
「卵管の通りを調べると言われた」——そのとき選択肢に挙がるのが卵管通気検査です。現在はHSG(子宮卵管造影)に置き換えられた施設が多いですが、一部では今も実施されています。卵管通気検査の仕組みとHSGとの違いを正確に理解することで、検査の選択に納得感を持てます。
この記事のポイント
- 卵管通気検査の原理・手順・評価できること・評価できないこと
- HSG(子宮卵管造影)との根本的な違いと選択基準
- 子宮卵管超音波(SIS/HyCoSy)という第3の選択肢
卵管通気検査とは——空気を使った古典的卵管評価法
卵管通気検査(Rubin's Test)は子宮腔から空気または炭酸ガスを注入し、卵管の通過性を気圧変化で評価する検査です。1920年代から行われてきた古典的な方法で、卵管が開通していれば気体が腹腔内に抜け、圧力の急激な低下が記録されます。現在は多くの施設でHSGに移行しています。
HSG(子宮卵管造影)との違い——なぜHSGが主流になったか
HSGでは造影剤を使いX線撮影することで、子宮腔の形態・卵管の形状・閉塞部位を視覚的に確認できます。卵管通気検査は「通るか通らないか」の二択しか分かりませんが、HSGは「どこが詰まっているか」まで評価できます。
検査 | 原理 | 評価できること | 限界 |
|---|---|---|---|
卵管通気検査 | 気体の圧力変化 | 通過性(二択) | 閉塞部位不明、子宮形態評価不可 |
HSG | 造影剤+X線透視 | 通過性+閉塞部位+子宮形態 | 造影剤アレルギーリスク、放射線 |
HyCoSy/SIS | 超音波造影剤 | 通過性+子宮内腔 | 卵管詳細描出はHSGより劣る |
卵管通気検査の手順と痛み
子宮口からカニューレを挿入し、炭酸ガスを加圧注入します。卵管が通過した際、横隔膜刺激による肩への放散痛が生じることがあります(卵管開通の証拠)。検査時間は5〜10分程度で、月経終了後〜排卵前(月経周期7〜11日目頃)に実施されます。
HyCoSy(子宮卵管超音波)——放射線なしの選択肢
HyCoSy(Hysterosalpingo-Contrast Sonography)は超音波造影剤を使い、X線なしで卵管の通過性と子宮内腔を確認する検査です。放射線を使わないため妊活中でも安心感が高く、欧州では標準的な初回評価法として推奨されています(ESHRE 2023年ガイドライン)。
卵管通気・造影の治療効果——検査後の妊娠率改善
HSGや卵管通気検査後に自然妊娠率が一時的に上昇するという報告があります。これは通気・通水による軽度の閉塞解除や、子宮内環境の改善が寄与するとされています。ただし確実な治療効果ではなく、補助的効果として理解することが適切です。
どの検査を選ぶべきか——施設・状況による使い分け
現時点では多くの日本の不妊専門クリニックがHSGを標準としています。HSGアレルギーや造影剤禁忌がある場合、HyCoSyが代替として選択されます。卵管通気検査は現在では少数の施設でのみ実施されており、HSGに準ずる情報量は得られないと理解しておくことが重要です。
よくある質問
Q. HSGと卵管通気検査はどちらが痛いですか?
個人差がありますが、HSGは造影剤注入時と卵管通過時に痛みを感じる方が多いです。卵管通気検査は炭酸ガス注入時に圧迫感と肩の痛みが出ることがあります。どちらも術後1〜2時間程度で軽快するのが一般的です。
Q. 卵管通気検査で「陰性(通過あり)」でも不妊の場合がありますか?
あります。卵管通気検査は卵管の通過性のみを評価するため、卵管采(卵子をキャッチする部分)の機能低下や腹腔内の癒着は評価できません。通過ありの結果でも他の不妊要因を探ることが重要です。
Q. HSGの造影剤アレルギーが心配です
HSGで使用する造影剤はヨード造影剤です。甲状腺疾患・ヨードアレルギーがある場合は前処置や代替検査(HyCoSy等)を担当医と相談してください。
Q. 検査後に性行為・入浴の制限はありますか?
HSG・卵管通気検査後は感染予防のため、当日の入浴(シャワーは可)と性行為は控えるよう指示されることが多いです。担当医の指示に従ってください。
Q. 卵管が両側閉塞していた場合、体外受精しか選択肢はありませんか?
閉塞部位と程度によります。卵管鏡下卵管形成術(FT)で改善できるケースもありますが、重度の閉塞では体外受精が最も効率的な選択肢となることが多いです。
まとめ
卵管通気検査は卵管の通過性を気体の圧力で評価する古典的な方法ですが、現在は子宮形態も含めて評価できるHSGが標準的です。卵管通気検査の結果は「通る/通らない」の二択に限られ、閉塞部位や子宮内腔の評価はできません。放射線なしの代替としてHyCoSyという選択肢もあります。どの検査を選ぶかは、施設の設備・患者状況・担当医の判断を踏まえて決定することが大切です。
※本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療の指示ではありません。個別の状況については必ず担当医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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