
陰嚢超音波検査(陰嚢エコー)は、超音波を使って精巣・精巣上体・精索の状態を画像で観察する検査です。放射線被曝がなく痛みもなく、精索静脈瘤・精巣腫瘍・無精子症の原因を10〜20分で確認できます。男性不妊の原因検索において必須の検査のひとつです。
この記事のポイント
- 陰嚢エコーで何が分かるか(精索静脈瘤の診断精度など)
- 検査の所要時間・痛みの有無・費用
- 精索静脈瘤が見つかった場合の次のステップ
陰嚢超音波検査で分かること
陰嚢エコーでは、精巣・精巣上体・精索をリアルタイムで観察できます。男性不妊の最大の外科的原因である精索静脈瘤の診断に特に有用で、視診・触診だけでは発見できないgrade 1の精索静脈瘤も検出可能です。
主な確認項目
確認項目 | 何が分かるか |
|---|---|
精索静脈瘤 | 静脈の怒張・逆流血流(ドプラエコーで確認)。男性不妊の約40%に関係 |
精巣の大きさ・均一性 | 精巣萎縮・腫瘍・嚢胞の有無 |
精巣上体の状態 | 精巣上体炎・精路閉塞の兆候 |
精管の評価 | 先天性精管欠損(CAVD)の疑い |
精巣血流 | 精巣捻転(緊急性あり)・炎症の評価 |
精索静脈瘤の診断——陰嚢エコーが最も重要な検査
精索静脈瘤は、精索(精管・血管を包む索状組織)内の静脈が逆流して拡張した状態です。精巣温度の上昇・酸化ストレスの増加により精子形成を障害し、男性不妊の最も多い外科的原因とされています。
精索静脈瘤のgrade分類(Dubin & Amelar分類)
Grade | 診断方法 | 静脈径目安 |
|---|---|---|
Grade 1 | バルサルバ法(息こらえ)+触診のみ | 〜2mm |
Grade 2 | 視診なしで触診可能 | 2〜3mm |
Grade 3 | 視診・触診で明確に確認可能 | 3mm以上 |
エコーでは静脈径が3mm以上、かつドプラ法でバルサルバ負荷時に逆流血流が確認されると精索静脈瘤と診断されます。
検査の流れと所要時間
陰嚢超音波検査は仰向けに寝た状態で、エコーゼリーを塗布したプローブを陰嚢に当てるだけです。放射線被曝もなく、痛みも基本的にありません。
検査の手順
- 検査台に仰向けに横になる(下着を下ろす必要あり)
- エコーゼリーを塗布(冷たい感覚がある)
- プローブで精巣・精巣上体・精索を観察(10〜20分)
- バルサルバ法(深呼吸して息を止める):精索静脈瘤の確認のため指示される場合あり
- 結果説明:同日または後日に医師から説明
痛み・時間・注意事項
- 痛み:基本的にない。精巣に炎症がある場合はプローブ接触で不快感が出ることがある
- 所要時間:10〜20分(検査のみ)
- 前処置:不要。飲食制限なし
- 当日の制限:特になし(性行為・運動の制限もない)
費用と保険適用
陰嚢超音波検査の費用は保険診療で実施できる場合が多いです。不妊検査の一環として受診した場合、2022年の保険適用拡大以降は保険診療の対象となるケースが増えています。
費用の目安
診療形態 | 費用目安 |
|---|---|
自費診療 | 5,000〜1万5,000円 |
保険診療(3割負担) | 1,500〜3,500円程度 |
初診料・再診料・他の検査費用が加算されます。受診前にクリニックに「保険で超音波検査できますか?」と確認するとスムーズです。
精索静脈瘤が見つかった場合の次のステップ
精索静脈瘤が確認されても、すぐに手術が必要とは限りません。精液検査の結果・グレード・症状を総合して治療方針を決定します。
治療の選択肢
- 経過観察:Grade 1で精液所見が正常範囲内の場合
- 精索静脈瘤結紮術(手術):精液所見の改善を目的とした低侵襲な手術。顕微鏡下手術が最も成功率が高い
- 術後3〜6ヶ月で精子濃度・運動率の改善が期待できる
- 術後の自然妊娠率は約30〜40%という報告がある
- ART(体外受精・顕微授精)への移行:女性側の年齢・卵巣予備能を考慮して手術を省略する場合もある
精巣腫瘍の早期発見にも重要
陰嚢エコーは男性不妊の検査だけでなく、精巣腫瘍(精巣がん)の早期発見にも非常に有効です。精巣腫瘍は20〜40代の若い男性に多く、エコーで高い感度・特異度(90%以上)で検出できます。
男性不妊の精液検査で精子数が著しく低い場合、まれに精巣腫瘍が原因のことがあります。陰嚢に硬いしこりを感じる、違和感がある場合は急いで受診してください。
よくある質問
Q. 陰嚢エコーは何科で受けられますか?
A. 泌尿器科が専門です。男性不妊専門クリニックや不妊治療クリニックの男性外来でも対応しています。
Q. エコーで精索静脈瘤が見つかったら必ず手術ですか?
A. 必ずしも手術が必要とは限りません。精液所見・グレード・パートナーの状況を踏まえて医師と相談して決定します。
Q. 自覚症状がなくても精索静脈瘤はありますか?
A. あります。精索静脈瘤は無症状のことが多く、男性不妊の精液検査で初めて疑われるケースが多いです。触診で分からない軽度のものもエコーで見つかります。
Q. 検査前に禁欲が必要ですか?
A. 陰嚢エコー単独では禁欲は不要です。精液検査を同日に受ける場合は2〜7日の禁欲が必要です。
Q. 精巣が萎縮しているとどうなりますか?
A. 精巣容積の低下は精子形成能力の低下と関連しています。原因によって治療方針が異なるため、ホルモン検査との組み合わせで評価されます。
まとめ:陰嚢エコーは男性不妊診断の必須ステップ
陰嚢超音波検査は痛みなし・放射線なし・10〜20分で完了する安全な検査です。精索静脈瘤・精巣腫瘍・精路閉塞の診断に欠かせません。
- 精索静脈瘤は男性不妊の最大外科的原因。エコーで grade 1 から検出可能
- 保険診療で1,500〜3,500円(3割負担)程度
- 精液検査+ホルモン検査+エコーで男性不妊原因の大部分が特定できる
免責事項
本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療の代替となるものではありません。個々の症状・状況については、必ず医療機関の医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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