EggLink

無精子症と診断されたら?|TESEと治療の選択肢

2026/4/19

無精子症と診断されたら?|TESEと治療の選択肢

無精子症と診断されたら——TESEと治療の選択肢を正確に知る

無精子症と診断されると「子どもが持てない」と絶望的になりがちですが、現在の医療ではTESE(精巣内精子採取術)による妊娠が可能なケースが相当数あります。まず「どのタイプの無精子症か」を確認することが最初のステップです。

無精子症の2つのタイプ——治療方針が全く違う

無精子症には大きく2種類あり、治療の方向性は全く異なります。

タイプ

原因

特徴

治療の方向性

閉塞性無精子症

精路(精巣から精液が出る管)の閉塞

精巣では精子が作られている。FSH正常

外科的精路再建 or TESE(精子採取率は高い)

非閉塞性無精子症

精子産生能力の低下・欠如

精巣自体の問題。FSH高値になることが多い

micro-TESE。精子が採れない場合もある

どちらのタイプかは、FSH・LH・テストステロン測定+精巣生検(場合によって)で判断します。

TESEとは——手術の種類・成功率・リスク

TESE(Testicular Sperm Extraction)は精巣から直接精子を採取する手術です。

通常TESE

  • 精巣の組織を小切除して精子を探す
  • 主に閉塞性無精子症で行う
  • 精子採取率:閉塞性で60〜90%、非閉塞性で40〜60%(施設・患者により差あり)

マイクロTESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)

  • 手術用顕微鏡で精細管を観察し、精子が存在する可能性の高い部位を精密に選別
  • 非閉塞性無精子症で有効。通常TESEより精子採取率が高い
  • 専門技術が必要なため、実施できる施設が限られる
  • 精子採取率:施設により30〜60%(FSH値・精巣容積・原因などで大きく変動)

原因別の予後——精子が採れる確率を左右する因子

  • 精索静脈瘤による非閉塞性:手術(静脈瘤切除)後に精液中に精子が出現する場合がある
  • 下垂体機能低下(低ゴナドトロピン性):HMG/hCG注射などのホルモン療法で精子産生が回復することがある
  • Y染色体微小欠失:AZFc領域欠失ではTESEで精子が採れることがある。AZFa/b欠失では難しい
  • クラインフェルター症候群(XXY):マイクロTESEで精子が採れることがある(約50%)

TESEで採れた精子の使い方——ICSIの流れ

  1. TESEで精子を採取・凍結保存
  2. パートナーが採卵(IVF刺激周期)
  3. ICSI(顕微授精):採取した精子を直接卵子に注入
  4. 培養・胚盤胞まで培養
  5. 凍結胚移植

精子を凍結しておくことで、TESEとICSIのタイミングを調整できます。パートナーへの身体的負担を分散するためにも、凍結保存は推奨されます。

セカンドオピニオンと施設選び

無精子症の診断・治療には施設間で大きな差があります。以下の点を確認して施設を選びましょう。

  • マイクロTESEの実施実績(年間件数)
  • 男性不妊専門医(泌尿器科)との連携
  • 遺伝カウンセリングの提供体制(Y染色体欠失・クラインフェルターなど)
  • 精子凍結・ICSI・胚移植まで一貫した対応ができるか

よくある疑問Q&A

Q. 無精子症は必ず手術が必要ですか?

非閉塞性でもホルモン療法で精子が出現することがあります。FSH・LH・テストステロンを測定し、原因を精査してから手術を判断します。

Q. TESE後、子どもに遺伝的影響はありますか?

Y染色体微小欠失がある場合、男児に遺伝する可能性があります。遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。

Q. 精子が採れなかった場合、次の選択肢は?

精子提供(精子バンク)や特別養子縁組などの選択肢があります。心理的サポートを含め、専門医・カウンセラーと相談してください。

Q. TESE手術後、性機能は変わりますか?

通常、テストステロン産生・性機能への影響は最小限です。ただしマイクロTESEは精巣組織への侵襲があるため、術後のフォローアップが重要です。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

TESEは保険適用です。ただしICSI・胚移植は先進医療または自費になる場合があります。施設によって費用が大きく異なるため、事前確認が必要です。

まとめ

無精子症と診断されたら、以下のステップで対応しましょう。

  1. 閉塞性か非閉塞性かを精密検査で確認
  2. 原因(精索静脈瘤・染色体・ホルモン異常)を精査
  3. マイクロTESE実績のある施設でセカンドオピニオンを検討
  4. 精子採取後はICSIへ。採れない場合の代替手段も事前に情報収集

無精子症は「諦める必要はない」かもしれない疾患です。専門医との連携で選択肢を広げましょう。

【免責事項】本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。治療方針については必ず担当医師にご相談ください。

E

この記事を書いた人

EggLink編集部

医療・婦人科専門メディア

産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。

公開:2026/4/19更新:2026/5/2