
初めての不妊検査とは — 何がわかる?
初めての不妊検査とは、不妊の原因を特定するために行う基本的な医学検査の総称です。女性・男性ともに複数の検査を組み合わせることで、排卵障害・卵管因子・子宮因子・精子因子など、妊娠を妨げている原因を80〜90%の確率で特定できます。
不妊の定義は「避妊せず定期的な性交渉を1年間続けても妊娠しない状態」(日本産科婦人科学会)です。35歳以上では6ヶ月を目安に受診を検討することが推奨されています。
初めての不妊検査で受ける検査の内容
初診時には問診・基礎体温表の確認・経腟超音波検査を行い、月経周期に合わせて複数回来院しながら検査を進めます。1〜2周期(約1〜2ヶ月)で基本的な検査は完了します。
女性の基本検査(4〜6項目)
- 経腟超音波検査:子宮・卵巣の形態確認。月経何日目でも実施可能
- ホルモン検査(採血):FSH・LH・E2・プロラクチン・TSH・AMH。月経2〜5日目に実施
- 卵管通気・造影検査(HSG):卵管の通りを確認。月経終了後7〜10日目に実施
- 頸管粘液検査:排卵期に子宮頸管から精子が通りやすいか確認
- フーナーテスト(性交後検査):夫婦間の精子と頸管粘液の適合性を評価
男性の基本検査(精液検査)
- 精液検査:精子濃度・運動率・奇形率・精液量を測定。自宅採精して3時間以内に持参、または院内採精室で実施
- WHO基準:精子濃度1,600万/ml以上、前進運動率32%以上が正常範囲の目安
検査の流れと所要時間
基本検査は1〜2周期かけて段階的に進みます。毎回の来院時間は30〜60分が目安です。
時期 | 検査内容 | 所要時間 |
|---|---|---|
初診(月経中でも可) | 問診・超音波・ホルモン採血 | 60〜90分 |
月経7〜10日目 | 卵管造影検査(HSG) | 30〜60分 |
排卵期 | フーナーテスト・頸管粘液検査 | 30分 |
随時 | 精液検査(男性) | 30〜60分 |
痛みの有無と対策
検査によって感じる不快感の程度は異なります。「怖くて受診できない」という声をよく聞きますが、ほとんどの検査は数秒〜数分で終わります。
- 経腟超音波:ほぼ痛みなし。違和感を感じる程度
- 採血(ホルモン検査):採血と同じ程度の痛み
- 卵管造影検査(HSG):造影剤注入時に下腹部の痛みや圧迫感を感じることがある。検査後に軽い鎮痛剤を処方してもらえるクリニックが多い
- 精液検査:男性は採精のみで痛みなし
HSGで強い痛みが心配な場合は、事前にクリニックに相談すると鎮痛剤や局所麻酔の対応が可能なケースがあります。
費用と保険適用
2022年4月から不妊治療への保険適用が大幅に拡充されました。基本的な不妊検査の多くが保険適用となり、3割負担で受けられます。
検査項目 | 保険適用 | 費用目安(3割負担) |
|---|---|---|
初診・問診 | ○ | 1,000〜3,000円 |
経腟超音波検査 | ○ | 500〜1,500円 |
ホルモン採血(複数項目) | ○ | 2,000〜5,000円 |
卵管造影検査(HSG) | ○ | 5,000〜1万5,000円 |
精液検査 | ○ | 1,500〜3,000円 |
AMH検査 | △(条件あり) | 5,000〜1万5,000円(自費の場合) |
初回の検査一式(基本セット)の総額は保険適用で1万〜3万円程度が目安です。自治体によっては不妊検査費用の助成制度があるため、居住地の窓口に確認することをお勧めします。
結果の見方と次のステップ
検査結果は「正常」「要観察」「異常あり」の3段階で評価されます。「異常あり」でも必ずしも妊娠できないわけではなく、治療で改善できるケースが多くあります。
- ホルモン値異常 → 排卵誘発剤・ホルモン補充療法などで対応可能
- 卵管閉塞・癒着 → 腹腔鏡手術またはART(体外受精)へ
- 精液検査で基準値以下 → 男性不妊専門医への紹介、または顕微授精を検討
- 異常なし(原因不明) → タイミング指導→人工授精→体外受精とステップアップ
よくある質問
Q. 初めての受診はいつ行けばよいですか?
月経2〜5日目が最も多くの検査を一度に行えるため効率的です。ただし初診はいつでも可能なクリニックがほとんどです。
Q. 夫も一緒に来院する必要がありますか?
初診は女性だけでも受診できます。精液検査は自宅採精→持参の方法もあるため、夫が来院しなくても対応可能です。ただし夫婦で一緒に来院すると、同日に両方の検査を進めやすくなります。
Q. 不妊検査はどのクリニックで受けられますか?
産婦人科・婦人科・不妊治療専門クリニックで受診可能です。「不妊外来」「リプロダクション外来」を設けているクリニックは検査項目が充実しています。
Q. 検査を受けても原因がわからないことはありますか?
あります。「機能性不妊(原因不明不妊)」と呼ばれ、不妊カップルの約10〜25%を占めます。この場合でも人工授精・体外受精などの治療で妊娠できるケースは多くあります。
Q. AMH検査だけ自費なのはなぜですか?
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は卵巣予備能を評価する検査です。不妊症の診断に直接用いられる場合は保険適用になりますが、妊活の参考として単独で受ける場合は自費となるクリニックが多いです。事前に確認することをお勧めします。
まとめ
初めての不妊検査は、不妊の原因を特定し、最短で適切な治療に進むための重要なステップです。「いきなり体外受精ではないか」「大げさではないか」と心配する必要はありません。基本検査の多くは保険適用となり、1〜2ヶ月で一通りの結果が出ます。
35歳以上の方や、1年以上妊活を続けて成果がない場合は、早めに専門クリニックへの受診を検討してください。検査結果を把握することで、治療の選択肢と優先順位が明確になります。
本記事の情報は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を代替するものではありません。具体的な検査・治療については、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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