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PCOSの血液検査項目一覧|LH・テストステロン・インスリン

2026/4/19

PCOSの血液検査項目一覧|LH・テストステロン・インスリン

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断には、LH・FSH・テストステロン・インスリン・AMHなど複数の血液検査が必要です。PCOSは単一の検査で診断できるものではなく、ロッテルダム基準(月経異常・高アンドロゲン血症・多嚢胞性卵巣の3項目中2項目)を血液検査と超音波の組み合わせで確認します。

この記事のポイント

  • PCOSの診断に必要な血液検査項目と各検査の意義
  • 各ホルモンの異常値が示すPCOSのメカニズム
  • インスリン抵抗性評価(HOMA-IR)の重要性

PCOSの血液検査——検査が必要な理由

PCOSは「月経不順・体毛が濃い・ニキビが多い・なかなか妊娠しない」など多様な症状を呈する代謝・内分泌疾患です。症状だけでは他の疾患(甲状腺機能異常・高プロラクチン血症・先天性副腎過形成など)との鑑別ができないため、複数の血液検査で客観的に評価します。

検査は月経2〜5日目に行う理由

LH・FSH・E2など基礎ホルモンは「月経2〜5日目(卵胞早期)」の値が診断基準として使われます。この時期はホルモンが基底値を示し、PCOSに特徴的なLH/FSH比の上昇が最も明確に現れるためです。AMH・テストステロン・インスリンは月経周期に関わらず測定可能です。

PCOSの診断に用いる血液検査項目一覧

基本ホルモン検査(月経2〜5日目推奨)

検査項目

PCOS典型値

意味・解釈

LH(黄体形成ホルモン)

高値(通常の2〜3倍)

卵巣の莢膜細胞を刺激してアンドロゲン過剰産生を引き起こす

FSH(卵胞刺激ホルモン)

正常〜低値

LH/FSH比が2以上(正常は約1)はPCOS疑い

LH/FSH比

2以上(PCOSの指標)

日本の診断基準では補助指標として使用

E2(エストラジオール)

正常〜低値または軽度高値

卵胞発育停止・無排卵の評価

PRL(プロラクチン)

正常(高値なら高PRL血症を鑑別)

高PRL血症はPCOSに似た月経不順を起こすため除外

TSH(甲状腺刺激ホルモン)

正常(異常なら甲状腺疾患を鑑別)

甲状腺機能低下症もPCOS様症状を呈するため除外

アンドロゲン(男性ホルモン)検査

検査項目

PCOS典型値

意味・解釈

総テストステロン

上限値付近〜高値(0.6〜2.0 ng/mL)

高アンドロゲン血症の直接的指標

遊離テストステロン

高値(3 pg/mL以上)

SHBGが低いため遊離型が増加

DHEA-S(副腎由来)

正常〜軽度上昇

著明な高値は副腎腫瘍・先天性副腎過形成を疑う

SHBG(性ホルモン結合グロブリン)

低値

SHBGが低いと遊離アンドロゲンが増加し症状が出やすい

17-OHプロゲステロン

正常(高値なら先天性副腎過形成を鑑別)

先天性副腎過形成(CAH)との鑑別に使用

インスリン関連検査——PCOSのもう一つの顔

PCOSの50〜80%にインスリン抵抗性が合併します。インスリン抵抗性はアンドロゲン過剰をさらに悪化させ、将来の2型糖尿病・代謝症候群のリスクを高めます。

検査項目

評価基準

意義

空腹時血糖

100 mg/dL未満が正常(110〜125が境界型)

糖代謝異常の評価

空腹時インスリン

15 μIU/mL未満が目安

高値でインスリン過剰分泌を示す

HOMA-IR

1.6未満が正常(2.5以上で抵抗性あり)

インスリン抵抗性の定量評価指標

HbA1c

5.6%未満が正常

過去1〜2ヶ月の平均血糖を反映

75g OGTT(ブドウ糖負荷試験)

必要時に追加

境界型糖尿病・2型糖尿病の精査

HOMA-IRの計算式:空腹時血糖(mg/dL)× 空腹時インスリン(μIU/mL)÷ 405。HOMA-IR 2.5以上はインスリン抵抗性があると判断されます。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)——PCOSで特徴的に高値

AMHは卵巣予備能の指標ですが、PCOSでは小卵胞が多数あるため、正常よりも著明に高値(通常の2〜4倍)を示します。PCOSの診断補助マーカーとしても注目されており、AMH高値(3〜5 ng/mL以上)は多嚢胞性卵巣の存在を示唆します。ただし、AMH単独でPCOSを診断することはできません。

検査結果の総合解釈

PCOSの診断は「ロッテルダム基準」に基づき、以下の3項目のうち2項目以上を満たす場合に診断されます。

  1. 月経異常・無排卵:月経周期35日以上または無月経
  2. 高アンドロゲン血症:血液検査での高テストステロン、またはにきび・多毛・男性型脱毛の臨床所見
  3. 多嚢胞性卵巣:超音波で卵巣に12個以上の小卵胞(2〜9mm)または卵巣容積10mL以上

鑑別が必要な疾患とその検査

鑑別疾患

特徴的な所見

鑑別に使う検査

高プロラクチン血症

乳汁分泌・頭痛

PRL高値(通常25 ng/mL以上)

甲状腺機能低下症

倦怠感・体重増加・寒がり

TSH高値・fT4低値

先天性副腎過形成(CAH)

思春期以前から多毛

17-OHプロゲステロン高値

クッシング症候群

中心性肥満・皮膚線条

コルチゾール高値・ACTH検査

アンドロゲン産生腫瘍

急速な男性化の進行

テストステロン著明高値・画像検査

よくある質問(FAQ)

Q1. PCOSの検査はいつ受ければいいですか?

基礎ホルモン(LH・FSH・E2・PRL・TSH)は月経2〜5日目が最適です。テストステロン・AMH・インスリン関連は月経周期を問わずいつでも測定できます。月経が不規則な場合は来院時に採血可能な項目から始めます。

Q2. LH/FSH比が2以上だと必ずPCOSですか?

LH/FSH比≥2はPCOSを示唆しますが、LH/FSH比のみで診断はされません。月経不順・高アンドロゲン血症・多嚢胞性卵巣のロッテルダム基準で総合判断します。ストレスや睡眠不足でもLHが一時的に上昇することがあります。

Q3. 痩せていてもPCOSになりますか?

はい。PCOSは太っている人だけでなく、BMI正常または低体重でも発症します(非肥満型PCOS)。日本人や東アジア系ではインスリン抵抗性が体重に比べて強く出やすい傾向があります。

Q4. AMHが高いとPCOSは確定ですか?

AMH高値はPCOSを強く示唆しますが、確定診断ではありません。AMHは卵巣予備能が高い若い女性でも高く出ることがあります。ロッテルダム基準による総合判断が必要です。

Q5. PCOSと診断されたら必ず不妊治療が必要ですか?

必ずしもそうではありません。軽症PCOSで排卵がある程度みられる場合は、生活習慣改善(体重管理・運動)でホルモンバランスが改善し、自然妊娠できるケースもあります。治療の必要性は症状・年齢・妊娠希望の有無によって異なります。

まとめ

PCOSの血液検査はLH/FSH比・テストステロン・インスリン関連・AMHなど多岐にわたります。月経2〜5日目の採血で基礎ホルモンを測り、超音波検査と組み合わせてロッテルダム基準で診断します。インスリン抵抗性(HOMA-IR)の評価は将来の代謝リスク管理にも重要です。「月経不順が続く」「にきび・多毛が気になる」「妊娠しにくい」という方は、まず婦人科または内分泌科で相談してください。

※本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療の代替となるものではありません。気になる症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。参考:日本産科婦人科学会「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)診断基準」、Rotterdam ESHRE/ASRM consensus criteria(2003)

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2