
不妊検査の血液検査(採血)では、通常3〜8本程度の採血管が使われ、採血量は合計20〜50mL程度になることが多いです。採血管の数・採血量は検査項目数と施設の方針によって異なりますが、「本数が多くて驚いた」という声は珍しくありません。
不妊の血液検査は一度に多くのホルモン・感染症・免疫検査を同時に行うため、通常の健康診断よりも採血量が多くなります。実際に何本採られるのか、何を調べているのかを事前に知っておくことで、当日の不安が軽減されます。
この記事のポイント
- 不妊血液検査の採血本数・採血量の目安
- 採血管の種類と調べる検査項目一覧
- 月経周期による採血タイミングの違い
採血量と採血管の本数——どのくらい採られる?
不妊の血液検査で採る量の目安は以下のとおりです。採血管1本あたり3〜10mLが一般的で、合計採血量は検査内容によって異なります。
検査の場面 | 採血管本数の目安 | 採血量の目安 |
|---|---|---|
初診時の基本セット | 3〜5本 | 15〜30mL程度 |
体外受精前の精密検査 | 5〜8本 | 30〜50mL程度 |
AMH検査のみ | 1本 | 3〜5mL程度 |
ホルモン追加検査 | 1〜2本の追加 | 5〜10mL程度の追加 |
採血量50mLは「大さじ3杯強」程度です。体内の血液量(体重50kgの女性で約4,000mL)と比べると全体の1〜1.5%以下であり、健康への影響は最小限です。
採血管の色と検査項目——何本で何を調べるか
採血管はキャップの色で内容物(添加剤)が異なります。それぞれで調べる検査項目は以下のとおりです。
採血管の色(一例) | 主な検査項目 |
|---|---|
赤色・金色(凝固活性化) | ホルモン(FSH・LH・E2・P4・AMH・TSH・PRL等) |
紫色(EDTA抗凝固) | 血球検査(CBC)・血液型 |
黄色(分離剤入り) | 感染症検査(梅毒・HIV・HBV・HCV・クラミジア等) |
灰色(フッ化ナトリウム) | 血糖・HbA1c |
青色(クエン酸) | 凝固機能(抗リン脂質抗体症候群スクリーニング等) |
不妊血液検査で調べる主な項目
不妊初診から体外受精前にかけて、段階的に以下の項目が検査されます。
ホルモン検査(月経2〜5日目が最適)
- FSH(卵胞刺激ホルモン):卵巣予備能の基本指標。高値(10mIU/mL以上)は卵巣機能低下を示す
- LH(黄体化ホルモン):下垂体機能・PCOSスクリーニング
- E2(エストラジオール):卵巣の活動状態・卵胞発育の評価
- AMH(抗ミュラー管ホルモン):卵巣予備能の最重要指標。月経周期に関係なく測定可能
- TSH(甲状腺刺激ホルモン):甲状腺機能異常による不妊・流産リスクのスクリーニング
- PRL(プロラクチン):高プロラクチン血症(無排卵の原因になる)の除外
感染症検査
- 梅毒(RPR・TPHA)・HIV抗体・HBs抗原・HCV抗体・HTLV-1抗体(妊娠前の基本スクリーニング)
- 風疹抗体価(ワクチン接種歴の確認・追加接種の検討)
- クラミジア抗体(IgG・IgA):卵管障害スクリーニング
その他
- 血液型(ABO・Rh):妊娠・輸血時のリスク管理
- CBC(血球数算定):貧血・血小板機能
- 抗リン脂質抗体(APL):抗リン脂質抗体症候群による反復流産リスク
- 血糖・HbA1c:糖尿病スクリーニング(体外受精前)
採血タイミングと月経周期の関係
ホルモン検査は月経周期のタイミングによって正常値が大きく変わるため、測定日が重要です。
- 月経2〜5日目:FSH・LH・E2の基礎値測定に最適(卵巣刺激前の基準値)
- AMH:月経周期を問わず測定可能。初診時に測定されることが多い
- P4(プロゲステロン):排卵後7〜10日目(高温期)に排卵確認のために測定
- 感染症・血液型・CBC:月経周期に関係なく測定可能
費用と保険適用
不妊の血液検査は2022年以降、不妊治療の保険適用拡大により多くの項目が保険適用されています。
- 基本ホルモン検査(FSH・LH・E2・P4・PRL・TSH):保険適用(3割負担で数百〜数千円)
- AMH:自由診療(3,000〜8,000円程度が多い)
- 感染症検査・血液型:保険適用または妊娠前スクリーニングとして実施
- 抗リン脂質抗体:保険適用(適応条件あり)
よくある質問
Q1. 採血が多くて貧血にならないか心配です
不妊検査の採血量(20〜50mL)は体内血液量の1%以下であり、健康な方では貧血になるほどの量ではありません。ただし採血直後に気分が悪くなる場合は横になり、担当スタッフに申し出てください。
Q2. AMH検査だけ別の日に受けることはできますか?
AMHは月経周期を問わず測定できるため、別の日に単独で受けることが可能です。ただし他のホルモン検査と同時に行うことでトータルの採血回数・費用・通院回数を減らせます。
Q3. 採血前に食事は控えるべきですか?
ホルモン検査・感染症検査は通常空腹でなくても測定できます。ただし血糖・HbA1cを同時に測定する場合は空腹が必要なことがあります。担当医師または施設のスタッフに事前に確認してください。
Q4. 採血の痛みを最小限にする方法はありますか?
採血の痛みは針の細さ・技術・個人差によって異なります。「細い針を使ってほしい」「採血が苦手」と事前に伝えることで対応してもらえる施設が多いです。また採血前に腕を温める(血管を太く見やすくする)と穿刺が一回で済みやすくなります。
Q5. 結果が出るまで何日かかりますか?
ホルモン検査・血液型・CBC系は当日〜翌日に結果が出ることが多いです。感染症検査(梅毒・HIV等)は2〜7日程度かかる場合があります。AMHは外部委託ラボに送る施設では3〜7日程度です。
まとめ
不妊の血液検査での採血量は初診で15〜30mL(3〜5本)、体外受精前の精密検査では30〜50mL(5〜8本)程度が目安です。多いように感じますが、体内血液量に対しては1%以下であり健康への影響は最小限です。ホルモン検査は月経2〜5日目に採血するとより正確な基準値が得られます。費用については2022年以降の保険適用拡大で自己負担が軽減された項目も多く、担当医師に費用内訳を確認することをお勧めします。
免責事項
本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。実際の治療方針については、必ず担当医師にご相談ください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新のガイドライン・研究結果とは異なる場合があります。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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