
精液検査の結果報告書(レポート)が手元に届いたとき、「この数値は良いのか悪いのか」がわからないと不安になります。この記事では、精液検査レポートの各項目の意味・WHO基準値・異常値の種類と対処法をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 精液検査レポートの全項目と読み方
- WHO2021年改訂基準値(最新版)との比較方法
- 異常値の種類(希精子症・無力精子症・奇形精子症等)の意味
- 1回の検査で判断してはいけない理由と再検査のタイミング
精液検査レポートの各項目を読む
精液検査の報告書には通常10前後の項目が記載されています。項目名がクリニックによって異なる場合がありますが、測定内容は共通です。
WHO2021年基準値(下限参照値)
項目 | 英語表記 | WHO2021下限基準値 | 意味 |
|---|---|---|---|
精液量 | Volume | 1.4mL以上 | 1回射精で得られる精液の量 |
精子濃度 | Sperm concentration | 1600万/mL以上 | 1mLあたりの精子数 |
総精子数 | Total sperm number | 3900万以上 | 精液量×精子濃度 |
総運動率 | Total motility | 42%以上 | 運動している精子の割合(前進+非前進) |
前進運動率(PR) | Progressive motility | 30%以上 | 前に進む運動をしている精子の割合 |
正常形態率 | Normal morphology | 4%以上(クルーガー法) | 形が正常な精子の割合 |
生存率 | Vitality | 54%以上 | 生きている精子の割合 |
pH | pH | 7.2以上 | 精液の酸性・アルカリ性 |
白血球数 | Leukocytes | 100万/mL未満 | 精液中の白血球数(多いと感染の疑い) |
2021年のWHO改訂では、2010年版と比べて基準値が若干変更されました。特に精子濃度は1500万→1600万/mLに引き上げられています。古い基準で「正常」と言われた方も、最新基準で再確認することをおすすめします。
異常値の種類と意味
希精子症(少精子症)
精子濃度1600万/mL未満、または総精子数3900万未満の状態。原因は精巣機能低下・精索静脈瘤・精管閉塞など。軽度〜中等度は人工授精(AIH)が対応可能なケースあり。
無力精子症(精子無力症)
前進運動率30%未満の状態。精子が泳ぐ力が弱い。原因は精子膜の異常・酸化ストレス・生活習慣。抗酸化サプリ(コエンザイムQ10・亜鉛等)で改善が見られる場合もある。
奇形精子症
正常形態率4%未満の状態(クルーガー法)。精子の頭・中片部・尾部に異常がある割合が高い。形態は自然妊娠率に影響するが、体外受精では補完できることが多い。
無精子症
精液中に精子が全く確認されない状態。閉塞性(精管が詰まっている)と非閉塞性(精子産生能力の低下)に分かれ、泌尿器科専門医の精密検査が必要。
精液量過少
精液量1.4mL未満。逆行性射精(精液が膀胱に逆流)や射精管閉塞の可能性がある。
1回の検査で判断してはいけない理由
精子の状態は以下の要因で大きく変動します。
- 禁欲期間:禁欲2〜7日が推奨。禁欲期間が短すぎると精子数が少なく、長すぎると運動率が低下する
- 体調・発熱:発熱後2〜3ヶ月は精子の質が低下することがある
- ストレス・疲労:コルチゾール上昇が精子産生に影響
- 採取時の緊張:採精室での採取が初めての方は緊張でサンプルの量が少なくなりやすい
1回の検査で異常値が出ても即座に診断するのではなく、2〜4週間後に再検査することを多くの専門医が推奨しています。
結果別の次のステップ
結果 | 推奨されるステップ |
|---|---|
全項目正常 | 女性側の検査・タイミング法を継続 |
軽度異常(総運動精子数1000万〜2000万) | 2〜4週間後に再検査。泌尿器科受診も検討 |
中等度異常(総運動精子数100万〜1000万) | 泌尿器科・男性不妊専門外来受診。人工授精を検討 |
重度異常(総運動精子数100万未満) | 顕微授精(ICSI)を検討。精索静脈瘤の有無を精査 |
無精子症 | 泌尿器科専門医で精密検査(精巣生検等) |
よくある質問
Q. 正常形態率2%でしたが、体外受精できますか?
はい、顕微授精(ICSI)では形態に問題のある精子でも選別して受精させることができます。形態率が低くても多くのカップルが妊娠に成功しています。
Q. 精子濃度は正常なのに前進運動率が低いです。何が原因ですか?
精子の運動性低下には、酸化ストレス(活性酸素の蓄積)、精巣の熱環境(長時間の着席・サウナ等)、抗精子抗体の存在などが関係している場合があります。泌尿器科での詳細検査をおすすめします。
Q. 白血球数が多かったのですが、どういう意味ですか?
精液中の白血球増多は白血球精子症といい、細菌感染や前立腺炎などの炎症を示す可能性があります。泌尿器科での精査・治療が必要です。
Q. 前回と比べて全然数値が違います。どちらが本当の値ですか?
両方とも「その日の値」として正しいです。精子の状態は毎回変動します。3回以上の検査の平均値で判断するのが最も正確です。
まとめ:レポートを読んで次の行動につなげる
精液検査レポートは数字を見て終わりにするものではなく、次の治療ステップを決めるための判断材料です。
- WHO2021最新基準値で各項目を評価する
- 1回の異常値だけで判断せず、2〜4週間後に再検査
- 異常の種類(希精子症・無力精子症・奇形精子症)により対応が異なる
- 泌尿器科・男性不妊専門医への受診で原因を究明する
免責事項
本記事は一般的な医療情報の提供を目的とします。精液検査結果の解釈・治療方針は必ず担当医師・泌尿器科専門医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。
Next Action

