH・LH・E2・超音波

3,000〜8,000円

2回目採血

FSH再測定

1,000〜3,000円

AMH検査(自費)

卵巣予備能確認

3,000〜8,000円

原因精査(染色体等)

核型分析・自己抗体

5,000〜2万円

合計目安

1.2万〜4万円程度

不妊治療を目的とした検査は保険適用(3割負担)になるケースが多くあります。ただし、AMH検査は不妊治療目的の場合のみ保険適用(2022年4月の保険適用拡大より)となり、健康診断目的では全額自費となります。

検査結果を受けて:POI確定後の選択肢

POIと診断された後、すぐに妊娠が不可能というわけではありません。POIでも5〜10%の確率で自然妊娠が起こるという報告があります(Webber et al., Human Reproduction Update, 2016)。次のステップとして医師と相談すべき主な選択肢を紹介します。

POI確定後の主な医療的選択肢

  • ホルモン補充療法(HRT):低エストロゲン状態による骨粗鬆症・心血管リスクを予防。月経再来の可能性も
  • 体外受精(自己卵子):排卵が間欠的に起こる可能性があるため、卵子が採取できる時期を狙う
  • 卵子提供(ドナー卵子):海外で実施可能。日本では一部クリニックで実施中
  • 経過観察:症状が軽微で妊娠を希望しない場合は定期的なホルモン管理のみ

よくある質問

Q. FSHが高い=必ずPOIですか?

A. 1回の高値だけでは診断になりません。ストレス・体重変化・薬の影響でも一時的にFSHが上昇することがあります。4週間以上の間隔をあけた2回の検査で40mIU/mL以上が確認されて初めてPOIの診断基準を満たします。

Q. AMH検査だけでPOIとわかりますか?

A. AMHはPOIのスクリーニングに有用ですが、単独での確定診断はできません。AMHが極めて低値(0.1ng/mL未満)の場合、FSHやLHの測定と超音波検査を組み合わせて総合的に判断します。

Q. 検査はどの科で受けるべきですか?

A. 生殖内分泌専門医・不妊専門外来のある産婦人科を受診してください。染色体検査や自己免疫検査が必要な場合は、遺伝子外来や総合病院へ紹介されることもあります。

Q. 10代・20代でもPOIになりますか?

A. なります。POIは10代で発症するケースも報告されており、若年であっても月経異常が続く場合は早期の受診が重要です。特に染色体異常(ターナー症候群モザイク型など)が原因のPOIは若年で発症しやすい傾向があります。

Q. 検査結果が出るまでの間、何かできることはありますか?

A. 生活習慣の改善(禁煙・適切な体重管理・カルシウム摂取)はHRT開始前から有用です。ただし、サプリメントや民間療法でPOIが「治る」という科学的根拠はありません。

まとめ:POI検査で押さえるべきポイント

  • POI診断は「FSH 40mIU/mL以上×2回」+「40歳未満」+「月経異常」の3条件
  • 初診から確定診断まで最低1か月以上かかる(2回測定が必須)
  • AMH検査は卵巣予備能の参考指標だが単独で診断はできない
  • 費用は保険適用検査を中心に1万〜4万円程度
  • POI確定後も妊娠の可能性はゼロではない。HRTや生殖補助医療の選択肢がある

免責事項
本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。症状や検査結果の解釈については、必ず担当の医師にご相談ください。掲載している費用はあくまで目安であり、医療機関・地域・保険適用条件によって異なります。

参考文献:日本産科婦人科学会「早発卵巣不全(POI)管理指針」、Webber L, et al. ESHRE Guideline: management of women with premature ovarian insufficiency. Human Reproduction. 2016;31(5):926-37.

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2