
先進医療とは、国が「保険診療との併用を認めた高度な医療技術」で、技術料は自費ですが診察・検査・投薬等の一般診療部分は保険が適用されます。不妊検査・治療ではERA・EMMA・ALICE・PGT-A・SEET法など複数の先進医療が承認されています。この記事では2026年時点で承認されている不妊関連の先進医療一覧と費用・特徴を解説します。
この記事のポイント
- 不妊治療関連の先進医療:ERA・EMMA・ALICE・SEET法・子宮内フローラ検査等
- 先進医療の技術料は自費(保険外)。費用目安:ERA約10万円、PGT-A約5〜7万円/個
- 先進医療は指定施設のみで実施可能
- 先進医療特約(民間保険)で技術料をカバーできる場合がある
- すべての患者に有効とは限らない。担当医との相談が必須
不妊治療関連の先進医療一覧(2026年版)
厚生労働省が承認している不妊治療関連の主な先進医療技術を以下に示します。承認内容は定期的に見直されるため、最新情報は厚生労働省の公式リストをご確認ください。
技術名 | 正式名称 | 対象 | 費用目安 |
|---|---|---|---|
ERA | 子宮内膜受容能検査 | 反復着床不全 | 8〜12万円 |
EMMA | 子宮内膜マイクロバイオーム検査 | 着床不全・慢性子宮内膜炎疑い | 4〜7万円(ERAと同時が多い) |
ALICE | 慢性子宮内膜炎の感染性慢性子宮内膜炎検査 | 反復流産・着床不全 | 3〜6万円(EMMAwith ALICE) |
SEET法 | 子宮内膜刺激胚移植法 | 体外受精(着床不全例) | 約3〜5万円 |
PGT-A | 着床前胚染色体異数性検査 | 反復流産・高齢妊娠 | 5〜8万円/個(移植胚) |
タイムラプス培養 | タイムラプスインキュベーター使用 | 体外受精 | 3〜5万円 |
二段階胚移植法 | 初期胚と胚盤胞の2段階移植 | 体外受精(着床不全例) | 約3〜5万円 |
※費用は施設・実施内容により異なります。上記は目安です。
ERA(子宮内膜受容能検査)の詳細
ERAは、胚移植に最適なタイミング(ウィンドウ・オブ・インプランテーション)を個人ごとに特定する検査です。
- 対象:良質な胚を移植しても着床しない「反復着床不全」のケース(通常2回以上の移植失敗が目安)
- 方法:ホルモン補充周期で子宮内膜を準備し、最適タイミングで内膜組織を採取。遺伝子発現を解析
- 効果:ERA結果に基づいたpersonalized EmbryoTransfer(pET)で着床率が向上するという報告あり
- 注意点:すべてのケースで有効とは限らない。ERAを受けても妊娠を保証するものではない
PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)の詳細
PGT-Aは受精卵(胚盤胞)の染色体数を移植前に検査し、染色体異常のない胚を選ぶ技術です。
- 対象:反復流産(2回以上)、高齢(概ね38歳以上)、染色体異常の既往があるカップル
- 効果:染色体正常胚の選別により流産率低下・着床率向上が期待される
- 費用:1個あたり5〜8万円程度。複数胚を検査する場合は合計費用が増加
- 注意点:胚の一部を取り出すため、胚へのダメージリスクが微小ながら存在する。倫理的側面の考慮も必要
どの先進医療を受けるべきか
先進医療を選択する際のポイントは以下の通りです。
状況 | 推奨される先進医療 |
|---|---|
良質胚移植後2回以上着床しない | ERA(最適移植タイミングの特定) |
慢性子宮内膜炎が疑われる | EMMA / ALICE |
反復流産が2回以上ある | PGT-A(染色体正常胚の選別) |
胚の発育・選別を詳細に行いたい | タイムラプス培養 |
先進医療特約での費用カバー
民間生命保険の「先進医療特約」に加入していれば、先進医療技術料を補償できる場合があります。
- 先進医療特約は、厚生労働省承認の先進医療技術料を実費で補償するもの
- 保険加入前の不妊治療歴がある場合、不担保条件が付く場合がある
- 月々の保険料はわずか数十円〜数百円程度と比較的安価
- 不妊治療開始前に加入しておくことが重要
よくある質問
Q. 先進医療はどの病院でも受けられますか?
先進医療は厚生労働省が指定した施設のみで実施できます。希望する先進医療が受けられる施設を事前に確認する必要があります。
Q. 先進医療の費用は医療費控除の対象になりますか?
はい。先進医療の自費技術料も医療費控除の対象です。領収書を保管して確定申告時に申告してください。
Q. PGT-Aを受ければ必ず妊娠できますか?
いいえ。染色体正常胚を選んでも着床・妊娠を保証するものではありません。ただし流産リスクの軽減・妊娠率の改善に役立つ可能性があります。
Q. 先進医療を受ける場合、保険適用の治療と組み合わせられますか?
保険適用の治療(体外受精等)と先進医療(ERA・PGT-A等)の組み合わせは認められています。ただし、先進医療の技術料部分は自費となります。
Q. 先進医療の認定が変わる可能性はありますか?
はい。先進医療技術は定期的に審査され、エビデンスの蓄積により保険収載される場合も、一方で認定が外れる場合もあります。最新情報は厚生労働省のウェブサイトをご確認ください。
まとめ
不妊治療に関連する先進医療には、ERA・EMMA・ALICE・PGT-A・SEET法・タイムラプス培養などがあります。
- 先進医療の技術料は自費(8,000円〜12万円程度が目安)
- 先進医療特約(民間保険)に加入していれば費用をカバーできる場合がある
- すべての不妊患者に推奨されるわけではなく、適応は担当医が判断
- 先進医療を提供できる施設は限られているため、事前の確認が必要
担当医師と十分に相談した上で、自分の状況に合った先進医療の活用を検討してください。
免責事項
本記事は医療情報の一般的な提供を目的としており、特定の治療・施術を推奨するものではありません。先進医療の適応・有効性は個人の状況により異なります。必ず担当医師にご相談ください。記載情報は2026年5月時点のものです。制度・承認内容は変更される場合があります。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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