
不妊検査で採血したあと「FSH・LH・E2・P4って何ですか?」「自分の数値が正常かどうか分からない」という声は非常に多いです。この記事では、不妊治療で測定する主要ホルモン検査の基準値を一覧で整理し、それぞれの意味を解説します。
【この記事のポイント】
- FSH・LH・E2・P4・PRL・AMHの基準値を月経周期別に一覧表示
- 各ホルモンが何を意味し、異常時に何が起こるかを解説
- ホルモン値の読み方と担当医への相談ポイントが分かる
不妊検査で測定するホルモンの全体像
不妊の原因を評価するために、複数のホルモンを月経周期の特定の時期に測定します。ホルモン検査は一般的に月経2〜5日目(基礎値)と、排卵後の高温期中期(黄体期)に分けて行われます。
主要ホルモン基準値一覧
以下は不妊検査で一般的に測定される主要ホルモンの参考基準値です。施設・測定方法によって基準値が異なる場合があります。
ホルモン名 | 測定時期 | 基準値(目安) | 主な役割 |
|---|---|---|---|
FSH(卵胞刺激ホルモン) | 月経2〜5日目 | 3〜10 mIU/mL | 卵胞の発育促進、卵巣予備能の指標 |
LH(黄体形成ホルモン) | 月経2〜5日目 | 1〜10 mIU/mL | 排卵誘発、黄体形成 |
E2(エストラジオール) | 月経2〜5日目 | 25〜75 pg/mL | 子宮内膜の増殖、卵胞発育の評価 |
P4(プロゲステロン) | 排卵後7日目頃(高温期中期) | 10 ng/mL以上(黄体機能良好の目安) | 子宮内膜の分泌期変化、着床環境の準備 |
PRL(プロラクチン) | 随時(午前中) | 2〜30 ng/mL(施設により異なる) | 乳汁分泌。過剰分泌は排卵障害の原因 |
AMH(抗ミュラー管ホルモン) | 周期を問わず(月経2〜3日目推奨) | 年齢によって異なる(1.0〜5.0 ng/mL目安) | 卵巣予備能(卵子の残り数)の指標 |
TSH(甲状腺刺激ホルモン) | 随時 | 不妊治療目標:2.5 μIU/mL未満 | 甲状腺機能の評価(不妊・流産との関連) |
FSHとLH:卵胞期初期の基礎ホルモン
FSHとLHはともに下垂体から分泌されるゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)で、卵巣機能と排卵に深く関わります。
FSHの異常値の意味
- FSH高値(10 mIU/mL以上):卵巣予備能低下を示唆。値が高いほど採卵数の減少・体外受精への反応低下が予測される
- FSH低値(3未満):視床下部・下垂体の機能低下の可能性。拒食症・過度の運動・ストレスによる排卵障害
LHの異常値の意味
- LH高値(月経2〜5日目に10以上):多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を示唆。LH/FSH比が2以上でPCOSの診断指標になる
- LH低値:視床下部・下垂体機能低下の可能性
E2(エストラジオール):卵胞の活性度を示すホルモン
E2は卵胞から分泌されるエストロゲン(女性ホルモン)の主要形態で、卵胞の発育状況を反映します。
- 月経2〜5日目のE2高値(75 pg/mL以上):発育中の卵胞があることを示し、FSH測定値の信頼性が低下する可能性
- 排卵前のE2高値:成熟卵胞の発育が良好な状態(200〜400 pg/mL が目安)
- 閉経後のE2低値:20 pg/mL未満で閉経状態
P4(プロゲステロン):黄体機能の評価ホルモン
プロゲステロン(P4)は排卵後に黄体から分泌され、子宮内膜を着床に適した状態に整えます。黄体期中期(排卵後7日目頃)に測定し、黄体機能を評価します。
黄体機能不全の基準
- P4が10 ng/mL未満:黄体機能不全が疑われる
- 黄体機能不全の症状:高温期が10日未満・月経前のスポッティング(少量出血)・不妊・繰り返す初期流産
- 治療:黄体補充(黄体ホルモン製剤の補充)が行われる
PRL(プロラクチン):過剰分泌が不妊原因に
プロラクチン(PRL)は通常、授乳中の女性で高くなります。非妊娠・非授乳時にPRLが高い状態(高プロラクチン血症)は排卵障害の原因になります。
- PRL 30 ng/mL以上:高プロラクチン血症として精査が必要
- 原因:下垂体腺腫(プロラクチノーマ)、甲状腺機能低下症、ストレス、薬物(向精神薬等)
- 治療:カバーゴリンやブロモクリプチンなどの薬物療法で正常化を図る
採血のタイミングに注意が必要です。PRLはストレス・食事・運動・睡眠不足で上昇するため、安静状態(来院後30分以上休息)での採血が推奨されます。
ホルモン検査の正確な測定タイミング
ホルモン検査は測定するタイミングが結果の解釈に直結します。
ホルモン | 最適な測定タイミング | 注意事項 |
|---|---|---|
FSH・LH・E2 | 月経2〜5日目(基礎値) | 月経開始を1日目とカウント |
P4(プロゲステロン) | 排卵後7日目頃(黄体中期) | 排卵確認後の日程設定が重要 |
PRL | 随時可(午前中が理想) | 来院後30分安静後に採血 |
AMH | 月経2〜3日目(または随時) | ピル服用中は低値になる場合あり |
TSH | 随時 | 不妊治療目標値は2.5未満 |
よくある質問(FAQ)
Q: FSHとLHはどこが違いますか?
A: FSHは卵胞の発育を促す役割、LHは排卵を引き起こす役割(LHサージ)を担います。FSHは主に卵巣予備能の評価に、LHはPCOSの診断や排卵タイミングの把握に使われます。
Q: ホルモン検査は毎周期受ける必要がありますか?
A: 初回不妊検査ではすべての基礎ホルモン値を測定しますが、その後は治療の進捗に応じて必要なホルモンのみを測定することが多いです。担当医の指示に従ってください。
Q: ホルモン値が全て正常なのに妊娠しません。なぜですか?
A: ホルモン検査は不妊原因の一部しか評価できません。卵管因子(HSG検査で評価)・精子の問題・子宮内腔異常・着床障害など、ホルモン以外の原因も多数あります。
Q: P4(プロゲステロン)が8 ng/mLです。低いですか?
A: P4 8 ng/mLは黄体機能不全が疑われる値です(目安は10 ng/mL以上)。担当医と相談のうえ、黄体補充療法(プロゲステロン製剤)の導入を検討することがあります。
Q: ホルモン検査の費用は保険適用されますか?
A: 2022年4月からの不妊治療保険適用により、不妊治療の初期検査として行われるホルモン検査は保険適用となっています。詳細は受診クリニックにご確認ください。
まとめ
不妊ホルモン検査の基準値は、月経周期のどの時期に測定するかによって大きく異なります。
- FSH・LH・E2は月経2〜5日目が基礎値の測定タイミング
- P4(プロゲステロン)は排卵後7日目に測定し、10 ng/mL以上が良好な黄体機能の目安
- PRL高値は排卵障害の原因になるため、必要に応じて治療する
- AMHとFSHを組み合わせて卵巣予備能を総合評価することが重要
免責事項:本記事に記載の基準値は一般的な参考値であり、施設・測定方法によって異なります。検査結果の解釈は必ず担当の産婦人科医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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