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高アンドロゲン血症の検査|PCOSとの関連

2026/4/19

高アンドロゲン血症の検査|PCOSとの関連

高アンドロゲン血症とは、女性の血中男性ホルモン(テストステロン・DHEA-S等)が基準値を超えて上昇した状態です。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の核心的な異常であり、不妊・月経不順の主要原因の一つです。血液検査で診断でき、適切な治療で妊娠を目指せます。

この記事のポイント

  • 高アンドロゲン血症の血液検査項目と基準値を明確に解説
  • PCOSとの関連、鑑別診断に必要な検査の全体像
  • 検査から治療方針決定までの具体的な流れ

高アンドロゲン血症とは|女性の男性ホルモン異常

高アンドロゲン血症は、女性に必要量以上の男性ホルモン(アンドロゲン)が産生・循環している状態です。日本産科婦人科学会のPCOS診断基準(2007年)では、高アンドロゲン血症はPCOSの3大診断基準の一つとして明記されています。

主なアンドロゲンの種類と産生部位は以下の通りです。

ホルモン名

主な産生部位

女性の基準値(目安)

総テストステロン

卵巣・副腎

0.11〜0.57 ng/mL

遊離テストステロン

卵巣・副腎(活性型)

0.3〜1.8 pg/mL

DHEA-S

副腎

35〜430 μg/dL

アンドロステンジオン

卵巣・副腎

0.5〜3.0 ng/mL

※基準値は検査機関・測定法により異なります。担当医の判断を優先してください。

高アンドロゲン血症の症状チェック

以下の症状は、高アンドロゲン血症を示す可能性があります。複数当てはまる場合は産婦人科・内分泌科への受診が推奨されます。

  • 多毛症:上唇・あご・胸・腹部・太ももの体毛増加(フェリマン・ガルウェイスコア8点以上が目安)
  • ニキビ(成人痤瘡):思春期以降も持続する顎・口周りのニキビ
  • 男性型脱毛(女性型AGA):頭頂部・前頭部の毛髪減少
  • 月経不順・無月経:排卵障害による月経周期の延長(35日以上)または停止
  • 多嚢胞性卵巣(超音波所見):卵巣内に小嚢胞が12個以上連なる所見

検査の流れ|初診から確定診断まで

高アンドロゲン血症の診断は、問診・身体診察・血液検査・超音波検査を組み合わせて行います。初診から確定診断まで通常1〜2ヶ月(1〜2周期)かかります。

Step 1: 初診(問診・基本診察)

  • 月経周期・基礎体温・症状の経過を確認
  • 身体診察:多毛・ニキビ・肥満(BMI・腹囲)の評価
  • 超音波検査(経腟または経腹):卵巣形態・子宮内膜の確認

Step 2: 血液検査(月経2〜5日目が最適)

ホルモン検査は月経開始から2〜5日目(卵胞期早期)に実施するのが原則です。LH/FSH比(2以上がPCOSの参考値)の評価も重要です。

  • 基礎ホルモン:FSH・LH・E2(エストラジオール)・プロラクチン・TSH
  • アンドロゲン系:総テストステロン・遊離テストステロン・DHEA-S・アンドロステンジオン
  • 代謝系:空腹時血糖・インスリン・HOMA-IR(インスリン抵抗性の指標)
  • 副腎系:17-OHP(先天性副腎皮質過形成の除外)・コルチゾール

Step 3: 必要に応じた追加検査

検査

目的

適応

ACTH負荷試験

非典型型先天性副腎皮質過形成の鑑別

DHEA-S高値・17-OHP高値

ブドウ糖負荷試験(OGTT)

インスリン抵抗性・境界型糖尿病の評価

PCOS疑い・肥満・HOMA-IR高値

MRI(副腎・卵巣)

腫瘍性アンドロゲン産生の除外

テストステロン著増(200ng/dL以上)

甲状腺機能検査

甲状腺疾患による月経不順の除外

TSH異常・甲状腺腫大

PCOSとの関連|診断基準と鑑別疾患

高アンドロゲン血症はPCOS診断の重要要素ですが、PCOSの診断には以下の3条件のうち2つ以上の存在が必要です(日本産科婦人科学会基準)。

  1. 月経異常(希発月経・無月経・不正出血)
  2. 多嚢胞性卵巣形態(超音波で小嚢胞が9個以上)
  3. 血中男性ホルモン高値またはLH高値かつFSH正常

PCOS以外にも高アンドロゲン血症を来す疾患があり、鑑別が必要です。代表的な鑑別疾患は先天性副腎皮質過形成(CAH)クッシング症候群アンドロゲン産生腫瘍です。特にテストステロンが200 ng/dLを超える場合は腫瘍性を強く疑い、画像検査が必要です。

治療方針|ライフステージ別のアプローチ

治療目標は「妊娠希望の有無」と「代謝合併症リスク」によって異なります。

妊娠希望がある場合

  • 排卵誘発:クロミフェン(内服)またはレトロゾール(PCOSではレトロゾールが第一選択)
  • インスリン抵抗性改善:メトホルミン(排卵誘発との併用で効果向上)
  • 体重管理:BMI 25以上の場合、5〜10%の体重減少でアンドロゲン値が正常化するケースあり
  • 体外受精(IVF):排卵誘発が奏効しない場合や卵管・精子因子が合併する場合

妊娠希望がない場合(症状管理)

  • 低用量ピル(OC/LEP):アンドロゲン産生を抑制し、多毛・ニキビ・月経不順を改善
  • スピロノラクトン:抗アンドロゲン薬(日本では保険外使用が多い)
  • 生活習慣改善:有酸素運動・低GI食・睡眠改善

よくある質問(FAQ)

Q1. 高アンドロゲン血症と診断されたら必ずPCOSですか?

高アンドロゲン血症は必ずしもPCOSとイコールではありません。先天性副腎皮質過形成・クッシング症候群・アンドロゲン産生腫瘍など他の疾患が原因の場合もあります。PCOSの確定診断には月経異常や多嚢胞性卵巣形態など複数の基準を満たす必要があります。

Q2. 血液検査はいつ受けるのがベストですか?

アンドロゲンの血中濃度は月経周期による変動が少ないですが、FSH・LH・E2との同時評価を行うため、月経開始2〜5日目(卵胞期早期)の受検が最適です。また、早朝空腹時に採血するとコルチゾール・DHEA-Sの評価精度が高まります。

Q3. 高アンドロゲン血症は妊娠後も影響しますか?

PCOSに伴う高アンドロゲン血症は、妊娠後も妊娠糖尿病・妊娠高血圧症候群のリスク上昇と関連することが報告されています。妊娠後は産科主治医に既往を必ず伝え、適切な管理を受けてください。

Q4. 体重を減らすとアンドロゲン値は下がりますか?

過体重・肥満のPCOS患者において、体重の5〜10%の減少でテストステロン値の正常化・排卵回復が確認された研究が複数あります(Legro RS et al., NEJM 2007)。食事療法と有酸素運動の組み合わせが最も効果的とされています。

Q5. 高アンドロゲン血症の検査費用はどのくらいですか?

保険適用の場合、基礎ホルモン検査(FSH・LH・テストステロン等)で3,000〜6,000円程度(3割負担)。DHEA-S・17-OHP等の追加項目は別途費用が発生します。保険適用の可否はクリニックで確認してください。

まとめ

高アンドロゲン血症は血液検査で診断でき、PCOSをはじめとする原因を特定することで適切な治療へつながります。重要なポイントをまとめます。

  1. 月経不順・多毛・ニキビが続く場合は、アンドロゲン系血液検査を含む不妊・ホルモン精査を受ける
  2. PCOSの確定診断には複数の基準を満たす必要があり、鑑別疾患の除外も重要
  3. 妊娠希望の有無によって治療方針が大きく異なるため、医師と目標を共有して進める

免責事項
本記事は一般的な医療情報の提供を目的とし、個別の診断・治療の代替となるものではありません。症状や治療方針については必ず担当医にご相談ください。基準値は施設・測定法により異なります。

次のステップ
高アンドロゲン血症・PCOSの検査は、不妊専門クリニックまたは内分泌科で受診できます。初診時には月経周期の記録・体重変化・症状の経過をメモして持参すると、スムーズに検査へ進めます。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2