
不妊検査や治療のために何度も仕事を休まなければならない——これは多くのカップルが直面する現実です。「何と言って休めばいい?」「上司にどこまで話すべき?」という悩みを抱えている方に向けて、職場への伝え方・休暇取得の実践的な方法を具体的に解説します。
この記事のポイント
- 不妊検査・治療のために休暇を取る方法(有給・特別休暇の活用)
- 職場への伝え方:開示レベル別のセリフ例と注意点
- 2024年以降の法改正と会社が対応すべき不妊治療支援の状況
不妊検査・治療で何日休む必要があるか
不妊検査の段階では通院回数は比較的少ないですが、治療が進むにつれて通院頻度は増加します。まず全体像を把握することで、休暇計画を立てやすくなります。
検査段階(初期)
- 基礎ホルモン検査・AMH:月経2〜5日目(1〜2時間)
- 子宮卵管造影(HSG):月経後7〜10日目(半日程度)
- フーナーテスト(性交後検査):排卵期(タイミングの制約あり)
- 精液検査:いつでも可(30分〜1時間)
検査段階の通院は月に2〜3回程度、1回あたり半日もあれば済む場合がほとんどです。
治療段階
治療ステップ | 1周期あたりの通院回数 | 主な受診日 |
|---|---|---|
タイミング法・人工授精 | 3〜5回 | 排卵日周辺(月経11〜15日目) |
体外受精(採卵周期) | 6〜10回 | 月経中〜採卵日(3〜5時間) |
体外受精(移植周期) | 3〜5回 | 移植日(半日) |
利用できる休暇の種類
不妊治療のための休暇として、いくつかの選択肢があります。年次有給休暇を使うのが最も一般的ですが、会社によっては不妊治療専用の特別休暇制度を設けているところもあります。
年次有給休暇(年休)
取得理由を会社に伝える義務はありません。「私用のため」で申請可能です。ただし時季変更権(会社が時期をずらすよう求める権利)は存在するため、余裕をもって申請することが望ましいです。
特別休暇(企業独自制度)
厚生労働省の調査(2022年)によると、不妊治療に関連する支援制度(休暇・時短勤務等)を設けている企業は全体の約15〜20%。大企業では導入が進んでいます。就業規則や社内イントラで確認してください。
半日・時間単位の有給
多くの企業で半日有給や時間単位有給が認められています。早退・遅刻の形で通院できるため、全日休暇を何度も取らずに済みます。
職場への伝え方:開示レベル別のセリフ例
不妊治療を職場に伝えるかどうかは、非常に個人的な判断です。開示レベルを3段階で考えると整理しやすくなります。
レベル1:伝えない(最もプライバシーを守る)
年次有給休暇は理由を伝える義務がありません。
申請例:「私用で通院が必要になりました。○日に有給をいただけますか?」
メリット:職場での不必要な詮索を避けられる
デメリット:急な受診(排卵日が読めない)の際に事前申請が難しい場合がある
レベル2:「婦人科系の治療」として伝える
病名や不妊という言葉を使わず、「婦人科系の治療のため、月に数回通院が必要です」と伝えるパターンです。
申請例:「婦人科系の定期通院が必要になりました。月に2〜3回、午前中に通院させていただくことがあります。業務への影響は最小限にするよう努めます」
レベル3:不妊治療と明示して伝える
上司や職場の信頼関係・雰囲気によっては、不妊治療と伝えることで理解・配慮を得やすくなる場合があります。
申請例:「実は不妊治療を始めることになりました。月経周期に合わせての通院が必要で、急な休暇申請をお願いすることがあります。業務は同僚に迷惑をかけないよう対応しますので、ご理解いただけますか?」
注意:不妊治療を理由とした不利益な扱い(降格・解雇等)は違法です(育児・介護休業法の趣旨・労働施策総合推進法)。開示後に不当な扱いを受けた場合は、都道府県労働局に相談できます。
休暇を取りやすくする実践的なコツ
通院タイミングは月経周期に左右されるため、柔軟な休暇取得が必要です。以下の工夫で対応しやすくなります。
- 早朝・夕方診療の活用:不妊治療クリニックは早朝(7時〜)や土日診療に対応している施設が多い
- テレワーク日を診察日に充てる:テレワーク制度を活用し、午前診察→午後在宅勤務の形にする
- 業務の事前完了・引継ぎ準備:急な休暇でも対応できるよう、進捗共有とタスク可視化を日頃から意識する
- 半日有給の積極活用:午前診察なら半日有給で対応でき、有給消化も半分で済む
2024年以降の不妊治療支援の法的動向
2022年4月から、不妊治療の一部(体外受精・顕微授精・凍結胚移植等)が保険適用となりました。これに伴い、厚生労働省は事業主に対する不妊治療支援措置の努力義務を強化しています。
- 不妊治療と仕事の両立を図るための措置(特別休暇・時短勤務・テレワーク等)の検討・整備
- 職場環境整備として、治療中の労働者への「職場の意識改革」を求めるガイドライン
- 両立支援助成金(企業が不妊治療支援制度を導入した場合に国が支給)の拡充
よくある質問(FAQ)
Q. 不妊治療の通院を理由に有給を断られることはありますか?
年次有給休暇は労働者の権利です。会社が理由を理由に有給を拒否することは、原則として違法です(時季変更権の範囲内での時期調整は可能)。
Q. パートナーへの開示はどうすれば?
パートナーも一緒に通院する機会がある不妊治療では、職場での理解を得やすい環境のある方が、カップルで共に対応できます。両者の職場環境を比較して、伝えやすい方が相談役を担うケースもあります。
Q. 不妊治療専用の休暇制度がない会社はどうすれば?
年次有給休暇、半日有給、積立有給(失効分の積立)などを最大限活用してください。制度がない場合も、上司・人事担当者への相談で柔軟な対応をお願いできる場合があります。
Q. 通院のために毎月何日有給を使いますか?
検査段階では月1〜2日、タイミング法では月2〜3日、体外受精の採卵周期では月3〜5日程度が目安です。早朝診療や土日対応クリニックを選ぶことで有給消化を減らせます。
Q. 職場に開示したら、治療を辞めたときに気まずくなりませんか?
その心配は多くの方が感じます。開示範囲を直属の上司1人にとどめるなど、必要最低限の範囲に絞ることが一つの解決策です。
まとめ
不妊検査・治療と仕事の両立は多くのカップルにとっての課題です。年次有給休暇は理由を問わず使えること、開示レベルは自分のペースで決められること、早朝・土日診療のクリニック選びで通院しやすくなることが主なポイントです。2022年以降の保険適用拡大に伴い、職場での理解も少しずつ進んでいます。焦らず、無理なく、治療と仕事を両立するための環境づくりをすることが大切です。
免責事項:本記事は医療情報・労働情報の提供を目的としており、特定の法的アドバイスを行うものではありません。個別の状況については専門家(弁護士・社労士)にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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