
体外受精で「胚盤胞のグレードは4AAでした」と言われたとき、その数字が何を意味するかわかりますか?Gardner分類は世界標準の胚盤胞評価システムです。この記事では、Gardner分類の読み方・各グレードが示す意味・妊娠率への影響を詳しく解説します。
この記事でわかること
- Gardner分類の3軸(拡張度・ICM・TE)の意味
- 各グレードの組み合わせと妊娠率
- 「良いグレード」の目安
- グレードが低くても移植する意義
- グレードと染色体正常性の関係
Gardner分類とは — 3軸で胚盤胞を評価するシステム
Gardner分類は1999年にDavid Gardnerらが提唱した胚盤胞評価システムで、世界中の不妊治療クリニックで採用されています。胚盤胞の状態を以下の3つの軸で評価します。
- 拡張度(Expansion):1〜6の数字 — 胚盤胞腔(胚の内側の空洞)の大きさと殻(透明帯)の状態
- ICM(内細胞塊):A/B/C — 将来胎児になる細胞集団の質
- TE(栄養外胚葉):A/B/C — 将来胎盤になる細胞集団の質
これらを組み合わせて「4AA」「5AB」のように表記します。
拡張度の見方(1〜6)
数字 | 状態 | 説明 |
|---|---|---|
1 | 初期胚盤胞 | 胚盤胞腔が胚の体積の半分未満 |
2 | 胚盤胞 | 胚盤胞腔が胚の体積の半分以上 |
3 | 完全胚盤胞 | 胚盤胞腔が胚全体に広がっている |
4 | 拡張胚盤胞 | 透明帯が薄くなっている・胚全体が膨張 |
5 | 孵化中胚盤胞 | 透明帯から一部脱出中 |
6 | 孵化済み胚盤胞 | 透明帯から完全に脱出 |
数字が大きい(4〜6)ほど発育が進んでいますが、「4」以上が移植に適した胚盤胞の目安です。「5」や「6」はすでに孵化しており、そのまま子宮内膜に着床できる状態です。
ICMとTEの見方(A/B/C)
グレード | ICM(内細胞塊) | TE(栄養外胚葉) |
|---|---|---|
A | 細胞数が多く、密で均一に凝集している | 細胞数が多く、均一な上皮を形成 |
B | 細胞がやや少なく、まばらに凝集 | 細胞数が少なく、上皮がやや不規則 |
C | 細胞が非常に少ない・粗い凝集 | 細胞が少なく、上皮がまばら |
ICMは胎児の発育に直結し、TEは着床と胎盤形成に関わります。どちらもAが最良です。
グレード別の妊娠率目安
Gardner分類と妊娠率の関係について、文献データを参考に示します(35歳未満・初回移植の目安)。
グレード | 妊娠率目安 | 評価 |
|---|---|---|
4AA / 5AA / 6AA | 55〜65% | 最良 |
4AB / 4BA / 5AB / 5BA | 45〜55% | 良好 |
4BB / 5BB | 35〜45% | 標準 |
4BC / 4CB | 20〜35% | やや低め |
4CC / 3BB以下 | 10〜20% | 低め(移植対象になる場合も) |
ICMとTEはどちらが重要かというと、ICMの方が妊娠率への影響がやや大きいという報告が多いですが、両方が重要です。
グレードと染色体正常性の関係
Gardner分類は形態学的評価であり、染色体の正常性(遺伝子レベルの評価)とは別の指標です。
- AAグレードでも染色体異常を持つ胚は存在する(特に40歳以上では50〜70%が異数体)
- BCグレードでも染色体正常胚であれば高い妊娠率が期待できる
- 着床前遺伝子検査(PGT-A)でグレードと染色体状態を合わせて評価することが可能
つまり「形態が良い=必ず妊娠できる」ではなく、年齢が上がるほどグレードだけに頼らない評価が重要になります。
グレードが低い胚を移植する価値
BB・BC・CCグレードでも妊娠・出産につながった事例は多く報告されています。以下の状況では低グレード胚でも移植が検討されます。
- 他に移植できる胚がない場合
- 年齢的・治療的に次の採卵を急げない場合
- PCOSや卵巣機能低下で採卵数が少なく、貴重な胚として保存している場合
「移植する価値がない胚」の判断は形態グレードだけではできません。担当医と相談して決めることが大切です。
よくある質問
Q. Day5とDay6では同じグレードでも妊娠率が違いますか?
一般的にDay5の方がDay6より妊娠率が高いという報告が多いですが、差は大きくありません。Day6でもAAグレードであれば十分な妊娠率が期待できます。
Q. 凍結融解で胚のグレードが変わることはありますか?
融解後の観察で形態が若干変化することはありますが、正常に融解された胚のグレードは基本的に維持されます。融解後の生存確認で担当医から説明を受けます。
Q. グレードが毎回変わるのはなぜですか?
Gardner分類は観察者の主観が入るため、施設やスタッフによって評価が若干異なる場合があります。「AA」と「AB」の境界は厳密に定まったものではなく、参考値として捉えてください。
まとめ
Gardner分類は拡張度(1〜6)・ICM(A/B/C)・TE(A/B/C)の3軸で胚盤胞を評価します。「4AA」以上が最良グレードの目安ですが、形態グレードは着床・妊娠の確率的な指標であり、低グレードでも妊娠できるケースは十分あります。年齢が上がるほど染色体検査との組み合わせが重要になります。
免責事項
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。胚移植に関する判断は必ず担当医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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