
「結婚何年目から不妊検査を受けるべき?」という疑問は、多くのカップルが抱えます。WHO(世界保健機関)の定義では「1年間避妊なしで性交を持っても妊娠しない場合を不妊症」としており、1年が目安となります。ただし、年齢によっては半年以内の早期受診が推奨されます。この記事では、受診のベストタイミングと年齢別の判断基準を詳しく解説します。
この記事のポイント
- WHOの基準は「1年間妊娠しない場合」だが、35歳以上は6ヶ月が目安
- 生理不順・子宮筋腫などがあれば、妊活開始直後でも受診すべきケースあり
- 「結婚何年目か」より「年齢と体の状態」で判断するのが正しいアプローチ
不妊検査を受ける「年数」の目安
不妊検査の受診タイミングは、結婚年数ではなく「妊活を始めてから何ヶ月経ったか」と「年齢」で判断します。一般的には妊活開始から1年が目安ですが、34歳以下・35歳以上・40歳以上で推奨時期が異なります。
年齢別・推奨受診タイミング
年齢 | 推奨受診タイミング | 理由 |
|---|---|---|
34歳以下 | 妊活開始から1年後 | 自然妊娠の可能性が比較的高い |
35〜39歳 | 妊活開始から6ヶ月後 | 卵巣予備能の低下が始まる年代 |
40歳以上 | 妊活開始と同時または直後 | 卵子の質・数が急激に低下する時期 |
2年・3年妊活しても受診しないカップルもいますが、治療の選択肢が時間とともに限られていく可能性があります。「まだ自然に…」という気持ちは理解できますが、年齢的リミットを考えると早期受診のメリットは大きいです。
「1年待つ」だけでは不十分なケース
以下の状況に当てはまる場合は、妊活開始から1年を待たずにすぐに受診することを産婦人科学会も推奨しています。
即受診が推奨される状況
- 生理不順・無月経(周期が35日以上または21日以内)
- 激しい生理痛(子宮内膜症・子宮筋腫の可能性)
- おりものの異常・炎症の既往(卵管閉塞のリスク)
- 過去の子宮・卵巣手術
- パートナーが過去に男性不妊検査で異常あり
- 過去に流産・子宮外妊娠の経験がある
半年以内に受診すべき年齢層
35歳を過ぎると、女性の卵巣機能(AMH値=卵巣予備能)は急速に低下します。AMHが低い場合、採卵できる卵子数が限られるため、治療開始を早めることが重要です。
年齢 | 平均AMH値(参考) | 妊娠率(自然) |
|---|---|---|
25〜30歳 | 3.0〜5.0 ng/mL | 約20〜25%/月 |
30〜35歳 | 2.0〜3.0 ng/mL | 約15〜20%/月 |
35〜40歳 | 1.0〜2.0 ng/mL | 約10〜15%/月 |
40歳以上 | 1.0 ng/mL 以下 | 約5%/月以下 |
結婚「何年目」という見方の落とし穴
「結婚2年目だから検査しよう」という考え方には注意が必要です。妊活(タイミングを計った性交)を実際に始めたのが1年前なのか3ヶ月前なのかで、状況は全く違います。重要なのは「妊活を開始してから何ヶ月か」という期間と年齢です。
よくある誤解と正しい解釈
- 誤解:結婚3年目なので不妊かもしれない → 正しい見方:妊活開始からの期間を数える
- 誤解:30代前半なのでまだ余裕がある → 正しい見方:35歳以降は急激に条件が変わる
- 誤解:生理がきているから問題ない → 正しい見方:排卵がない無排卵月経のケースもある
不妊検査の種類とスケジュール
初診から一通りの検査結果が出るまでの期間は、約1〜2ヶ月かかります。生理周期に合わせて実施できる検査が異なるためです。
検査の流れ(スケジュール例)
受診タイミング | 主な検査内容 |
|---|---|
生理開始3〜5日目(初診) | ホルモン検査(FSH・LH・E2・AMH)、超音波検査 |
生理終了後〜排卵前(周期10〜13日頃) | 子宮卵管造影検査(HSG)、頸管粘液検査 |
排卵前後 | ヒューナーテスト(性交後試験)、超音波で排卵確認 |
高温期(排卵後) | 黄体機能検査(プロゲステロン値) |
随時 | 精液検査(夫)、感染症検査(夫婦) |
初診に最適な生理周期のタイミング
初診は生理開始から3〜5日目に予約するのが最も効率的です。この時期にホルモン検査・AMH・卵巣超音波を一度に行えるためです。タイミングがずれると、次の周期まで待つ必要が生じることがあります。
パートナーと一緒に受診するメリット
不妊の原因は男性因子が約50%を占めます。妻だけが検査を受けていると時間とコストを無駄にするリスクがあります。夫婦同時の受診が、最も効率的な検査の進め方です。
男性側の検査内容
- 精液検査:精子濃度・運動率・形態の評価(3〜5日禁欲後に採精)
- ホルモン検査:FSH・テストステロン値(異常がある場合)
- 泌尿器科的診察:精索静脈瘤などの確認
精液検査は自宅で採精して容器に入れて持参するだけで可能です。来院時間は15〜30分程度と短く、費用も保険適用で1,500〜3,000円程度です。
受診を先延ばしにするリスクと対策
「もう少し自然に試してから」という気持ちは理解できますが、時間は有限です。特に35歳以降は、受診を6ヶ月先延ばしにすることで治療の選択肢が狭まる可能性があります。
先延ばしにしないための心理的ハードル対策
- 「ただの相談」として受診:「不妊かもしれない」と思わずに、妊活の状態確認として気軽に利用できる
- 夫婦で一緒に行く:一人で抱え込まず、パートナーと共有することで精神的負担が軽減
- まずオンライン診療を活用:初回相談やホルモン検査の相談はオンラインで可能なクリニックも増えている
よくある質問
Q: 子どもがいるのに2人目ができません。何年目で検査すべきですか?
第2子以降の不妊(続発性不妊)も基本的に同じ目安が適用されます。第1子出産からの年齢経過も考慮し、34歳以下は1年、35歳以上は6ヶ月を目安に受診を検討しましょう。
Q: 妊活を始めたばかりですが、先に検査だけしておくことはできますか?
はい、可能です。「ブライダルチェック」として妊活前に卵巣機能・感染症・ホルモン値を確認することは有意義です。問題があれば早期に対処でき、問題なければ安心して妊活できます。
Q: 1年以内でも妊娠率が低いと言われましたが、どうすればよいですか?
AMH値が低い・排卵障害があるなど、妊娠を妨げる要因が見つかった場合は、1年を待たずに治療を開始することが医学的に妥当です。担当医と相談しながら、次のステップを決定しましょう。
Q: 結婚前に検査しておきたい。受診できますか?
婚前の不妊検査(ブライダルチェック)は可能です。ただし、保険適用は基本的に「婚姻関係があること」が条件となる場合が多いため、自費診療になるケースもあります。クリニックに事前確認をおすすめします。
Q: 夫が検査を嫌がります。どうすればいいですか?
男性の受診拒否は珍しくありません。「自分だけの問題ではなく、2人の問題として一緒に確認したい」という伝え方が効果的です。精液検査は外来で短時間で終わる検査であることを伝えると、ハードルが下がることがあります。
まとめ
不妊検査を受けるタイミングは「結婚何年目か」ではなく、「妊活開始から何ヶ月か」と「年齢」で判断します。34歳以下は1年、35歳以上は6ヶ月、40歳以上は妊活と同時が目安です。生理不順・激しい生理痛・過去の手術歴がある場合は期間に関わらず早期受診が推奨されます。
まず夫婦ともに基本的な検査を受け、現状を把握することが最善の第一歩です。検査結果に問題がなければ安心して妊活を続けられ、問題があれば早期に対処できます。
次のステップへ
受診のタイミングがわかったら、次はクリニック選びです。不妊治療に力を入れているクリニックを地域別・特徴別に探してみましょう。初診予約はウェブから簡単に取れるクリニックも増えています。
【免責事項】本記事は医療情報の提供を目的とした一般的な情報です。個別の医療判断については、必ず担当医にご相談ください。AMH値・妊娠率の数値は参考値であり、個人差があります。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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