
「卵管が閉塞しています」と診断された時、多くの方が「自然妊娠は無理なの?」と絶望的な気持ちになります。しかし卵管閉塞と診断されても、治療の選択肢は複数あり、妊娠を諦める必要はありません。この記事では、診断後にとるべき行動、治療の選択肢、費用、成功率について詳しく解説します。
この記事のポイント
- 卵管閉塞は女性不妊の原因の約30〜35%を占める主要因子
- 片側閉塞か両側閉塞かで、治療戦略が大きく変わる
- 体外受精(IVF)は卵管閉塞を「迂回」できる最も確実な選択肢
卵管閉塞とは何か|診断の意味を正確に理解する
卵管は卵子と精子が出会い受精が起こる場所です。卵管閉塞とは、この管が炎症・癒着・先天的な異常などによって塞がれた状態を指します。閉塞している場所(卵管の近位部・遠位部)によって治療法も異なります。
卵管閉塞の種類と原因
種類 | 閉塞部位 | 主な原因 |
|---|---|---|
近位部閉塞 | 卵管の子宮側 | 粘液栓・内膜症・筋腫 |
遠位部閉塞 | 卵管の卵巣側(采部) | クラミジア感染・骨盤内炎症(PID) |
卵管水腫 | 遠位部に液体が溜まる | 感染後の癒着 |
片側閉塞 | どちらか一方の卵管 | 上記いずれか |
診断後まず確認すること|再検査の重要性
卵管造影検査(HSG)で閉塞と診断されても、偽陽性の可能性があります(痙攣や粘液栓による一時的な通過障害)。特に近位部閉塞はHSGの偽陽性率が高く、腹腔鏡検査で再確認することが推奨されます。
- HSGの偽陽性率(近位部): 約30〜40%
- 再確認方法: 腹腔鏡検査(最も正確)、または造管術(通水検査)
- クラミジア抗体検査(過去の感染による閉塞リスク確認)も同時実施を推奨
治療の選択肢|手術か体外受精か
卵管閉塞の治療法は主に2つです。どちらが適切かは閉塞の種類・程度・年齢・卵巣予備能によって判断されます。
選択肢1: 卵管形成術(手術)
腹腔鏡または開腹手術で閉塞部位を開通させる方法です。術後の自然妊娠率は以下の通りです。
- 近位部閉塞(卵管口形成術): 術後1年の妊娠率 約20〜40%
- 遠位部閉塞(采部形成術): 術後1年の妊娠率 約15〜30%(閉塞の程度で変動)
- 卵管水腫の切除: 体外受精前に行うと妊娠率が1.5〜2倍向上(水腫の液体が胚に毒性を持つため)
手術のデメリット: 卵管外妊娠(子宮外妊娠)のリスクが術後に増加するため、妊娠後の経過観察が必要です。
選択肢2: 体外受精(IVF)
卵管を使わずに体外で受精させる体外受精は、両側卵管閉塞に対する最も確実な選択肢です。特に35歳以上・卵巣予備能低下・水腫合併の場合は、手術より体外受精を優先することが多いです。
- 保険適用: 2022年4月〜(43歳未満、通算6回まで)
- 1回あたりの費用(保険): 採卵〜移植で8〜15万円程度
- 妊娠率(35歳未満): 1回の移植あたり約40〜50%
片側閉塞の場合|自然妊娠チャレンジは可能か
片側のみ閉塞している場合、もう一方の卵管が正常であれば自然妊娠の可能性があります。ただし以下の条件を確認してください。
- 開存している卵管側の卵巣が機能しているか(排卵が起きているか)
- 精子の状態は問題ないか
- 年齢と妊娠希望の時期的余裕はあるか
条件が整っていれば、タイミング法や人工授精から始めることが可能です。ただし6〜12ヶ月で妊娠しない場合は体外受精へのステップアップを検討します。
費用の比較
治療法 | 費用目安(保険適用時) | 費用目安(自費) |
|---|---|---|
腹腔鏡手術(卵管形成) | 5〜15万円 | 30〜60万円 |
体外受精(採卵〜移植) | 8〜15万円 | 40〜80万円 |
人工授精(片側閉塞の場合) | 1〜3万円/回 | 2〜5万円/回 |
よくある質問
Q. 卵管閉塞があると体外受精しか方法はないですか?
両側完全閉塞の場合は体外受精が最も現実的な選択肢です。片側閉塞・近位部閉塞(偽陽性の可能性あり)の場合は、腹腔鏡検査や再検査の上で治療方針を決めることをお勧めします。
Q. 卵管形成術後に妊娠しやすくなりますか?
術後の妊娠率は閉塞の程度・部位・年齢によって大きく異なります。術後2年以内が妊娠しやすい時期とされており、この期間に妊娠しない場合は体外受精を検討するのが一般的です。
Q. クラミジア感染が原因と言われましたが、パートナーへの感染はありますか?
クラミジアは性感染症です。過去に感染歴がある場合、パートナーも感染している可能性があります。不妊治療開始前に、二人でクラミジア検査を受けることをお勧めします。
Q. 卵管水腫はどうして体外受精の前に切除するのですか?
卵管水腫の液体は、移植した胚に有害な物質を含むことがあり、体外受精の妊娠率を著しく低下させます(最大50%低下という報告も)。体外受精を計画している場合、水腫の切除または結紮術を先行することが強く推奨されています。
Q. 卵管閉塞は予防できますか?
クラミジアなどの性感染症が主な原因の一つです。感染予防(コンドームの使用)と、感染した場合の早期治療が卵管閉塞の予防につながります。婦人科での定期検診も有効です。
まとめ
卵管閉塞と診断されても、体外受精という確実な選択肢があります。まず再検査で診断を確認し、年齢・卵巣予備能・片側か両側かを踏まえて、手術か体外受精かを専門医と相談しましょう。早期の行動が妊娠の可能性を高めます。
免責事項: 本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。治療に関する判断は必ず担当医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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