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MRI検査と不妊診断|子宮・卵巣の精密検査

2026/4/19

MRI検査と不妊診断|子宮・卵巣の精密検査

MRI(磁気共鳴画像)検査は、不妊診断において子宮や卵巣の精密な評価が必要なときに選択される画像検査です。放射線を使わず、軟部組織の詳細な描出が可能なため、子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫の評価に特に優れています。

この記事のポイント

  • 不妊診断においてMRI検査が必要な具体的なケース
  • MRIで診断できる子宮・卵巣の疾患と見どころ
  • 検査の流れ・費用・妊活中の安全性

不妊診断でMRI検査が選ばれる場面

不妊の初期検査では経腟超音波が第一選択ですが、MRIは超音波で評価しきれない子宮・卵巣の詳細な形態評価、子宮内膜症の深部浸潤の範囲確認、子宮奇形の鑑別診断が必要な場合に使われます。放射線被ばくがなく繰り返し検査できる点が大きな利点です。

MRIが活躍する主な不妊関連疾患

  • 子宮内膜症・チョコレート嚢胞:病変の大きさ・内部性状・深部浸潤の範囲を詳細に把握
  • 子宮腺筋症:超音波では診断困難な場合も、MRIで結合帯肥厚を明確に確認
  • 子宮筋腫:多発筋腫の位置・変性の有無・子宮腔との関係を術前評価
  • 子宮奇形(先天性子宮形態異常):双角子宮・中隔子宮・単角子宮の鑑別が可能
  • 卵巣腫瘍の性状評価:超音波で判定困難な腫瘍の内部構造を詳しく評価

超音波との使い分け

経腟超音波は即時性・低コスト・繰り返し可能な点で優れており、不妊検査の「最初の一手」です。MRIは超音波で「何かある」と分かった後の精密検査として機能します。初診から最初にMRIを撮影することはほとんどありません。

子宮内膜症のMRI診断

子宮内膜症はMRIが最も威力を発揮する疾患の一つです。深部浸潤型子宮内膜症(DIE)では腸管・膀胱・仙骨子宮靭帯への浸潤をMRIで評価し、手術の難易度や方法を決定します。

MRIによる子宮内膜症の特徴的所見

病変の種類

MRI所見

不妊への影響

卵巣チョコレート嚢胞

T1強調像で高信号(古い血液成分)

卵巣予備能低下(AMH低下)、卵子質の低下

深部浸潤型(腸管)

直腸S状結腸に低信号結節

子宮後屈固定、性交痛による妊活困難

子宮腺筋症合併

結合帯(JZ)肥厚≥12mm

着床障害、流産リスク上昇

子宮腺筋症の評価ポイント

子宮腺筋症は子宮内膜症と合併することが多く、不妊・不育症の原因になります。MRIでは結合帯(子宮筋層の内側層)の厚さを測定し、8mm以上が疑い、12mm以上で診断基準を満たすとされています(Van den Bosch T et al. 2019)。着床障害に深く関わるため、反復着床不全の方には積極的な評価が推奨されます。

子宮奇形のMRI診断

先天性子宮形態異常(ミュラー管奇形)の正確な分類には、MRIが最も信頼できる画像検査です。超音波だけでは中隔子宮と双角子宮の鑑別が困難なことがありますが、MRIでは子宮外形(子宮底部の輪郭)と子宮腔内形態を同時に評価できます。

子宮奇形の種類とMRI所見

分類(ESHRE/ESGE 2013)

MRI所見の特徴

不妊への影響

U2(中隔子宮)

外形正常、子宮腔に中隔あり

習慣流産リスク(中隔切除で改善)

U3(双角子宮)

外形陥入、2つの角あり

流産・早産リスク上昇

U4(単角子宮)

一側のみ発育

妊孕性低下、早産リスク

U5(子宮形成不全)

子宮ほぼ欠如

妊娠不可または妊孕性著しく低下

MRI検査の手順・費用・保険適用

MRI検査は予約制で、施設によって待機期間が1〜2週間程度かかることがあります。事前に担当医から紹介状(診療情報提供書)を受け取り、予約を入れてください。

検査当日の流れ

  1. 問診・金属チェック:ペースメーカー・インプラント・刺青の有無を確認(絶対禁忌の確認)
  2. 更衣:磁性体を含む衣類・アクセサリーはすべて外す
  3. 撮影:装置に入り、約20〜40分静止する。騒音があるためヘッドホン着用
  4. 造影MRI(必要な場合):ガドリニウム造影剤を静脈注射して再撮影
  5. 結果説明:後日(施設によって即日)担当医から説明

費用の目安

MRI検査の種類

保険点数(参考)

自己負担(3割)目安

骨盤MRI(単純)

約1,330点

約4,000円

骨盤MRI(造影)

約1,600点+造影剤

約5,000〜8,000円

3テスラMRI(高精細)

加算あり

約5,000〜1万2,000円

※診察料・読影料が別途かかります。2024年4月時点の参考値です。

妊活中・妊娠中のMRIの安全性

MRIは放射線を使用しないため、不妊治療中の繰り返し検査でも被ばくの心配はありません。ただし、妊娠中(特に妊娠初期)の使用については一部の注意があります。

妊活中のMRI

妊活中(妊娠していない状態)のMRIは、現時点で生殖機能への有害作用は報告されていません。卵子・胚への磁場の影響を懸念する声もありますが、臨床的に問題になる証拠はなく、必要な検査であれば受けて問題ありません。

妊娠中のMRI

妊娠中(特に第1三半期:妊娠12週まで)のMRIは、胎児への影響について理論的なリスクが完全には否定されていないため、原則として緊急性のある場合に限られます。ガドリニウム造影剤は妊娠中の使用が回避されます(胎盤通過・羊水への蓄積のため)。授乳中は影響が極めて少ないとされますが、施設によって検査後24時間の授乳中断を勧める場合があります。

MRIで不妊の原因が見つかったら

MRIで子宮・卵巣の異常が確認された場合、治療方針は疾患の種類・重症度・年齢・不妊の状況によって異なります。

  • 中隔子宮:子宮鏡下中隔切除術(TCRS)が有効。術後の妊娠率改善が期待できる
  • 卵巣チョコレート嚢胞:体外受精を先行するか手術を行うか、専門医と相談して決定
  • 子宮腺筋症:GnRHアゴニスト(偽閉経療法)後の体外受精、または手術的治療
  • 子宮筋腫(粘膜下):子宮鏡下切除(TCR)が推奨。術後の妊娠率が向上

よくある質問

Q. 不妊検査でMRIを勧められました。必ず受けなければなりませんか?

担当医の判断によりますが、通常は超音波で異常が疑われた場合に精密検査として勧められます。目的と必要性を担当医に確認し、代替検査が可能かどうかも相談してみてください。

Q. MRI検査は月経中でも受けられますか?

基本的に受けられますが、月経血が画像の解釈に影響することがあるため、月経後(卵胞期)に予約することを勧める施設もあります。予約時に担当医か施設に確認してください。

Q. 体外受精の前にMRIは必要ですか?

全員に必要なわけではありません。超音波で子宮・卵巣の形態に疑問がある場合、中隔子宮や筋腫を疑う場合など、担当医が必要と判断した場合に行われます。

Q. 閉所恐怖症がありますがMRIは受けられますか?

閉所恐怖症の方は事前に申告してください。鎮静薬の使用や、比較的開放感のあるオープン型MRI(ただし磁場が弱い場合がある)の利用を相談できます。

Q. MRIの結果はどのくらいで分かりますか?

施設によって異なりますが、通常は撮影後1〜5日で放射線科医による読影レポートが作成され、紹介元の担当医から結果説明を受けます。

まとめ

MRI検査は不妊診断において、超音波では評価しきれない子宮・卵巣の詳細な形態を把握するための精密検査です。子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮奇形の評価に特に威力を発揮し、治療方針の決定に直結する情報を提供します。放射線被ばくがなく妊活中でも安全に受けられますが、全員に必要なわけではなく担当医の指示に従ってください。

次のステップ:「超音波で異常を指摘された」「繰り返す流産や着床不全がある」方は、MRIを含む精密検査を専門医に相談することをお勧めします。

※本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を目的とするものではありません。症状や治療については必ず担当医にご相談ください。掲載情報は2024年時点のものです。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2