
不妊検査の種類 — 女性・男性で何が違う?
不妊検査は、女性に対する検査と男性に対する検査に大きく分かれます。不妊の原因は女性側・男性側・両方に存在する場合があり、男性因子が関与しているケースは全体の約50%とされています(日本産科婦人科学会)。夫婦双方の検査を同時並行で進めることが、原因特定の最短経路です。
女性の基本検査(必須6項目)
以下は初めての不妊外来で行われる標準的な検査です。1〜2周期(1〜2ヶ月)で完了します。
検査名 | 実施時期 | わかること | 保険適用 |
|---|---|---|---|
経腟超音波検査 | 月経中〜随時 | 子宮・卵巣の形態、卵胞数 | ○ |
基礎ホルモン採血(FSH・LH・E2・PRL・TSH) | 月経2〜5日目 | 排卵障害・卵巣機能・甲状腺 | ○ |
AMH検査 | 月経中〜随時 | 卵巣予備能(残り卵子の目安) | △(条件あり) |
子宮卵管造影検査(HSG) | 月経終了後7〜10日目 | 卵管の通り・子宮腔の形態 | ○ |
頸管粘液検査 | 排卵期 | 頸管粘液の量・性状 | ○ |
フーナーテスト | 排卵期(性交後) | 精子と頸管粘液の適合性 | ○ |
男性の基本検査(精液検査)
男性不妊の基本検査は精液検査のみです。採精して精子の数・運動率・形態を評価します。自宅採精→クリニック持参(採精後3時間以内)または院内採精室での採精が可能です。
- 精子濃度:1,600万/mL以上が正常(WHO2021年基準)
- 前進運動率:32%以上が正常
- 正常形態率:4%以上(厳密基準)
- 1回の検査で基準を下回っても、2週間空けて再検査することが推奨される
女性の追加・専門検査(精密検査)
基本検査で原因が特定できない場合、または異常が疑われる場合に実施します。
検査名 | 目的 | 費用目安 |
|---|---|---|
子宮鏡検査 | 子宮内腔のポリープ・癒着・慢性子宮内膜炎 | 2,400〜8,000円(保険3割) |
腹腔鏡検査 | 子宮内膜症・卵管癒着・骨盤内病変 | 入院込み6万〜15万円(保険3割) |
CD138免疫染色(慢性子宮内膜炎) | 慢性子宮内膜炎の確定診断 | 2万〜5万円(自費) |
子宮形態精査(MRI・3D超音波) | 子宮奇形の詳細評価 | 1万〜3万円 |
抗精子抗体検査 | 精子を攻撃する抗体の有無 | 3,000〜8,000円 |
ERA着床能検査 | 着床の窓(個人差のある着床適期) | 15万〜20万円(自費) |
男性の追加検査(精液検査で異常があった場合)
精液検査で異常が認められた場合、泌尿器科(男性不妊専門)への受診が推奨されます。
- 血液ホルモン検査(FSH・LH・テストステロン):下垂体・精巣機能の評価
- 陰嚢超音波検査:精索静脈瘤(男性不妊の最多原因)の有無を確認。発見率は視診より高い
- 精巣生検:精子がいない(無精子症)場合に精巣内に精子が存在するか確認
- 染色体検査(核型分析):クラインフェルター症候群など遺伝的原因の精査
遺伝・免疫関連の検査
流産を繰り返す場合(不育症)や特殊な原因が疑われる場合に追加する検査です。
- 染色体検査(夫婦両方):均衡型転座など染色体構造異常の有無
- 抗リン脂質抗体検査:血栓症・流産リスクに関わる自己抗体
- NK細胞活性検査:着床を妨げる過剰な免疫反応の評価
- PGT-A(着床前染色体検査):体外受精時に胚の染色体を検査
よくある質問
Q. 精液検査は必ず夫本人がクリニックに来る必要がありますか?
必須ではありません。自宅採精→妻がクリニックに持参(採精後3時間以内に冷やさず持参)する方法が可能です。受診予約前にクリニックに確認してください。
Q. 全検査を一度に受けることはできますか?
できません。ホルモン検査は月経2〜5日目、HSGは月経後7〜10日目、フーナーテストは排卵期と、月経周期に合わせて実施するため複数回の来院が必要です。
Q. 腹腔鏡検査は必ず受けなければいけませんか?
必須ではありません。体外受精でも妊娠できる可能性があるため、年齢・症状・他の検査結果を総合して担当医と相談の上、必要かどうか判断します。
まとめ
不妊検査は女性6項目・男性1項目の基本検査から始まり、原因に応じて精密検査に進みます。男性因子が不妊の50%に関与するため、夫婦双方が同時に検査を受けることが重要です。基本検査の多くは保険適用(3割負担)で受けられ、1〜2ヶ月で一通りの結果が揃います。
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療の代替ではありません。具体的な検査については必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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