
不妊検査にかかった費用は、医療費控除の対象として確定申告で取り戻すことができます。年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合、超えた部分の一定割合が税金から差し引かれます。この記事では、不妊検査費用の確定申告の手順・対象範囲・実際の還付額の計算方法を具体的に解説します。
この記事のポイント
- 不妊検査費用(ホルモン検査・卵管造影・精液検査等)は医療費控除の対象
- 年間の医療費合計が10万円超で還付を受けられる可能性がある
- 還付額の目安:医療費20万円の場合、所得税率10%なら約1万円の還付
- e-Taxで申告すれば自宅から手続き可能・還付も早い
- 領収書は5年間保管が義務。クリニックのレシートを必ず保管すること
不妊検査のどの費用が医療費控除の対象になるか
医療費控除の対象となるのは、「治療または診断を目的とした医療費」です。不妊検査の多くはこの要件を満たします。
検査・費用の種類 | 控除対象 | 備考 |
|---|---|---|
初診・再診料 | ○ | 保険診療・自費ともに対象 |
血液検査(ホルモン値・AMH等) | ○ | 不妊原因の診断目的 |
子宮卵管造影検査(HSG) | ○ | 保険適用・自費ともに対象 |
超音波(エコー)検査 | ○ | 診断目的のため対象 |
精液検査 | ○ | 男性の検査も対象 |
フーナーテスト | ○ | 不妊原因の診断に必要な検査 |
子宮内膜検査(ERA・EMMA等) | ○ | 自費の先進医療も対象 |
薬(処方箋薬) | ○ | 処方された薬は対象 |
通院交通費 | ○ | 公共交通機関の実費(領収書不要・記録で申告) |
妊活サプリメント | × | 医師の処方がないものは対象外 |
美容目的の施術 | × | 治療目的以外は対象外 |
医療費控除の計算方法と還付額シミュレーション
医療費控除額の計算式は以下の通りです。
控除額 = 年間医療費合計 − 保険金等で補填された金額 − 10万円(または総所得金額の5%、いずれか低い方)
実際の還付額は「控除額 × 所得税率」で計算されます。
年間医療費 | 所得税率5%の場合 | 所得税率10%の場合 | 所得税率20%の場合 |
|---|---|---|---|
15万円 | 約2,500円 | 約5,000円 | 約1万円 |
20万円 | 約5,000円 | 約1万円 | 約2万円 |
30万円 | 約1万円 | 約2万円 | 約4万円 |
50万円 | 約2万円 | 約4万円 | 約8万円 |
※上記に加え、住民税の医療費控除(控除額の10%相当)も軽減されます。所得税の還付に翌年の住民税軽減分を加えると実質的な節税効果はさらに大きくなります。
確定申告の手順(5ステップ)
ステップ1:領収書を集める
1月1日〜12月31日の医療費領収書をすべて集めます。クリニック・薬局・交通費の記録を一か所にまとめましょう。
ステップ2:医療費控除の明細書を作成する
国税庁の「確定申告書作成コーナー」(e-Tax)で医療費の明細を入力します。施設名・金額・受診者名を入力するだけで自動計算されます。
ステップ3:確定申告書を作成・提出する
e-Taxの場合はオンラインで完結。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば自宅から申告できます。税務署への持参・郵送も可能です。
ステップ4:還付金を受け取る
申告後1〜2ヶ月程度で指定口座に還付されます(e-Taxは比較的速い)。
ステップ5:領収書を5年間保管する
2024年分の申告から領収書の添付・提出が不要になりましたが、税務署から求められた際に提示できるよう5年間保管が必要です。
夫婦の医療費をまとめて申告できる
医療費控除は生計を一にする家族の医療費を合算できます。妻の不妊検査費用と夫の精液検査費用を合算して申告することが可能です。
- 夫婦どちらの名義で申告してもよい(所得が高い方が申告すると還付額が大きくなる傾向)
- 同居する親・子の医療費も合算可能
- 夫婦別居でも「生計を一にする」実態があれば合算可能
よくある質問
Q. 不妊治療の費用(採卵・体外受精)も一緒に申告できますか?
はい。不妊検査に加え、体外受精・顕微授精・胚移植等の治療費も医療費控除の対象です。2022年から保険適用になった治療の自己負担分も含め、すべての医療費を合算して申告できます。
Q. 保険適用で受けた検査の費用も対象になりますか?
はい。保険診療の自己負担分(3割負担分)も医療費控除の対象です。ただし、加入している医療保険(民間保険)から給付を受けた場合はその金額を差し引く必要があります。
Q. セルフメディケーション税制と医療費控除は同時に使えますか?
いいえ。セルフメディケーション税制と医療費控除はどちらか一方しか選択できません。医療費が10万円を超える場合は医療費控除の方が有利なことが多いです。
Q. 自費診療のAMH検査は対象になりますか?
AMH(卵巣年齢)検査は不妊原因の診断を目的とした検査であるため、医療費控除の対象になります。受診したクリニックの領収書を保管してください。
Q. 交通費はどう申告すればよいですか?
電車・バス等の公共交通機関の通院交通費は実費で申告できます。領収書は不要ですが、日付・区間・金額を記録したメモを作成しておきましょう。タクシーは原則として対象外ですが、公共交通機関の利用が困難な場合(深夜・身体的理由等)は対象になることがあります。
まとめ
不妊検査費用の確定申告(医療費控除)は、多くのカップルが見落としがちな節税手段です。
- ホルモン検査・HSG・精液検査など不妊検査のほぼすべてが対象
- 夫婦の医療費を合算し、所得が高い方で申告すると有利
- e-Taxを使えば自宅から簡単に手続きができる
- 領収書は必ず保管(5年間)
年間医療費が10万円を超える見込みがある場合は、毎月の領収書をこまめに集めておくことが大切です。確定申告の期間(翌年2月16日〜3月15日)に忘れず申告しましょう。なお、過去5年分の医療費について「更正の請求」により遡及申告も可能です。
免責事項
本記事は税務・医療情報の一般的な提供を目的としており、個別の税務相談ではありません。具体的な申告内容については税理士または税務署にご確認ください。税制は改正されることがあるため、申告時は最新の国税庁情報をご確認ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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