
「不妊検査は月経周期に合わせて受けるものが多い」とわかっていても、具体的に1ヶ月(1周期)の中でどの日に何の検査を受けるのかイメージしにくい方も多いでしょう。この記事では、28日周期を例に取り、不妊検査の月別スケジュール例を日程別に解説します。
この記事でわかること
- 月経周期別(低温期前半・後半・排卵期・高温期)に受ける検査の詳細
- 28日周期・不規則周期それぞれのスケジュール例
- 来院回数を減らすための日程調整のコツ
- 男性の精液検査との並行スケジュール
月経周期と検査タイミングの全体図
不妊検査は月経周期の「ステージ」によって受けられる検査が決まります。下表は28日周期を例にした標準的なスケジュールです。
時期 | 月経周期日数(28日目安) | 主な検査 |
|---|---|---|
月経開始直後(低温期前半) | 2〜5日目 | ホルモン基礎値(FSH・LH・E2)・AMH・TSH・プロラクチン・超音波(基礎) |
月経終了後(低温期後半) | 7〜10日目 | 子宮卵管造影(HSG)・子宮頸管粘液検査 |
排卵期前後 | 12〜15日目 | 卵胞チェック(超音波)・ヒューナー検査(性交後試験) |
高温期中期 | 21〜24日目 | プロゲステロン(黄体ホルモン)測定 |
月経開始後(次周期へ) | 翌周期2〜5日目 | 前周期で未実施・再検査が必要な項目 |
月経2〜5日目(低温期初期)の検査詳細
月経が来たら最初の通院タイミングです。ホルモン値が「基礎値」として最も安定して測れる時期です。月経中でも受診可能なため、月経開始翌日(2日目)にすぐ予約を入れることが推奨されます。
この時期に実施する主な検査
- FSH(卵胞刺激ホルモン):高値は卵巣予備能の低下を示す可能性。目安10 mIU/mL未満が正常
- LH(黄体形成ホルモン):PCOSでは高LHを示す場合がある
- E2(エストラジオール):低温期初期の基礎値。高値は卵巣予備能低下の早期サインになることがある
- プロラクチン(PRL):高プロラクチン血症は排卵障害の原因になる。緊張・空腹状態で検査することが推奨
- TSH(甲状腺刺激ホルモン):甲状腺機能低下症は流産・不妊のリスク因子
- AMH:卵巣予備能の指標。月経周期を問わず測定できるが、初診時まとめて実施することが多い
- 超音波(基礎):子宮の形態、卵胞数(AFC)、卵巣の状態を確認
月経7〜10日目(低温期後半)の検査詳細
月経が終わり、子宮内が最もきれいで造影剤が通りやすい時期です。卵管の状態を確認するHSGを実施するベストタイミングです。
子宮卵管造影検査(HSG)のポイント
- X線またはエコー(超音波)下で子宮に造影剤を注入し、卵管の通過性を確認する
- 所要時間:15〜30分(処置自体は5〜10分)
- 痛み:卵管閉塞がある場合や造影剤注入時に月経痛に似た痛みが出ることがある。事前に鎮痛剤(イブプロフェン等)を処方されることも多い
- HSG後は、卵管洗浄効果で3〜6ヶ月は自然妊娠率が若干上がるという報告がある
- 予約が込み合うため、月経開始時点で事前に7〜10日目頃の仮予約を入れておくことを推奨
月経12〜15日目(排卵期前後)の検査詳細
排卵前後の時期は、卵胞の成熟状態とヒューナー検査(性交後試験)を確認する重要な受診日です。排卵のタイミングは個人差があるため、事前に排卵検査薬(市販品)で予測しておくと受診タイミングを合わせやすくなります。
卵胞チェック(超音波)
- 卵胞の大きさを経腟超音波で確認(成熟卵胞:18〜22mm)
- 排卵後は卵胞が消えて卵巣に液体(排卵痕)が確認できる
ヒューナー検査(性交後試験)
- 目的:子宮頸管粘液中に精子が生存・前進できているかを確認(抗精子抗体の簡易スクリーニング)
- 受診タイミング:性交後8〜12時間後に受診(前夜に性交し、翌朝受診が一般的)
- 判定:顕微鏡で運動精子が5個/視野以上確認できれば「良好」とされる
月経21〜24日目(高温期中期)の検査詳細
高温期の中期(排卵から約7日後)は、黄体が最も活発にプロゲステロンを分泌する時期です。この時期に採血することで、黄体機能が正常かを評価できます。
- プロゲステロン測定:10 ng/mL以上が黄体機能正常の目安(施設・測定法による差あり)。低値は黄体機能不全(受精卵の着床・維持に影響する可能性)を示す
- 基礎体温グラフと合わせて評価:高温期が10日未満・体温上昇が不明瞭な場合に黄体機能不全を疑う
周期が不規則な場合のスケジュール調整
月経周期が28日でない場合・不規則な場合は、以下のように考えます。
周期の特徴 | 調整方法 |
|---|---|
短い周期(21〜25日) | HSGは月経5〜7日目頃に早める。高温期プロゲステロンは排卵後7日目を目標に計算 |
長い周期(35〜40日以上) | 排卵が遅い可能性。排卵検査薬で排卵時期を追跡し、卵胞チェックの来院日を調整 |
無月経・稀発月経 | ホルモン検査の「月経2〜5日目」という条件が使えない。担当医の指示に従い、随時採血または薬剤でリセット後に実施 |
よくある質問
Q. 月経中(出血中)に受診してもよいですか?
月経2〜5日目の採血(ホルモン検査)・超音波検査は、出血中でも実施可能です。子宮内膜が薄い月経期は超音波で卵巣を観察しやすい面もあります。受診前に「現在月経中」であることを受付に伝えてください。
Q. 一度の来院で複数の検査を受けられますか?
同じ日に受けられる検査はまとめて実施することが可能です。例えば月経2〜5日目の来院で、ホルモン採血・超音波・感染症検査を1回の来院で済ませられます。事前に「今日受けられる検査を全部受けたい」と医師・スタッフに伝えることで来院回数を最小化できます。
Q. 基礎体温をつけていないと検査を受けられませんか?
基礎体温記録がなくても検査は受けられます。ただし基礎体温グラフは排卵の有無・黄体機能の状態を把握するための有用な情報です。記録していない場合は初診時から始めることを推奨します。スマートフォンアプリ(ルナルナ・カラダのキもち等)を活用すると手軽に管理できます。
Q. 仕事があって平日に来院できません。土日だけで検査を進められますか?
土日対応の不妊治療クリニックも増えていますが、月経周期によっては月経2〜5日目や排卵前後が平日しか対応していない日程に重なることがあります。勤務先の健康サポート制度・不妊治療の通院休暇制度(2022年から大企業を中心に普及)を活用することも選択肢です。
Q. 夫(パートナー)の精液検査はいつ受ければいいですか?
精液検査は月経周期に関係なく実施できます。女性の初診時に男性の精液検査も同日または数日以内に予約するのが効率的です。検査前2〜5日間の禁欲が必要なため、予約日から逆算して禁欲開始日を設定してください。
まとめ
不妊検査の月別スケジュールは、月経2〜5日目(ホルモン検査)→7〜10日目(HSG)→12〜15日目(卵胞チェック・ヒューナー検査)→21〜24日目(プロゲステロン)という流れが基本です。月経開始日を「スタートシグナル」として捉え、すぐに予約を入れることでスケジュール全体がスムーズに進みます。男性の精液検査は周期に関係なく実施できるため、女性の初診時期に並行して進めることで検査完了を早めることができます。
免責事項:本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療の代替となるものではありません。実際の検査スケジュールは月経周期や担当医師の方針によって異なります。必ず担当医師にご確認ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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