
不妊検査を考えたとき、「生理後のどのタイミングで受ければいいの?」と疑問に思う方は多いです。生理周期に応じて検査の適切なタイミングが異なり、間違った時期に受けると正確な結果が得られないこともあります。この記事では、生理後の各検査タイミングについて、何日目に何を受けるべきかを分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 生理周期別の主要な不妊検査の適切なタイミング
- 各検査の目的と検査でわかること
- 受診前の準備と注意点
- 費用の目安と保険適用の可否
生理後の検査タイミング一覧|周期日数別まとめ
不妊検査は生理周期の特定日に受けることで、はじめて正確なデータが得られます。以下に主要検査の推奨タイミングを整理しました。
生理周期の時期 | 主な検査 | 目的 |
|---|---|---|
生理2〜5日目 | 基礎ホルモン検査(FSH・LH・AMH・E2) | 卵巣予備能・排卵機能の評価 |
生理6〜10日目 | 子宮卵管造影検査(HSG) | 卵管の通過性・子宮腔の形態評価 |
生理10〜14日目 | 卵胞モニタリング・フーナーテスト | 排卵の確認・精子との適合性検査 |
生理21〜24日目 | 黄体機能検査(P4・E2測定) | 着床に必要な黄体ホルモンの評価 |
生理2〜5日目の検査|基礎ホルモン値の測定
生理開始から2〜5日目は、卵巣が「休息状態」にある時期です。このタイミングで血液検査を行うと、ホルモン値がベースライン(基準値)に最も近い状態で計測でき、卵巣機能の実力が正確に分かります。
測定する主なホルモン
- FSH(卵胞刺激ホルモン):3〜10 mIU/mL が正常範囲。値が高いほど卵巣の刺激に強い力が必要=卵巣予備能の低下を示す
- LH(黄体化ホルモン):FSHとのバランスで多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断に有用
- E2(エストラジオール):月経期は20〜50 pg/mL程度。高い場合は卵胞の残存が疑われる
- AMH(抗ミュラー管ホルモン):周期を通じてほぼ一定だが、生理2〜5日目に同時測定するクリニックが多い。残存卵子の数の指標
AMH検査の重要性
AMHは「卵巣年齢」とも呼ばれ、残存卵子数を間接的に示します。日本産科婦人科学会の参考値では、30歳で平均2.5〜3.0 ng/mL程度ですが、個人差が大きく、低値(1.0 ng/mL未満)の場合は早期の不妊治療検討が推奨されます。AMHが低くても妊娠は十分に可能であり、治療の優先度の判断材料として使われます。
生理6〜10日目の検査|子宮・卵管の形態確認
出血が落ち着いた生理後の時期(増殖期前半)は、子宮内膜がまだ薄く、子宮腔や卵管の状態が観察しやすい最適タイミングです。
子宮卵管造影検査(HSG)の流れ
- 造影剤の注入:子宮頸管からカテーテルを通じて造影剤を注入する(5〜10分)
- X線撮影:造影剤が卵管を通過する様子をリアルタイムで確認
- 結果判定:卵管の開通・閉塞・狭窄、子宮腔の異常(ポリープ・粘膜下筋腫等)を評価
HSGは診断だけでなく治療効果もあるとされており、検査後3〜6ヶ月は妊娠率が上がるという報告があります(Lim et al., 2014)。痛みを伴うことがありますが、30〜60分で帰宅可能です。費用は保険適用で7,000〜1万5,000円程度です。
生理食塩水子宮卵管造影(SHG)との違い
X線を使わず超音波で子宮内腔を評価する方法も普及しています。放射線被曝がなく痛みが少ない反面、卵管の通過性評価はHSGより精度が劣ります。クリニックによってどちらを採用するかが異なります。
生理10〜14日目の検査|排卵前後の精子・卵胞評価
排卵直前は卵胞が最大径(18〜22mm)に達し、LHサージ(排卵誘発ホルモンの急上昇)が起こります。このタイミングに合わせて受ける検査が2つあります。
卵胞モニタリング
経腟超音波で卵胞の大きさを測定し、排卵日を予測します。1周期に複数回(生理10・12・14日目前後)来院することで、排卵の有無・卵胞の発育状況・子宮内膜の厚さが分かります。費用は1回あたり1,500〜3,000円(保険適用時)程度です。
フーナーテスト(ヒューナー検査)
性交後8〜12時間以内に子宮頸管粘液を採取し、精子の運動状況を調べます。「精子が子宮内に入れているか」を見る検査であり、抗精子抗体の存在を間接的に確認できます。基準は顕微鏡1視野あたり運動精子が5個以上ですが、日本では感度・特異度の観点から補助的検査として位置付けられています。
生理21〜24日目の検査|黄体機能の評価
排卵後に形成された黄体が十分な黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌しているかを確認するタイミングです。黄体機能不全があると、受精卵が着床しにくくなる原因となります。
プロゲステロン(P4)基準値
- 正常:10 ng/mL 以上(高温期中期)
- 境界域:5〜10 ng/mL(追加検査・治療を検討)
- 低値:5 ng/mL 未満(黄体機能不全の疑い)
低値の場合はプロゲステロン腟坐薬・筋肉注射・内服薬による黄体補充療法が行われます。
費用・保険適用の目安
検査名 | 保険適用 | 費用目安(3割負担) |
|---|---|---|
ホルモン検査(FSH/LH/E2) | 〇 | 3,000〜5,000円 |
AMH検査 | 〇(不妊治療目的) | 1,500〜3,000円 |
子宮卵管造影(HSG) | 〇 | 7,000〜1万5,000円 |
卵胞モニタリング | 〇 | 1,500〜3,000円/回 |
フーナーテスト | 〇 | 1,000〜2,000円 |
黄体ホルモン検査(P4) | 〇 | 1,000〜2,000円 |
よくある質問
Q. 生理が不規則な場合、何日目に受ければいい?
生理周期が不規則でも「生理開始日から数える」ことが基本です。ただし、生理2〜5日目の検査は出血量が多い場合でも受診可能なクリニックがほとんどです。自分の出血状況を電話で事前確認してから予約すると安心です。
Q. 検査は1周期でまとめて受けられる?
はい、1周期(約30日)で主要な検査をすべてカバーできます。生理2〜5日目にホルモン検査・AMH、6〜10日目にHSG、10〜14日目にモニタリング・フーナー、21〜24日目に黄体機能という順番です。クリニックに「1周期で基本検査を受けたい」と伝えると、スケジュールを組んでもらえます。
Q. 検査後に痛みが残る場合は?
HSG後は軽い腹部不快感・少量の出血が1〜2日続くことがあります。強い痛み・発熱(38℃以上)・大量出血の場合は速やかに受診してください。これらは感染(子宮内膜炎)のサインである可能性があります。
Q. 生理周期が28日より短い・長い場合の注意点は?
周期が短い(20〜24日)場合は排卵が早まるため、卵胞モニタリングの開始を生理8日目前後に早めます。長い(35〜40日)場合は排卵が遅いため、フーナーテストの予約を生理14〜18日目以降に調整します。自分の平均周期をクリニックに伝えましょう。
Q. 職場には何日くらい休みが必要?
血液検査・モニタリングは30〜60分で完了します。HSGは処置後の安静を含めて2〜3時間が目安で、当日の運転・激しい運動は控えるよう指示されることがあります。多くの方は半休または当日の遅刻・早退で対応しています。
まとめ
生理後の不妊検査タイミングは「何日目に何を受けるか」が明確に決まっています。月経期(2〜5日目)のホルモン検査から始まり、増殖期の子宮卵管造影、排卵期のモニタリング・フーナー、高温期の黄体検査という流れで1周期内にすべての基本検査が完了します。タイミングを間違えると再検査が必要になるため、初診時にクリニックへ現在の周期日数を伝え、検査スケジュールを確認することが重要です。
免責事項:本記事は医療情報の提供を目的とした一般情報です。個別の医学的判断・診断・治療方針については、必ず担当医にご相談ください。情報の正確性には細心の注意を払っていますが、医学の進歩により内容が変わることがあります。(情報取得日:2026-05-02)
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。
Next Action

