EggLink

頸管因子不妊の検査|粘液と抗体検査

2026/4/19

頸管因子不妊の検査|粘液と抗体検査

頸管因子不妊の検査:1分でわかる要点

頸管因子不妊の検査は、精子が子宮頸管を通過できているかを評価する検査です。代表的なものに「フーナーテスト(性交後試験)」「頸管粘液検査」「抗精子抗体検査」があります。特殊な技術を要さず、外来で即日実施できる検査が多いのが特徴です。

この記事でわかること

  • 頸管因子不妊の診断に用いられる検査の種類
  • フーナーテスト・抗精子抗体検査の具体的な手順
  • 「フーナーテスト陰性」でも諦めない理由
  • 検査から次の治療ステップへの進め方

頸管因子不妊とは:精子の「最初の壁」

頸管因子不妊は、子宮頸管(子宮の入口)に関連した原因によって精子が子宮内に到達できない状態です。不妊原因全体の約5〜10%を占めるとされており、単独で原因となるケースは少なく、他の不妊因子と複合していることが多いです。

頸管因子不妊の主な原因

  • 頸管粘液の量・性状の異常:排卵期に精子が通過しやすくなる頸管粘液が少ない、または粘稠度が高い
  • 抗精子抗体(ASA)の存在:女性の体内で精子に対する抗体が産生され、精子の運動を阻害する
  • 頸管炎・頸管ポリープ:炎症や形態異常が精子通過を妨げる
  • 円錐切除術後の影響:頸がん治療後に頸管粘液分泌能が低下

頸管因子不妊の検査一覧

頸管因子を評価するための検査は、目的によって異なります。以下の表で全体像を把握してください。

検査名

目的

実施タイミング

保険適用

フーナーテスト(性交後試験)

頸管内の精子数・運動性確認

排卵日前後(性交後2〜12時間)

頸管粘液検査

粘液量・性状・シダ状結晶の確認

排卵日前後

抗精子抗体検査(女性)

女性血中の抗精子抗体の有無

月経周期を問わず

○(不妊検査として)

頸管分泌物培養検査

頸管炎(クラミジア等)の確認

月経周期を問わず

頸管内視鏡(コルポスコピー)

頸管形態の詳細観察

月経時以外

○(適応による)

フーナーテストの詳細:手順・判定基準・注意点

フーナーテスト(性交後試験・PCT:Post Coital Test)は、頸管因子不妊の評価において最も基本的な検査です。

検査の手順

  1. 排卵直前(基礎体温上昇前日〜当日)に性交を行う
  2. 性交後2〜12時間以内に来院(性交後は入浴・シャワーを避ける)
  3. 医師が頸管内の分泌液を採取(痛みはほぼない)
  4. 顕微鏡で視野あたりの運動精子数を計測

判定基準

  • 良好:顕微鏡1視野(×400倍)に運動精子10個以上
  • 境界:運動精子1〜9個
  • 不良:運動精子0個(全くいない、または不動精子のみ)

フーナーテスト「不良」でも諦めない理由

フーナーテストは再現性に課題があり、同じカップルでも複数回実施すると結果が変わることが知られています。2024年現在、欧州生殖医学会(ESHRE)のガイドラインではフーナーテストの単独使用を推奨しておらず、他の検査と組み合わせた総合評価が重要とされています。1回の不良判定で「頸管因子不妊と確定」とはなりません。

抗精子抗体(ASA)検査:見落とされがちな重要検査

抗精子抗体(Anti-Sperm Antibody)は、精子の運動性低下・凝集・卵子への侵入障害を引き起こします。不妊検査として血液検査で確認でき、費用は3割負担で約500〜1,500円程度です。

抗精子抗体陽性の場合の対応

  • 抗精子抗体陽性でも自然妊娠は可能なケースもある
  • 一般的に人工授精(AIH)では効果が限られることが多い
  • 体外受精(IVF)または顕微授精(ICSI)が有効な選択肢となる
  • ステロイド療法の有効性については現在も議論中

頸管粘液検査:排卵期の「精子の通り道」を評価

排卵期の頸管粘液は量が増加し、精子が通過しやすい性状(サラサラ・透明・シダ状結晶形成)に変化します。この変化が十分に起きていない場合、精子の子宮内到達が阻害されます。

頸管粘液スコア(Insler Score)の評価項目

  • 量(0〜3点)
  • 粘稠度(0〜3点)
  • シダ状結晶(0〜3点)
  • 牽糸性(0〜3点)

合計10点以上が良好とされます。低スコアの場合、エストロゲン不足・子宮頸管炎・過去の手術の影響などが考えられます。

検査から治療へのロードマップ

頸管因子に関連する検査を受けた後、結果に応じた対応は以下の通りです。

検査結果

推奨される次のステップ

フーナーテスト不良(繰り返し)

抗精子抗体検査・精液検査の追加

抗精子抗体陽性

体外受精(IVF)または顕微授精(ICSI)を検討

頸管粘液不良

エストロゲン補充・人工授精(AIH)を検討

頸管炎あり

抗菌薬治療後に再評価

よくある質問

Q. フーナーテストは何日前に来院すれば良いですか?

A. 排卵日の前日〜当日の来院が理想ですが、排卵日の特定が難しい場合は基礎体温計や市販の排卵検査薬を使って予測してから予約を取ることをおすすめします。クリニックによっては排卵モニタリングをしながら来院日を指定してくれるところもあります。

Q. 抗精子抗体は一度陽性になったら治りませんか?

A. 自然に陰性化するケースも報告されていますが、確実な治療法は確立されていません。陽性の場合でも体外受精や顕微授精で妊娠している例は多くあります。

Q. 頸管因子不妊の検査は男性も受けますか?

A. 抗精子抗体は男性でも産生されることがあります(男性自己免疫性不妊)。フーナーテストの結果が不良の場合、男性側の精液検査・抗精子抗体検査も並行して実施します。

Q. 頸管因子のみが原因の場合、自然妊娠は難しいですか?

A. 原因の種類と重症度によります。頸管粘液不良の場合は人工授精が有効なことが多く、抗精子抗体陽性の場合は体外受精が推奨されます。頸管因子「のみ」が原因であれば、適切な治療で妊娠できる確率は比較的高いとされています。

まとめ

  • 頸管因子不妊の検査は「フーナーテスト」「頸管粘液検査」「抗精子抗体検査」が中心
  • フーナーテストは再現性に課題があり、1回の結果で確定診断とはならない
  • 抗精子抗体陽性の場合はIVF/ICSIへの移行が有効な選択肢
  • 頸管炎(クラミジア等)がある場合は先に治療を完了させてから不妊治療を再開
  • 頸管因子が原因と判明しても、適切な治療で妊娠の可能性は十分ある

免責事項
本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。検査結果の解釈や治療選択については、必ず担当の医師にご相談ください。掲載している費用はあくまで目安です。

参考文献:日本産科婦人科学会「不妊症診断ガイドライン」、ESHRE Working Group on Unexplained Infertility. Unexplained infertility: an update and review of the literature. Human Reproduction Update. 2023.

E

この記事を書いた人

EggLink編集部

医療・婦人科専門メディア

産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。

公開:2026/4/19更新:2026/5/2