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精子回収率の検査|TESE前の評価

2026/4/19

精子回収率の検査|TESE前の評価

精子回収率の検査とは、無精子症や高度乏精子症の男性に対して、TESE(精巣内精子採取術)などの手術的精子採取を行う前に実施する精子採取可能性の事前評価のことです。手術的精子採取の成功率(精子回収率)を手術前に予測することで、不要な手術を避け、カップルのQOL・費用・精神的負担を最小化することを目的としています。

無精子症は精液中に精子が認められない状態で、男性不妊の約10〜15%を占めます。その原因と精子採取の成否を事前に把握することが、最適な治療計画立案に欠かせません。

この記事のポイント

  • 精子回収率を左右する要因と事前評価の検査内容
  • 閉塞性無精子症と非閉塞性無精子症の違い
  • TESE・micro-TESEの成功率と費用

精子回収率とは——無精子症の2つの型を理解する

精子回収率(Sperm Retrieval Rate:SRR)は、精巣から精子を外科的に採取できた割合を指します。無精子症は大きく2種類に分かれており、型によって精子回収率が大きく異なります。

原因

精子回収率(TESE)

閉塞性無精子症(OA)

精管閉塞・副睾丸炎・先天性精管欠損など

80〜100%

非閉塞性無精子症(NOA)

精子形成障害(クラインフェルター等)

30〜60%(micro-TESE)

TESE前の評価検査——何を調べるか

TESE実施前に行う精子回収率予測のための主な検査は以下のとおりです。

1. ホルモン検査(血液検査)

  • FSH(卵胞刺激ホルモン):精巣機能の指標。高値(10mIU/mL以上)は精子形成障害を示す
  • LH(黄体化ホルモン):下垂体-精巣軸の評価
  • テストステロン:精巣のアンドロゲン産生能を反映
  • インヒビンB:セルトリ細胞機能の指標。低値(<48 pg/mL)は精子形成障害リスクが高い

2. 遺伝学的検査

  • 染色体核型検査:クラインフェルター症候群(47,XXY)の有無を確認
  • Y染色体微小欠失(AZF検査):AZFa・AZFbの完全欠失はTESEでの精子回収率が極めて低い(ほぼ0%)ため、手術を回避する判断材料となる

3. 精巣超音波検査

精巣の容積・エコー輝度・石灰化の有無などを評価します。精巣体積が10mL以下の場合、非閉塞性無精子症の可能性が高くなります。

AZF欠失と精子回収率の関係——特に重要な点

Y染色体のAZF(無精子症因子)領域の欠失パターンは精子回収率の予測に最も重要な指標の一つです。

  • AZFa完全欠失:TESE・micro-TESEでの精子回収率ほぼ0%。手術は推奨されない
  • AZFb完全欠失:精子回収率ほぼ0%。同様に手術回避が推奨
  • AZFc欠失:精子回収率50〜70%。micro-TESEの適応
  • AZFbc欠失:AZFbの影響が強く、回収率は低い傾向

micro-TESEとは——精子回収率を最大化する手術

micro-TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)は、手術用顕微鏡下で精巣内の精細管を直接観察しながら、精子形成が残存している精細管を選択的に採取する方法です。非閉塞性無精子症での精子回収率が通常TESEより高く(通常TESE:15〜20%→micro-TESE:30〜60%)、現在のスタンダードとなっています。

費用と保険適用

TESE前の評価検査(ホルモン・遺伝子検査)と手術的精子採取(TESE・micro-TESE)の費用体系は以下のとおりです。

検査・手術

保険適用

目安費用

ホルモン検査

保険適用

数千円(3割負担)

染色体・AZF検査

保険適用

5,000〜1万5,000円程度

TESE

保険適用(2022年〜)

3〜8万円程度(3割負担)

micro-TESE

先進医療または保険適用(施設による)

10〜30万円程度

よくある質問

Q1. 精液検査で精子が出なければ必ずTESEが必要ですか?

精液中に精子がない(無精子症)と診断された場合でも、事前評価で閉塞性か非閉塞性かを鑑別し、AZFa・b完全欠失があれば手術を行わない判断が正しいことがあります。まず専門医に相談してください。

Q2. FSHが高い場合、TESEの成功率はどのくらいですか?

FSH値単独では精子回収率を正確には予測できませんが、FSH値が高いほど精子形成障害の可能性が高く、micro-TESEでの回収率は低下する傾向があります。インヒビンB・精巣体積との総合評価が重要です。

Q3. micro-TESEは一度失敗したら再手術できますか?

micro-TESEを繰り返すことは技術的に可能ですが、精巣組織へのダメージが蓄積するリスクがあります。再手術の適応は担当医師と慎重に検討してください。

Q4. 精子凍結はどのタイミングで行いますか?

TESE・micro-TESEで採取した精子はその場で凍結保存し、後日ICSIに使用するのが一般的です。採卵と精子採取を同日に行う「フレッシュ使用」と、凍結融解使用の両方があります。

Q5. パートナーへの告知・共有はどうすべきですか?

男性不妊の診断・治療は心理的負担が大きいことが多く、パートナーとの情報共有と心理的サポートが重要です。必要に応じてカウンセリングの活用も検討してください。

まとめ

精子回収率の事前評価は、TESE・micro-TESEの適応を正確に判断し、不要な手術を避けるために不可欠です。ホルモン検査・遺伝学的検査(AZF・染色体)・超音波検査の組み合わせで精子回収の可能性を予測します。特にAZFa・b完全欠失の確認は手術方針に直結するため、TESE前に必ず実施することが推奨されます。担当医師と検査結果を共有しながら最適な治療計画を立てましょう。

免責事項
本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。実際の治療方針については、必ず担当医師にご相談ください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新のガイドライン・研究結果とは異なる場合があります。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2