EggLink

感染症スクリーニング検査|不妊外来の基本項目

2026/4/19

感染症スクリーニング検査|不妊外来の基本項目

不妊外来の初診では、ほぼ必ず「感染症スクリーニング検査」が行われます。「なぜ不妊検査で感染症を調べるの?」「どんな病気が対象なの?」と疑問に感じる方も多いです。感染症スクリーニングは不妊治療の安全性を確保し、治療効果を最大化するための必須検査です。この記事では、不妊外来で行われる感染症スクリーニング検査の目的・対象疾患・費用・結果の読み方を詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 不妊外来で感染症検査が必要な理由と対象となる疾患
  • 各検査の費用(保険適用・自費の区別)
  • 陽性だった場合の対応と治療への影響

なぜ不妊治療に感染症スクリーニングが必要か

感染症スクリーニングは「治療の前提条件」として位置づけられています。以下の3つの理由から、不妊治療開始前に必ず実施されます。

実施理由の3つの柱

  • ① 不妊原因の特定:クラミジア感染は卵管閉塞・骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こし、不妊の直接原因になります。自覚症状がないまま進行していることが多く、スクリーニングで初めて発見されるケースが少なくありません。
  • ② 治療の安全性確保:体外受精・胚移植では培養液や医療器具を通じて他の患者への感染リスクがあります。HIV・HBV・HCV陽性の場合、専用の培養ラインやスケジュール管理が必要になります。
  • ③ 胎児・新生児への影響の防止:梅毒・B型肝炎・風疹は母子感染のリスクがあり、妊娠前の発見・治療が重要です。

不妊外来での感染症スクリーニング対象疾患

検査項目はクリニックによって多少異なりますが、以下が標準的な対象疾患です。

主な検査疾患と検査方法

疾患名

検査方法

不妊との関連

クラミジア・トラコマティス

血液検査(IgG・IgA抗体)または子宮頸管採取

卵管閉塞・骨盤炎症の主因。不妊原因として頻度が高い

B型肝炎ウイルス(HBV)

血液検査(HBs抗原・抗体)

母子感染リスク。治療の際のラボ管理に影響

C型肝炎ウイルス(HCV)

血液検査(HCV抗体)

母子感染リスク。治療スケジュール管理に影響

HIV(エイズウイルス)

血液検査(HIV抗体)

母子感染防止。体外受精施設での専用管理が必要

梅毒(トレポネーマ)

血液検査(RPR・TPHA)

先天性梅毒(胎児への感染)の予防

風疹ウイルス

血液検査(風疹抗体価)

妊娠初期感染で先天性風疹症候群のリスク

水痘・帯状疱疹ウイルス

血液検査(VZV抗体価)

妊娠中感染で新生児水痘のリスク

クリニックによって追加される検査

  • マイコプラズマ・ウレアプラズマ(着床障害との関連が研究されている)
  • HPV(ヒトパピローマウイルス)検査
  • HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス):母乳感染のリスク評価

感染症スクリーニングの費用

2022年4月からの不妊治療保険適用拡大により、感染症スクリーニングの多くは保険3割負担で受けられます。

保険適用の検査と費用目安

検査

保険区分

3割負担目安

クラミジア抗体検査(IgG・IgA)

保険適用

500〜1,500円

B型肝炎(HBs抗原・抗体)

保険適用

500〜1,000円

C型肝炎(HCV抗体)

保険適用

500〜1,000円

HIV抗体検査

保険適用

500〜1,000円

梅毒(RPR・TPHA)

保険適用

500〜1,000円

風疹抗体価

保険適用

500〜1,500円

感染症スクリーニング一式(6〜7項目)の合計は、3割負担で2,000〜5,000円程度が目安です。

自費になるケース

  • マイコプラズマ・ウレアプラズマ検査:保険適用外が多く、3,000〜8,000円程度
  • HTLV-1検査:クリニックによって自費となる場合あり

陽性だった場合の対応

感染症スクリーニングで陽性が出た場合、「治療できない」ということにはなりません。ほとんどの感染症は治療・管理が可能で、適切な対応を取ることで不妊治療を継続できます。

クラミジア陽性の場合

  • 現在感染(頸管分泌物検査陽性):抗生剤(アジスロマイシンまたはドキシサイクリン)で治療。パートナーも同時治療が必要
  • 既往感染(抗体陽性のみ):過去感染の痕跡。卵管閉塞の可能性を評価するため子宮卵管造影(HSG)を実施することが多い

B型・C型肝炎陽性の場合

  • 肝臓専門医への紹介が必要な場合あり
  • 体外受精施設では「陽性専用の培養ライン」を使用して治療継続が可能
  • 出産後の新生児への予防接種スケジュールも含めて管理

風疹抗体価が低い場合

  • 抗体価が低い(8倍未満)場合、妊娠前にワクチン接種を推奨
  • ワクチン接種後は2ヶ月間の避妊が必要(生ワクチンのため)
  • 東京都など一部自治体では風疹ワクチンの無料接種制度あり

結果の見方と次のステップ

感染症スクリーニングの結果は「陰性(問題なし)」「陽性(要対応)」のどちらかで返ってきます。陽性だった場合も担当医から対応策の説明があります。

検査から結果が出るまでの流れ

  • 採血・検体採取:初診当日
  • 結果判明:3〜7日後(クリニックによっては2週間程度)
  • 結果説明:次回受診時または電話・Web
  • 陽性の場合:治療方針の説明と次のアクション確認

よくある質問

Q. 感染症検査は毎回受けるのですか?

基本的には不妊治療開始時の1回のみです。ただし体外受精・胚移植の直前、または感染リスクがあると判断された場合に再検査が必要になることがあります。

Q. クラミジア抗体陽性でしたが、パートナーに言うべきですか?

現在感染の場合(頸管分泌物検査陽性)は、パートナーも必ず検査・治療が必要です。既往感染(抗体のみ陽性)の場合でも、パートナーに伝えた上で泌尿器科での検査を受けることを推奨します。クラミジアは自覚症状がないまま感染が持続するケースがあります。

Q. HIV陽性でも不妊治療は受けられますか?

HIV陽性であっても、専門施設(HIV陽性者対応の不妊治療施設)では体外受精を含む不妊治療が可能です。担当医に率直に申し出ることが重要です。プライバシーは医療倫理に基づいて厳格に守られます。

Q. 感染症スクリーニングは男性も必要ですか?

必要です。クラミジア(男性は尿検査または精液検査)・HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎は男性側にも実施します。体外受精で使用する精液の安全性確認のためにも重要な検査です。

Q. 風疹の抗体がありませんでした。ワクチンを打つと不妊治療はいつから再開できますか?

麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)接種後、2ヶ月間の避妊が必要です。その後は通常の不妊治療スケジュールを再開できます。ワクチン接種から治療再開までのスケジュールは担当医と事前に相談しておくと安心です。

まとめ

不妊外来の感染症スクリーニングは、不妊原因の特定・治療の安全性確保・胎児保護という3つの目的から行われる重要な検査です。結果が陽性でも、ほとんどの場合は治療・管理によって不妊治療を継続できます。

  • 感染症スクリーニングは治療開始前に男女両方が受ける必須検査
  • 保険適用で一式2,000〜5,000円程度(3割負担)
  • 陽性でも「治療できない」ではなく「対応してから続ける」がほとんど

次のステップ

感染症スクリーニングを含む不妊検査の流れについて詳しく知りたい場合は、まず不妊専門クリニックへの初診相談をご検討ください。初診では「何の検査が必要か」「費用の目安はいくらか」を詳しく説明してもらえます。


※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の医療診断・治療の代替となるものではありません。結果の解釈や治療方針については必ず担当医に相談してください。

E

この記事を書いた人

EggLink編集部

医療・婦人科専門メディア

産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。

公開:2026/4/19更新:2026/5/2