
高プロラクチン血症と言われたら——薬と治療で妊娠を目指す
高プロラクチン血症は不妊の原因として比較的多い状態です。しかし適切な薬物療法(ドパミン作動薬)で多くの場合コントロールでき、妊娠も十分可能です。「プロラクチンが高い=難治性の不妊」ではありません。
プロラクチンとは——正常値と高くなる原因
プロラクチンは下垂体前葉から分泌されるホルモンで、主に授乳を促す働きがあります。非妊娠・非授乳時に高値になると排卵が抑制されます。
- 正常値:女性で15〜25 ng/mL程度(施設・測定法により異なる)
- 高プロラクチン血症の診断目安:25 ng/mL以上(複数回測定で確認)
原因 | 例 |
|---|---|
機能性(最多) | ストレス、採血直前の刺激、性行為後採血 |
薬剤性 | 抗精神病薬、ドンペリドン(ナウゼリン)、一部の降圧薬 |
下垂体腺腫(プロラクチノーマ) | 下垂体の良性腫瘍。大きいものは視野障害も |
甲状腺機能低下症 | TSH上昇→TRH刺激でプロラクチン上昇 |
腎不全・肝疾患 | プロラクチンの代謝低下 |
1回の高値だけで診断しません。ストレス・採血条件の影響を排除するため、安静後に複数回測定します。
症状——不妊以外のサインを見逃さない
- 無排卵・月経不順:プロラクチンがGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)を抑制するため
- 乳汁分泌(非授乳期):乳首を刺激すると乳汁が出ることがある
- 性欲低下・膣乾燥:エストロゲン低下による
- 頭痛・視野障害:大型の下垂体腺腫(マクロアデノーマ)では視交叉が圧迫される
治療——ドパミン作動薬の使い方
治療の第一選択はドパミン作動薬です。プロラクチンの分泌をドパミンが抑制する仕組みを利用します。
薬剤名 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
カベルゴリン(カバサール) | 週1〜2回服用。効果が長続き・副作用が少ない | 妊娠確認後は通常中止(添付文書確認) |
ブロモクリプチン(パーロデル) | 毎日服用。歴史が長く安全性データ豊富 | 吐き気・めまいの副作用あり。少量から開始 |
多くの場合、薬を飲み始めて1〜3ヶ月でプロラクチン値が正常化し、月経・排卵が回復します。薬を正しく飲み続けることが大切です。
下垂体腺腫(プロラクチノーマ)の場合
- マイクロアデノーマ(1cm未満):ドパミン作動薬で腫瘍が縮小することが多い。多くの場合手術不要
- マクロアデノーマ(1cm以上):薬物療法が第一選択。視野障害・頭痛がある場合は脳神経外科と連携
- 妊娠中のリスク:妊娠中は腫瘍が増大することがまれにある。定期的な視野検査が推奨
妊娠中の薬の管理——続けるか中止するか
妊娠が確認された場合のドパミン作動薬の取り扱いは腫瘍の大きさによって異なります。
- マイクロアデノーマ:妊娠確認後に薬を中止することが多い。妊娠中の腫瘍増大リスクが低いため
- マクロアデノーマ:継続が推奨される場合もある。必ず主治医の指示に従う
よくある疑問Q&A
Q. プロラクチンが少し高いだけで治療が必要ですか?
30〜40 ng/mL程度の軽度高値で月経・排卵が正常なら、まず経過観察でよい場合もあります。不妊治療中の場合は治療を検討します。主治医に相談してください。
Q. カベルゴリンは妊娠中も安全ですか?
カベルゴリンの妊娠中の安全性データはブロモクリプチンより少ないです。妊娠確認後の使用は必ず主治医の指示に従ってください。
Q. MRI検査は必ず受ける必要がありますか?
プロラクチンが100 ng/mL以上の場合、下垂体腺腫の可能性が高くMRI検査が推奨されます。数値が中程度(25〜100 ng/mL)なら主治医の判断によります。
Q. 薬を飲まずに自然に正常値に戻ることはありますか?
機能性高プロラクチン血症(ストレス・採血条件による)の場合は自然に改善することがあります。しかし腺腫がある場合は薬物療法が必要です。
Q. 高プロラクチン血症は再発しますか?
薬を中止すると再発するケースがあります。特に腺腫がある場合は長期的な管理が必要です。定期的なプロラクチン測定を続けましょう。
まとめ
高プロラクチン血症と言われたら、以下のステップで対応しましょう。
- 複数回測定で高値を確認し、薬剤・ストレス・甲状腺異常などの原因を除外
- MRI検査で下垂体腺腫の有無を確認(特に100 ng/mL以上の場合)
- ドパミン作動薬(カベルゴリン or ブロモクリプチン)で治療開始
- 1〜3ヶ月後にプロラクチン値・月経回復を確認し、妊活を再開
高プロラクチン血症は治療に反応しやすい不妊原因のひとつです。適切な管理で多くの方が妊娠を達成しています。
【免責事項】本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。治療方針については必ず担当医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。
Next Action

