EggLink

PGT-A(着床前遺伝学的検査)とは?|方法と適応

2026/4/19

PGT-A(着床前遺伝学的検査)とは?|方法と適応

PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)とは、体外受精で作った胚の染色体の数を調べ、正常な胚を選んで移植する検査です。流産を繰り返している方や高齢不妊の方に有効で、着床率の向上・流産率の低減が期待できます。この記事では、検査の仕組み・対象・費用・メリット・デメリットを医学的根拠とともに解説します。

この記事のポイント

  • PGT-Aは胚の染色体数の異常(異数性)を移植前に確認する検査
  • 反復流産・反復着床不全・高齢不妊に特に有効とされる
  • 全員に推奨されるわけではなく、適応を正確に理解することが重要

PGT-Aとは何か|検査の目的と仕組み

PGT-Aは"Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidies"の略で、日本語では「着床前胚染色体異数性検査」と呼ばれます。体外受精・顕微授精で作られた胚(受精卵)から数個の細胞を採取し、染色体の数が正常か(46本あるか)を検査します。

検査の流れ

  1. 採卵・受精: 通常の体外受精と同じ手順で採卵し受精させる
  2. 胚培養: 胚盤胞(受精後5〜6日の段階)まで培養する
  3. 胚生検: 胚盤胞の細胞(栄養外胚葉)から5〜10個の細胞を採取する(胎児になる部分は採取しない)
  4. 遺伝子解析: NGS(次世代シーケンシング)などで全23対の染色体を解析
  5. 胚の凍結保存: 検査結果が出るまで胚を凍結保存
  6. 正倍数性胚の移植: 染色体が正常と判定された胚(正倍数性胚)を融解移植

対象となる方|PGT-Aが有効なケース

日本産科婦人科学会が認定するPGT-Aの適応は以下の通りです。

  • 反復体外受精・胚移植不成功(良好胚を2回以上移植しても着床しない)
  • 反復流産(2回以上の流産歴)
  • 染色体構造異常(夫婦どちらかに染色体の構造的な変化がある場合)

上記以外でも、高齢(特に38歳以上)では胚の染色体異常率が高くなるため、個別の相談のうえでPGT-Aを選択するケースがあります。

メリット|PGT-Aで何が変わるか

メリット

期待される効果

着床率の向上

正倍数性胚移植の妊娠率 約60〜70%(年齢依存)

流産率の低減

染色体異常胚の移植を回避することで流産リスクを軽減

精神的負担の軽減

繰り返す流産による身体的・精神的消耗を減らす可能性

移植回数の削減

正常胚のみを移植するため、無駄な移植を減らせる可能性

デメリットと注意点

PGT-Aにはメリットだけでなく、以下のデメリット・リスクも存在します。

  • 移植可能胚が減少する: 検査の結果、正倍数性胚がゼロになるケースもある。特に高齢では染色体異常胚の割合が高い
  • 「モザイク胚」の扱いが難しい: 正常細胞と異常細胞が混在するモザイク胚の妊娠可能性については議論が続いている
  • 費用が高い: 1胚あたり5〜12万円の検査費用が自費でかかる
  • 100%の精度ではない: 解析技術が向上しているが、一部の構造異常や微細な変異は検出できない場合がある
  • 生検による胚へのダメージ: 技術的に精度が高くなっているが、細胞採取が胚に与える影響はゼロではない

年齢別の染色体異常胚の割合

女性の年齢

染色体異常胚の割合(概算)

正倍数性胚の割合

35歳未満

約30〜40%

約60〜70%

35〜37歳

約40〜50%

約50〜60%

38〜40歳

約55〜65%

約35〜45%

41〜43歳

約70〜80%

約20〜30%

44歳以上

約80〜90%

約10〜20%

高齢になるほど正常胚の割合が減るため、採卵回数・胚の数が重要になります。PGT-Aは「正常胚を確認する検査」であり、「正常胚を作り出す技術」ではありません。

実施にあたっての倫理的審査と手続き

日本では、PGT-Aは日本産科婦人科学会の認定を受けたクリニックのみが実施できます。希望する場合は以下の手続きが必要です。

  1. 夫婦で遺伝カウンセリングを受ける(理解と同意の確認)
  2. クリニックの倫理委員会への申請
  3. 学会の承認(場合によって)

よくある質問

Q. PGT-Aをすれば必ず妊娠できますか?

PGT-Aは染色体正常胚を選別する検査ですが、正常胚を移植しても着床しない場合があります。着床因子(子宮内膜の状態・免疫など)の問題は染色体検査では対応できません。

Q. PGT-AとPGT-SRの違いは何ですか?

PGT-Aは染色体の「数」の異常(異数性)を調べます。PGT-SR(染色体構造異常)は夫婦どちらかに染色体の「構造的変化」(逆位・転座など)がある場合に、胚への影響を確認する検査です。目的が異なります。

Q. PGT-Aの結果が異常でも移植できますか?

原則として染色体異常(非正倍数性)と判定された胚の移植は推奨されません。ただし「モザイク胚」については個別の状況と医師の判断により移植が検討される場合があります。

Q. 何歳まで PGT-Aは有効ですか?

年齢が上がるほど正常胚の割合が減りますが、正倍数性胚が得られれば年齢に関わらず着床・妊娠の可能性はあります。ただし採卵効率・胚数の確保が課題になります。

まとめ

PGT-Aは反復流産・反復着床不全・高齢不妊に対して有効な選択肢ですが、全員に適しているわけではありません。適応の有無・費用・デメリットを十分に理解した上で、専門医・遺伝カウンセラーと相談して判断することが大切です。

免責事項: 本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の治療・検査を推奨するものではありません。治療に関する決定は必ず担当医師・遺伝カウンセラーにご相談ください。

E

この記事を書いた人

EggLink編集部

医療・婦人科専門メディア

産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。

公開:2026/4/19更新:2026/5/2