ピルを飲んでいても、妊娠に向けた検査や受診の相談は始められます。ただし、薬の影響を受ける検査があるため、服用していない人と同じ基準で結果を判断できるとは限りません。「検査のために何か月前から全員休薬する」と決めず、処方医と検査を行う医療機関に計画を相談しましょう。
検査名だけで、服用中の可否を一律に分けません
| 確認すること | 服用中に相談するポイント |
|---|---|
| 問診・受診計画 | 薬の名前、服用理由・期間、妊娠希望の時期を伝える |
| ホルモン採血 | 何を知るための検査か、薬の影響と採血時期を確認する |
| AMH・AFC | 低く出る場合があるため、服用歴を含めて解釈し、再評価の要否を相談する |
| 超音波・卵管の検査 | 調べる目的、妊娠や感染の可能性、施設の実施条件を確認する |
| パートナーの評価 | 女性側の休薬や全検査の完了を待たず、必要な相談を並行する |
ホルモン値は、薬を使っている状況と一緒に読みます
ホルモンを含む避妊薬は排卵に関わるホルモンの働きを変えます。FSH・LHなどの値を、自然な月経周期の基礎値としてそのまま扱わないことが大切です。一方、「ホルモン検査は全部できない」という意味ではありません。
診療の目的に応じて、必要な項目と実施時期を医師が判断します。ASRM:不妊治療でのホルモン避妊薬と検査値への影響
低用量の配合ピル、黄体ホルモンのみの薬、病気の治療薬などを、すべて同じ薬として扱わないでください。薬の写真やお薬手帳を持参すると、成分や服用方法を確認しやすくなります。処方された周期調整や不妊治療の薬も伝えましょう。
AMHが低くても、数値だけで卵巣の状態を決めません
AMHや超音波で数えるAFCは、ホルモン避妊薬の使用中に低くなることがあります。ASRMの2024年委員会意見は、必要な場合には休薬後の再評価を検討する考え方を示しています。ただし、全員が同じ割合で下がる、一定期間後に必ず元の値へ戻る、という保証ではありません。
AMHは主に卵巣予備能や刺激への反応を考える補助情報です。卵子の質や個人の自然妊娠の可能性を、一つの値で判定する検査ではありません。低値が出た場合は、薬の影響、年齢・病歴、他の所見と合わせて、再測定が治療方針に役立つかを確認します。ASRM:卵巣予備能検査の解釈と限界
「ピル服用中だから卵管造影は安全」とは判断しません
子宮卵管造影を行うか、いつ行うかは、検査目的と施設の方針、妊娠や感染の可能性などを確認して決めます。ピルを飲んでいることだけで、妊娠の確認や検査前の注意が不要になるわけではありません。飲み忘れ、不正出血、造影剤で具合が悪くなった経験なども伝えてください。
国内の病院の案内では、一般に月経終了後から排卵前の実施、感染の確認などが説明されています。服薬中の出血をどう扱うか、検査前後の性交・避妊、薬の使い方は、実施施設から指示を受けます。慶應義塾大学病院:子宮卵管造影の実施前の注意
休薬の相談と、妊娠に備える相談を一緒にします
避妊のために服用している場合と、子宮内膜症や月経痛などの治療で服用している場合では、中止後に考えることが異なります。自己判断で中断せず、症状の管理、代わりの対応、妊娠希望の時期を処方医と共有してください。
WHOの一般向け資料は、ピルやミニピルをやめた後に妊孕性が速やかに戻ると説明しています。検査値を再評価するための期間と、妊娠できるようになるまでの期間は同じではありません。まだ妊娠を希望しない場合は、休薬時の避妊も確認しましょう。WHO:経口避妊薬と中止後の妊孕性
受診前にまとめておくこと
- 薬の名前、服用理由、開始時期、飲み忘れや他の薬の有無
- 服用前の月経の状態と、現在の出血・痛みなどの症状
- 妊娠を希望する時期、過去の検査結果、パートナーの相談状況
- 今回の検査で何を知りたいか、休薬や再検査が必要ならその理由
月経が来ない、症状が戻ったなどの困りごとがあれば、決まった月数を待たず相談してください。妊娠の可能性がある場合も先に伝えます。
参考資料と確認日
- ASRM:ホルモン避妊薬と不妊治療(2024年、卵巣予備能などの採用節)
- ASRM:卵巣予備能検査(2020年、採用節)
- WHO:Oral contraceptives(2025年12月23日)
- 慶應義塾大学病院:子宮卵管造影
2026年10月29日に採用した節を照合しました。個別の休薬日・採血日を指定する記事ではなく、本記事の個別の医師監修は行っていません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。